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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

伝統武術の内ゲバを知ってしまった件~スポーツでいいやと思う自分がいた話

作者: 山田 勝

 ひょんなことから、古い格闘技の雑誌を手に入れた。30年くらい前の

 古武道○○みたいな名前だ。

 同人誌らしい。


 そこには、古武道界の内ゲバな内容が書かれていた。


 ある古武道の先生は、江戸時代以前の剣術や柔術を研究していた。

 そう、研究していたのだ。

 本を出版し、著名人と対談し、知る人は知る存在になった。


 彼の目的は、神秘的な技の復元だ。


 そして、度々、

 近代格闘技はダメだ。筋肉に頼った運動だ。

 武術的な動きはそうではない。試合は武道的な動きを劣化させるから、やらない方が良い。



 と、そして、


「じゃあ、先生、大会に出て、実力を示したら?」


 の批判には、


「私のは武術です。殺す体系です。西欧的な筋肉・・・・」


 と言うように、返していたそうだ。


 それに、反応を示したのが、何故か。中国武術の先生である。日本人である。



「空手、柔道、剣道は間違ってはいない。競技経験者が、中国武術に来ても、飲み込みは早く。ルールを限定した組み手でも強い。何故なら、相手は、都合良く動いてはくれないことを熟知しているからだ」


 との趣旨で反論し、

 古武術の先生は、無視。



 しかし、中国武術の先生は、


「あ~、あの人の演武は、このように再現できます。つまり、宴会芸なのです」

「あの人は、○○○の先生から、借用しています」


 と挑発の限りを尽くし。


「そちらの提示するルールで良いですよ。試合をしましょう。中国武術には剣がありますよ」


 と挑戦状をたたきつけた。



 結局は、対談になり。


 それが原因か分からないが、古武術の先生は、古武術探求家というように、肩書きを改め。近代格闘技を批判しなくなったそうだ。


 ただし、この雑誌は、かなり、古武術家の先生に批判的である。


 嘘か本当かは分からないが、古武術の先生は、平成の世に、侍の格好をして、日本刀を持ち歩いていたそうだ。

 それは、あり得ないだろうと思う。


 そんな人がいたら、捕まるだろう。演武の時ではないかとは思う。





 ・・・・・・


 しかし、私も似たような人を見たことがある。


 私は、中学の時に空手教室に通っていた。そして、高校は陸上部、大学は、駆け足同好会に入った。


 そして、就職して、落ち着き。また、空手をやってみたくて、町の道場に入った。


 しかし、数ヶ月後にやめようと決意した。


 余りに、「あれ」だったからだ。


 大人は5.6人の道場なのに、世界の有名アスリートと、自分たちを同列に語る。

 しかし、恐ろしく弱い。


 数ヶ月で圧倒してしまった。

 中学の時に、少し空手教室に通い。高校は陸上部だった私がである。


 何故なら、ワザワザ弱点を教えるのだ。


『いいか。ワンツーの時は、こう、もっと強く!』


 と刻み突きも逆突きも、ワザワザ、引いて、タメを作っているので、ある程度、距離を取れば、分かった。


 そして、ワンツーしかない。



 やめることを伝えに行ったら、先生の息子さんが、対応してくれた。

 大学の空手部に入っているそうだ。


 彼はニコヤカに対応してくれた。



「アハハハ、それは、そうですよ。実は、私も高校の時に空手部に入ったのです」

 私は、道場主の息子です。黒帯です。

 意気揚々と入部したけども、一日で、考え違いを思い知らされました」



 たいして、強い空手部ではなかったのですが、練習が、キツい。先輩も実力者、この道場でやったことは、高校から空手を始めた同級生に、数ヶ月で並ばれました。


 悔しいというよりは、おかしさに気がついたのです。


 父は、サラリーマンです。特に運動の経験も、空手の大会にも出て実績を積んだことはありません。

 一応、市の大会の空手の審判とかやっていますが、

 毎日、オーケストラを鑑賞しても、楽器が弾けるわけないでしょう?


 この道場は、競技空手でも、伝統を守っている道場でもないんです。中途半端です。



「だから、山田さんが、そう思うのも無理はありません」

「なるほど・・・有難うございました」


・・・うわ。息子さんは強いなと感じる。



 そして、この現象が、現代も続いていることが分かった。






 この雑誌を、大学の時の知り合いに見せたのだ。同好会で、総合格闘技をやっていた。


「うわ。これ、スゲーよ。有名な先生が掲載されている・・・」



 沖縄に、高名な先生がいた。

 しかし、古武道の演武会では、笑われていたそうだ。


 お爺ちゃんが歩くと、周りのお弟子さんが倒れているように見える。

 そんな演武だ。


『クス』

『気功か?』

『インチキだ』



 しかし、時代がすすみ。あることで、実はスゴイ人ではないかと言われるようになったのだ。バラエティ番組で、有名アスリートと軽くスパーリングをしたそうだ。

 全力ではないが、互角以上に渡り合えていた。


 友人曰く。


「この雑誌、インチキと言われているときに、この先生は実力者と書かれている

 。お弟子さんを練習で怪我をさせる訳にはいかないから、あのような演武になったと書かれている。

 そりゃ、お年を召しているから体力は落ちているだろう、だけど、何か、術理を身につけていたのではないかと言われているよ。あえて言えば、制宙の技術、それは、歳を取っても衰えないものだ」


 だが、実は実力者だったは、希だそうだ。



 近年でも、伝統武術をしている人が、イキッて、騒動を起こしたことがあった。





 舞台はSNSだ。


 ある中国拳法の先生、日本人が、SNSで、


『これは、○○ライン、この格闘技は××ライン・・・』


 と批評していた。


 小さな道場だ。弟子も、どう見ても・・・オタクさんだろうな。


 それが、ある格闘家を批判して、逆鱗に触れた。



「○○ラインって?」


「それは、ある人が提唱した攻撃線みたいなものだ。これ自体はしっかりしているが、それを見よう見まねで使って、批評する輩が多くなった。

 ほら、今では、体幹ガーとか、料理だと、化学調味料ガー・・・とかあっただろう?」


「なんとなく分かる。おっさんが、野球選手とかを見て、体幹ガ~とか言っている感じか?」


「そうだ」


 これも、結局は、仲裁が入って、うやむやになった。


 中国拳法の先生は、普段は、このルールなら、とか、言っている発言が、発掘されたりしたしな。

 試合しろよと、



「よく分からんが、40代、50代の、中国拳法や古武術を修練している人は、型を習えば、強くなるとの認識があるみたいだ。何か映画の影響かもしれない」



 その先生のサイトを見てみた。


「うわ。他流や他の格闘技の批判がびっしり・・・」



「そうだ。小さな道場で、先生と崇められると、おかしくなるらしい」




 しかし、実際に、公開試合にまで、発展した例はあるぞ。

 まだ、ネットに転がっている。


 海外のサイトで、動画があった。


「うわ。お爺ちゃんが、ボクサーに殴られている・・」


 これは、中国の有名な拳法の先生、日本で、DVDが売れて、先生と崇められて、自分は強いと錯覚をしたらしい。

 全く、無名のボクサーか。キックボクサーと試合をした。



 しかし、開始一秒で、ノックアウト。


 しかし、この先生は立派だ。戦ったのだからな。

 これは、日本人も悪いよな。日本人が空気を入れたと思っている。




 日本でも・・・


 とまた、お爺さんが、殴られている映像を見てしまった。



「このお爺さんは、スパーリングを一度もしたことがなかったそうだ。沖縄の大先生は、100歳近くまで、組み手をしていたそうだが・・・それが違いかもな」



「しかし、伝統武術の全てがインチキではない。玉石混交で、石が多いが、中には、こんな例があった・・・」



 ☆☆☆中国の田舎


 日本の中国拳法の修行者が、名前を聞いたこともない流派を見つけた。

 家族が細々とやっている拳法だ。


「ハッ!」「ハッ!」


「こ、これは、ハッケイ?の練習だ!」


 古い流派だ。

 だから、昔の原型をとどめていたのだろう。動作に、呼吸がセットで練習がされていた。


後に、呼吸法が失伝し、動作だけになる流派が多いみたいだ。それか、金を積んだら、教えてくれるとかいろいろな憶測が飛んだ。


 たとえ、実力者でなくても、忠実に伝統を守っていれば、見る人が見れば、スゴイ鉱脈だと判明することがある。

 そういった伝統を守っている人こそが、先生と言われるべきだ。



 ・・・・


「ハッケイって何なのさ?」


「まあ、ボクサーが、強いパンチを放つ時に、「ハッ!」と息を吐く、ウエイトリフティングで、重量物を持ち上げる感覚。と、ピッチャーの投球方法、俺も上手く言えん。

 呼吸と、体の移動などで、普段の1.5倍くらいの力を出して、相手を、吹き飛ばす技法だ。

 武器を持っているかもしれない相手には、吹き飛ばす方が良いと、昔の人は考えたのだ。

 中国拳法の名人の伝説に、人を吹き飛ばしたとあるのは、そういうことかもしれないな」


「よく分からない」


「まあ、ハッケイの伝説のメッキがはがれたら、メッキの下は、金であった。下手な偉い先生が書いた本よりも、ピッチャーの投球方法を解説した本の方が、理解が早いと言われている。俺も格闘技をやめて、フットネスジムに通っている。皆、良い人ばかりだ。格闘技界は、人格者が希な世界だと分かったよ」




 ・・・・・


 そして、私は、今は完全に空手からは離れた。

 今は、クロスカントリーに参加したりもしている。



 ☆クロスカントリー大会



「ナイスラン!」

「ナイスファイト!」

「はあ、はあ、はあ、義姉さん。義母さん。有難う」


「あんた、中々ね」

「記録表、受け取ったら、帰る?」



「最後まで見るよ」


 大人10キロの部。


 いろいろな人が走る。

 老人から、普段、ランニングに関係のない人も走っている。


 走り終わった選手は、応援をする。何なら、走っている最中にも、折り返し点で、下位の走者を励ます猛者もいる。



「すごい。あの人、あの年齢で、一キロ5分台で走っている・・」

「ナイスランだな」



 最後の走者が現れた。


 ニコニコして余裕だ。楽しみ方は人それぞれ、限界にチャレンジをする者。ダイエットで始めた者、地元開催なので、義理で参加した役所の人、この人は、役場の女性事務員という感じだろう。


「頑張れ!」

「ファイト!」

「無理しないで!」


 声援が飛び交う。


 俺も、この雰囲気が好きで応援をする。


「ナイスランです!」


「はあ、はあ、はあ、有難うございます」


 あれ、武道よりも、スポーツの方が、よほど精神の修養に役立つのではないだろうか?


 と思う自分がいた。









最後までお読み頂き有難うございました。

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[一言]  うちのセンセ、公園で刀振りまわして警察に叱られてました。  変な人はわりといます。わたしの周りだけと信じたい。
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