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 ……これが個性ってか。

 MMOといえば基本的には平等なのだが……これはまったく違うな。

 そもそも、VRの時点でそうか。


 実際に扱うのは自分の肉体だ。よほど現実世界でしっかり鍛えていないと、今の盗賊との戦闘でもかなり苦労するはずだ。

 俺のように、現実より動きにくい、と感じるのなんて軍人とかスポーツ選手みたいに普段から鍛えているような人たちくらいだろう。


 肉を切った感触も手に残っている。これ、慣れるまで素人は嫌だろうな。

 でも、リアルさがないと、それはそれで現実でも実行しようとする輩とかも出てくるのだろうか?

 とにかくまあ、俺には全部懐かしい感覚になってしまうのが、悲しいぜ。


 盗賊を一人倒した俺は、すぐに周囲へと視線を向ける。


 ……リアルなら索敵魔法で周囲の敵も把握できるのだが、今は分からない。

 だが、この仮想現実は本物に限りなく近い。

 耳をすませば、声や足音が聞こえる。気配を探れば、空気の動く音などが伝わってくる。


 音を拾えば敵の位置も正確に把握できる。把握した俺は、建物の陰から様子を伺う。

 いた。盗賊二名だ。女を捕まえて、完全に油断しているな。

 すぐに地面を蹴り、盗賊の背後へと迫り、その喉元を背後から斬った。


「がっ!?」

「てめぇ!?」

「遅ぇよ!」


 剣を振りぬいてきたが、俺は左手の短剣で受け流し、右の短剣で首を跳ねた。

 ……ここまで自由に人殺しをしてもいいなんて、異世界でもなかったからな。

 この世界はゲームなので、異世界よりもさらに自由だ。


「胸とかは……さすがにもめないか?」


 盗賊に捕まって怯えていた女の胸に触れてみたが何も感触はなかった。

 女は悲鳴をあげ、それに気づいた他の盗賊が迫ってくる。

 ちょうど崩れかけていた建物の角から、人陰が見えたので、盗賊が持っていたナイフを投擲する。


「ぐああ!?」

「おっ、当たったー」


 タイミング完璧で、盗賊の喉を捉えた。

 後ろからさらにもう一人の盗賊が来たのだが、レベル2か。

 つーか、俺のレベルは上がらないのかね?


「てめぇ、よくもオレの仲間を殺しやがって!」

「そいつは悪かった。お詫びにすぐ仲間のところに送ってやるよぉ!」


 盗賊が短剣を振りぬいてきたが、すべて捌ききる。そして、足の腱を試しに切ってみたら……


「ぐあ? あ、足がうごかねぇ……!」

「……ほぉ?」


 結構しっかりしてるんだな。

 実験終了。絶望に染まった盗賊の顔を見ながら、首を跳ねた。


『称号【連続キラー(Gランク)】を獲得しました。ステータスポイントを1獲得しました』


 キラーって……まさか。俺今人殺し扱いなのか?

 MMOでプレイヤーを殺した場合、PKなどと呼ばれることがある。

 そういったプレイヤーは何かしらの制限をうけることがあるのだが、まあチュートリアルだし大丈夫なのかね?

 ていうか、称号は手に入るが経験値は手に入らないようだ。チュートリアルだからなんだろうな。


 ……ただ、ちょっと待て。

 人を殺す系の称号って、たぶんあんまり簡単には手に入らないよな?


 俺別に対人戦をメインで遊ぶつもりはないし。

 俺のメインコンテンツは舞への貢ぎだし。


 ……だったら、今のうちに稼がせてもらおうか。

 それに暗殺者の職業の解放条件にあるかもしれないし。

 そもそも、暗殺者などないのかもしれないが、普通のゲームならあるよな?




 そこからは、勇者時代を思い出すように隠密行動で盗賊を狩りまくっていった。

 その途中だった。盗賊レベル5を発見した。たぶん、この盗賊団のドンだろう。


 さらに左右に盗賊レベル3もいる。……普通に考えたらかなりの強敵なのだろうが。

 ――隙だらけだな。

 俺は盗賊たちからかき集めたナイフを投擲する。


「ぐあああ!?」

「なんだ!?」


 すぐに距離を詰めて盗賊の首をかっさばく。


「てめぇが、さっきからちょこまか俺の仲間を殺していやがるやつか!?」

「あっ、挨拶遅れてすんませーん、初めまして。んじゃさよなら!」

「舐めてんじゃねぇぞ!」


 盗賊が持っていた短剣を振り下ろしてきたが、俺はそれをかわす。すぐに追撃のナイフが迫る。

 さすがにレベル差もある無駄な動きをすれば、すぐにやられそうだ。


 ああ、くそ、魔法が使えればなぁ。

 俺は両手の短剣を交差させるようにして攻撃を受け流す。

 すぐに隣にいた盗賊が迫ってきたが、


「足元がおるすだな」


 攻撃をかわしつつ、足払いでよろめかせる。その体を肩から突進し、吹き飛ばす。


「ぐっ!?」

「くそ!」


 盗賊のドンへとぶつけると、ドンは味方だからかそれを受け止めた。

 隙だらけだ。俺はナイフを投擲し、ドンの目に投げた。


「ぐあああ!?」

「悲鳴上げてる暇があるのか?」


 さっさとその喉へと短剣を振りぬいて仕留めた。

 その瞬間だった。


『称号【村の英雄(ランクS)】を獲得しました! ボーナスステータスポイントを獲得しました! 村エリア、村周辺で戦闘を行う場合、ステータス、獲得経験値が上昇します。この称号はすべてのプレイヤーで一人のみ獲得可能です』

『称号【殺し、始めました(ランクB)】を獲得しました! ボーナスステータスポイントを獲得しました。また、対人との戦闘において、ステータスが上昇します』

『職業解放の条件を満たしました。【暗殺者】、【剣闘士】の職業が解放されました。近くの転職神殿で転職が可能です』

「……おお、また称号が手に入ったのか」


 ここまでも様々な称号を入手していた。

 今回のように、ステータスなどに反映されるような称号は初めてだったが、これは便利だな。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 他のプレイヤーからチートだと因縁付けられそうw
[一言] これチート疑惑等で運営の注目が集まるやつ
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