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俺としては、暗殺者がリアルと同じスタイルなので、狙いたいものだ。
俺の異世界での戦闘スタイルは……女神から言えば、まさに暗殺者、だそうだ。俺は忍者を意識していたのだが、女神には否定された。ムカつくぜ。
勇者らしくない、と何度も言われたものだ。女神だけじゃなく、原住民からもな。
暗殺者か。
どうやって解放されるのか分からないが、この世界でも暗殺者を目指してみるのもいいかもしれないな。
とりあえずは無職にして次だ。
装備は全部で五つまでつけられるのか。
装備に関しては特に、これをつける、という決まりはないようだ。
例えば、全部武器でもいいし、全部防具でもいいようだ。
さらに、見た目に反映させるか、させないかも選択できるらしく……確かにこういったVRMMOだと欲しくなりそうな機能だ。
とりあえず、短剣を二本選択し、残りは適当な服。まだ最初の装備だし、モブ感が凄まじいな。
おっ、仮面もあるのか。これで顔を隠しておくとしようか。
仮面、といってもひょっとこだが。
とりあえず、キャラクターメイクはこんなところか。
プレイヤーネームは……本名が佐久間悠斗だから、ユートでいいだろう。
舞と一緒にやるとき、兄貴ではなくユートとか、ユートさんとかで呼んでもらえるかもしれないしな!
異世界で培ってきた思考力を全力で発揮しながらニヤニヤしていると、神様が邪魔してくる。
『これより、チュートリアルを開始します。スキップも可能ですが、その場合はチュートリアル報酬は受け取れませんがどうしますか? また、チュートリアル中に獲得したものはすべて本編に引き継ぐことが可能です。どうしますか?』
アイテムがもらえるならやるに決まっている。
現実世界との感覚の違いも知りたいしな。
そうして、俺は『リトル・ブレイブ・オンライン』の世界へとログインした。
……熱い。
肌を焼くような熱が襲う。
目を開けると、そこには火が見えた。
ここは村ってところか? 家が燃えている。
周囲を見ると、人々が逃げていた。かなり、本物の異世界人、という感じだ。
異世界体験者として、合格点をあげたい。
「と、盗賊が襲ってきた! 逃げろ!」
……声も恐らくAIが作成したのだろうが、違和感ない。
最近のAI技術は凄まじいからな。
「おい、あんた」
俺は近くに走ってきた人に声をかける。
女性は慌てたような表情とともに声をかけてくる。
「あ、あなたは異邦人ですね!? すぐに逃げてください! この村を盗賊が襲ってきたんです!」
神様も言っていたが、俺たちプレイヤーは異邦人、と呼ばれるらしいな。
「捕まったらどうなるんだ?」
「そ、それはもう……その……」
顔を青ざめている。
……へぇ。かなりAIがしっかり話すんだな。
まるで本物の人間だ。表情の変化や、焦りに合わせた汗。火によって汚れた服の作り込みも凄い。
こんなもの、一つを3Dで動かすのも大変だろうに、俺が一年間地球を留守にしている間にずいぶんと技術も発達したものだ。
「へへ、女ぁ! お兄さんと遊ぼうぜ」
「ひっ!」
「おい、盗賊? この女は俺が先に目をつけたんだよぉ!」
「ひっ!」
女性が俺と盗賊どちらにも悲鳴を上げる。
もちろん、冗談だからな? そんな、どっちから逃げればいいの!? みたいな顔をしないでほしい。
それにしても、本当に人間味あふれるキャラクターだな。
「はっ、貧相な異邦人に何ができる!? 死ねや!」
盗賊、レベル1か。
俺のレベルは……ステータスを見てみると、同じくレベル1。
まあ、チュートリアルだしな。
正面から斬りかかってきた盗賊の攻撃を……俺はあっさりとかわし、その首を跳ね飛ばした。
血は出ない、がデータのようなものが粒子のようになって現れ、そのまま盗賊は死んだ。
弱点を攻撃すると大ダメージを与えられるようだな。
人間相手だと、首を跳ねれば死ぬ、と。
『称号【初めてのクリティカル(Gランク)】を獲得しました。ステータスポイントを1獲得!』
……なんだこれは?
そう思った次の瞬間、詳細が出てきた。
『この世界では、あなたの行動に合わせて称号を獲得可能です。称号を獲得するとステータスを強化するためのポイントを獲得することができます。称号の中にはプレイヤーの中でも数名しか獲得できないものもあります。そういった称号は譲渡も可能ですので、自分にとって有利になるようにゲームプレイを楽しんでください』
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