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ひとまず、ワールドクエスト関連を調べるために、アンタレスの街に移動したのだが……ひょっとこ仮面はあまりにも目立つようになってしまった。
初心者向けに武器を売る人、としてな。
あと、ルルラもな。
こういうときは、スキルの出番だ。
「ルルラ。とりあえず、俺のポケットに隠れててくれ」
「はい、お兄様っ」
とりあえずポケットに隠れてもらい、俺は【偽装者】を発動する。
性別も変化させておけば、まず分からないだろう。
『あ、あれ? お、お兄様?』
『今はお姉様とおよび!』
『ひっ! お、お姉様! ……もしかして、下もなくなってるの?』
『やべ、下消すの忘れてた』
『ひっ、ふたなり!』
そんなチャットをしつつ、下のブツを隠した俺は街を歩いていく。
とりあえず、アンタレスの外に出るため移動していると、目が赤い男を見つけた。
むこうはこちらに気づいたがすぐに視線を別に向けた。
PKしたやつは目の色が赤くなるんだったな。あいつはもしかしたら初心者狩りを行っている話題の連中なのかもしれない。
一定期間PKを行わない限り、目の色は元に戻らないらしい。
PK中の者は街の施設を利用できなくなるらしいが、街内には普通にいられるようだ。
顔を隠していることも多いため、普段仮面などをつけているやつがいたら要注意、と書かれていた。
あれ? これ俺もPKと思われるのではないだろうか?
職業は【暗殺者】だし、完全にそう見えるな……。
やべぇ、せめて目の部分だけは見えるようにしたほうがいいか?
ひとまず、外に出たところで変身は解除する。MPの消費も結構あるからな。周りに人がいなければひょっとこ仮面でもいいだろう。
俺はそのまま雑魚を狩り、掲示板にあった石碑が並んでいる場所へときていた。
……ここか。
いくつもの石碑が並ぶそこには、よくわからない文字が書かれている。
……このゲーム世界の言語だろうか? 何が書いてあるか分からん。
リアル世界の体でくれば、こういったものも解読できると思うんだが……さすがに無理だな。
ネットでは、何かしらの文字の法則があると考えているようで解析班が解読中らしいのでそれを待ったほうがいいかもしれない。
……ただ、それはつまり最速攻略ができなくなるわけで、舞に褒められる機会が減ってしまうんだよな。
そんなことを考えているとルルラがひょこりとポケットから姿を見せた。
何か気になるようで、きょろきょろと周りを見ていた。
「ルルラ、何か分かるのか?」
「……えっと、その。なんだか不思議な力を感じると言いますか……」
なんだって?
ルルラに期待して視線を向けていると、何やらこちらに迫る気配を感じる。
視線をそちらに向けると、
「誰か……! 助けてください……っ!」
そんな悲鳴が聞こえた。
……あれは、プレイヤーか。
何かのクエストが発生したのかと期待したがただのプレイヤーのようだ。
可愛らしい見た目をした女性だ。銀色の髪を揺らしながら登場した彼女は何やら王女様のようなドレス姿をしている。
このゲームでは自分のVTuberのアバターなどをそのまま反映することができるそうだが、彼女もまさにそんなVTuberらしい派手さがあった。
必死に逃げてきた彼女に視線を向けると、その後からさらに複数の男性が追いかけてきた。
「はは、逃げたって無駄だぜ、なつみちゃん」
「コメント欄凄い盛り上がってんなぁ! やっぱ、有名人とのコラボはいいねぇ!」
ニヤニヤと笑いながら迫ってきた男性たちは、合計五人だ。
……コラボ、というが女性の様子をみるにコラボという感じはしないな。
「ん? なんだあいつ?」
男たちが、俺に気づいたようだ。何やら苛立った様子で声をあげる。
「ちっ、ここが例のワールドクエスト関係の場所だからみにきた一般人だろ……」
「い、いや……待て、あれって!」
こちらを指さしてきた男たちの表情が、何やら狂気の笑みで飾られている。
「ひょっとこ兄貴じゃないか!?」
あんな奴らでも、俺のことは知っているようだ。
「うっひょー! ラッキー! まさかこんなところでさらに有名人に会えるなんてなぁ!」
「しかもちょうど一人じゃねぇか……!」
舌なめずりをする彼らが、何か嬉しそうに叫んでいる。
その隙に、逃げてきた女性はこちらへとやってきて、すがるような目
でこちらを見てきた。
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エロゲー世界のただのモブに転生した俺に、ヒロインたちが押し寄せてきます
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