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「早くしないと、『聖連隊』のトップたちが仮眠から戻ってきちゃうからなぁ。急がないと! そういえば、兄貴は今レベルいくつなの?」
「レベル37だな」
「はや! 兄貴早すぎるよ! どうなってるの!?」
「とりあえず、武器を新調したらワールドボスの情報を集めようと思ってるんだよな」
「……ワールドクエストだね。まだまだ分からないことが多いけど、第二の街についたらそっちも手を出していかないとだよねぇ。でも、なんだかPKの方も問題になってて、うちの事務所の子たちも狙われそうなんだよねぇ……」
「PKねぇ……なんか流行ってるみたいだな」
「そうなんだよ! 特に配信者とか狙って積極的にやってるみたいなんだよ! あいつらも配信してるから、有名配信者に絡んでいくと視聴数上がって、それでお金になるからってやりたい放題なんだから!」
ぷんすか怒っている舞も可愛いが、舞をここまで怒らせるそいつらは許せねぇな。
それに、舞の後輩がもしもいじめられたら、きっと舞も悲しむことになるだろう。
そしたら俺が怒り狂うことになるわけだ。
そのうち、様子でもみにいくとするかね?
そんなことを考えながら食事をしていた俺は、もう一つ考えていたことを舞に伝える。
「そうそう。動画を投稿しようと思ってな」
「え? そうなの!?」
「お金稼げるみたいだしな」
舞のグッズを買うために、現金が必要だ。
そのためにも、俺も配信者になるのが一番手っ取り早く稼げるだろう。
「絶対人気でるよ! あたしも登録するからね!」
「それならいいんだけどな。今はここまでの戦闘動画を編集しているところだ。全部終わったら投稿していくつもりだな」
今も俺の部屋で分身くんが頑張ってくれている。
頑張れ、俺の分身!
「わー! それは楽しみ!」
「どうにか再生回数を上げるためにも、上げた後は宣伝お願いしてもらってもいいか?」
「もちろんだよ! 他の人たちも見たいって言ってたしね!」
「俺も、人気が出てきたら舞のチャンネルを宣伝しまくるからな!」
「お互い、頑張ろうね!」
これなら本当になんとかなるかもな。
やはりこういうのは有名人に宣伝してもらうのが一番だ。
そして、俺が有名になればお金も稼げるし、舞のチャンネルの宣伝もできるはずだ。
ふっふっふ、頑張らないとな。
動画をバズらせるためには、今人気者のルルラにも協力してもらう必要がある。
「一気に登録者数増やすために、できることって他にどんなことがあるんだ?」
「え? 有名な人とコラボするとか? あたしも、事務所に話して一緒にできるか話してみるよ!」
「おお、いいのか?」
「うん、でもどうなるかは相談してみないとわからないけどね?」
「それでも全然オッケーだ」
舞の事務所は女性ライバーしかいないからな。現在男性ライバーを募集中のようだが、それに対しても結構男性視聴者たちの反対が多いみたいだからな。
あまり期待はしておかないほうがいいだろう。
昼を食べ終えた俺たちは、すぐに部屋へと向かう。
「それじゃあ、またあとでね!」
「ダンジョン攻略頑張ってな。あと、街についたら言ってくれ」
「りょうかい!」
たぶん、舞たちもクランを作りたがるはずだ。その時に、クランハウスを契約できるようにしてあげないと。
舞にお願いされたら、どれでも選べるようにしてあげる必要がある。
クランハウスを建築するための金だって、送金予定だ。
動画編集をしている分身に労いの言葉をかけつつ、さっそく仮想世界へと入る。
すると、ルルラが俺の近くに出現した。
「あれ、おまえまさか仕事サボってるのか?」
「ち、違いますお兄様! 全部売れたんです!」
「本当か? そいつはすごいな。ちょっと喜びのダンスを踊ってみてくれるか?」
「よ、喜びのダンス……? こ、こんな感じですか?」
慣れない様子でルルラがその場で踊り始める。踊る、と言っても彼女はぷかぷかと浮いているんだけど。
俺はそれをしっかりと動画に収めていく。
よし、これをショート動画として俺のチャンネルであげていこう。
どこぞの誰かに勝手にあげられて、急上昇を取られているみたいだしな。
奪い返しにいかなければ。
「お兄様……今のでいいですか?」
「ああ、ばっちりだ。これを動画サイトにあげるからな」
「ど、動画サイト!? それって、お兄様の世界のものですよね!? たくさんの人がみれるっていう……!」
「そうだ。ルルラはきっと人気者になるぞ?」
「で、でも恥ずかしいです……! 勝手にあげるなんて、ダメ! やめてください!」
「いやでももう勝手にあげるやつがいるんでな……」
「うえ!?」
「そういうわけで、そういう奴らに負けないように俺があげようと思ったんだ。大丈夫だ、ルルラは可愛いからな」
「……わ、私……可愛いですか?」
「ああ!」
「ど、どれくらい可愛いですか?」
「どれくらいとは?」
「せ、世界一……とか」
「いや、世界一は俺の義妹だぞ? その次の……次の次の次の次の次くらいには可愛いぞ!」
「……むぅ」
俺としてはわりと全力で褒めたのだが、ルルラはちょっと不満そうに頬を膨らませた。
だとしても、俺は自分に嘘はつけない正直者なので、訂正はしなかった。
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