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 この仮想現実は、接続されているパソコンと連結させることで、普通にネットとかも見れる。

 ここで理想の一軒家を借りて、仮想世界で過ごす、というのも悪くないのかもしれない。


 すでにそういったゲームもあるのかもしれないが、このゲーム世界ならではの楽しみ方というのもあるだろう。


 家はいくつもあり、立派な建物ともなると契約料が高くなる。

 ふーん、なるほどな。

 ざっと見ながら、俺が一つ思いついたことを聞いてみる。


「この家を俺が借りて、別の人に高値で貸し出すとかはありなのか?」


 俺が問いかけると、彼は少し笑みを強めた。

 俺の意図を察してくれたようだ。


「異邦人同士の契約に我々は関与しません。自由にやっていただいて大丈夫です。あっ、契約先が見つからずにこちらへの支払いが滞った場合は、即座に権利を失いますのでそこだけはご注意ください」

「ああ、それはもちろん分かってる分かってる。俺が滞納するように見えるか?」

「いえいえ、そんなこと思っていませんよ。それに万が一滞納した場合は騎士たちが動きますからね。捕まったら痛い目に合うみたいですよ?」

「へえ、騎士ってそんなに強いのか? ぜひとも戦ってみたいな。滞納か……」

「そこに前向きになるのやめてもらえます?」


 冗談冗談。騎士と戦ってみたい気持ちはあるが、恐らく負けイベントのような扱いだろうしな。


 商人のおかげで、金稼ぎの手段ができたな。

 不動産投資だ。

 俺が先にすべて契約してしまえばいい。クランを作りたい人は他の街を目指すか、俺から借りるしかなくなるからな。


 それに修繕費とかそういうのも一切かからないし、クリーニング、リフォームとかも必要ない。

 すべてのプレイヤーがこの街に訪れ、最初にクランを設立したくなるだろうから、そのタイミングを見計らって売りつけるというのはありかもしれない。


 ……契約料だなんだといえば、色々吹っかけられるな。


 異世界でも、建物の売買はしなかったがポーションなどの売買で金を稼いだことはあったからな。

 ま、嫌われない程度に金を稼ぐ必要はあるな。だって、スキルブックが高すぎるんだもん。


 よし、やることが決まってきたな!


 手っ取り早く、盗賊ゴブリンたちを狩って武器を調達したら、この周辺の魔物のドロップを狙っていこう。


 あと、舞のために新しい斧も見つけないとな!

 ただ、そろそろ夕飯の時間だ。

 別に何日か飯を食わなくても生きていけるような体になってしまっているので無理にとる必要はないが、舞の手料理は別だ。


 あれのエネルギー回復効果は凄まじい。そのうちガンにも効くだろう。

 俺は時間を確認してから、ログアウトした。





 ログアウトした俺が一階に降りると、もう舞が夕食を作り始めていた。

 こちらに気づいた彼女が、笑顔とともに振り返る。


「あっ、兄貴! 一旦休憩?」

「ああ。そっちも配信終了したのか?」

「うん。さっきちょうど終わったんだ。兄貴のおかげで、めっちゃ攻略進んで最高だったよ! ありがとね!」


 舞の笑顔が見られて、俺も最高だ。

 やはり地球に戻ってきてよかった……。


 長い勇者の旅を思い返しながら、俺はテーブルを拭いたり、箸を並べたりしていく。

 料理はすぐにできあがり、俺たちは向かい合うようにして座り、いただきます。


「兄貴ー、今どこまで進んだの?」

「ん? さっき、第二の街についたところだ」

「第二の街!?」


 お行儀悪いぞ。でも可愛いからオッケーです。

 口から少しお米をとばした舞だが、そのお米を食べたい気持ちをぐっと押さえつつ、俺はテーブルを拭いていく。

 舞は驚いたような顔をしたあと、目をキラキラと輝かせる。


「あ、兄貴……凄いよ! ていうか、あの森超えたってことだよね!?」

「森?」

「そうそう! 村の先にある森だよ! 山まで見えてたけど、あそこらへんのナイフモンキーのレベル高くない!?」

「ああ。あいつらは、まあ突破したぞ。その先にも行ったな」


 俺が答えると舞は笑顔とともに相槌を打ってくれる。


「さすが兄貴。兄貴の攻略情報は皆で共有してるんだけど、マジで助かってるんだ。あたしたち、『ディメンション』の攻略班だからね。あっ、今はトップ攻略組でもあるんだけど」

「へぇ、そうなのか」

「いやまあ、兄貴が真のトップ攻略組なんだけどね。今、配信界隈凄いんだよ? 『リトル・ブレイブ・オンライン』の配信者は皆凄い同接なんだけど、あたしたちは元々のファン+トップ攻略組ってことで常に十万人以上超えてるんだよね!」

「それって凄いのか?」

「うちの事務所だと快挙だよ! うちは大手よりの中堅って感じなんだけど、今凄い勢いなんだよ!」

「舞のためになったのなら良かったよ」


 嬉しそうな笑顔を浮かべる舞を見て、俺も幸せな気持ちになる。

 これからもお兄ちゃんさらに頑張らないとな。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ある意味、先駆者の特権とはいえ中々エグイ手をw というかそんなことまで出来るこのゲームが凄いし悪いよね。 [一言] この手の作品で廃人レベルの主人公は数いるけれど、既にトッププレイヤーだっ…
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