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『称号は、様々な行動で獲得可能です。ヒントをあげますが、基本的には困難と思われることを達成すると獲得できることがあります』
なるほどな。
チュートリアルでもそうだったな。
連続で盗賊を仕留めたり、無傷で仕留めたり……。
そういった無謀な行為がいいんだな。
村に行くまではいいとして、なるべく高レベルの魔物と最初の戦闘はしたほうがより強くなれそうだな。
そうとなれば、隠密行動だ。
街の外へと出た俺は、周囲の警戒をしながら進んでいく。
足跡や気配を探ってみると、リアルのように感じられるのだが敵の把握は難しくない。
本当に、リアルな作りだよな。
慎重に移動した結果、俺は魔物に遭遇することなく、目的の村まで移動できた。
だが、到着した村はどこか寂れている。
……村の人たちも元気がないな。
異世界でもこんな感じの村があったものだ。
魔物の被害によって、村が危機的状況に陥っていたんだよな。
いつもなら笑顔で勇者権限を使い、村のものを押収していたのだが、さすがに俺も少し心配しながら押収したものだ。もちろん、その村の問題も解決してやったしな。
入り口近くにいた村人が、明らか声をかけて欲しそうに何度もため息を吐いている。
……これ、もしかして何かしらのクエストでも出てるのかね?
「何かあったのか?」
「……はあ、旅の人ですか?」
「そうだ。何か村であったんだろ? ほら、さっさと言えって」
「……せっかちな方ですね。あなたが言うとおりです。……ここ最近、村の近くにオークが現れまして……何とか撃退していますが、どんどん兵士たちが傷ついて言ってしまって……もう耐えられそうになくて」
「なるほどな。それは大変だな。頑張れよ」
「……え? 異邦人の方ですよね? 助けてくれないんですか?」
「助けてほしいのなら誠意を見せてみろ、誠意を。何かくれるのか?」
「……い、異邦人の方は皆優しいと聞いていましたが、あなたは酷い人ですね」
「あー、もうそれ聞き飽きたわ」
異世界では、「勇者なのに」と散々言われたものだ。勇者なら無償で助けろ、みたいな異世界だったもので困ったものだ。
まあ、でもオークか。 最初の討伐モンスターとして、悪くないのではないだろうか?
「まあでもオークをぶっ倒せばいいんだろ?」
「それは……できるのであればお願いしたいですが、異邦人の方はレベルがあるんですよね? いま何レベルなんですか?」
「1だが?」
「……む、無理ですよ? レベル20はあるような魔物ですよ!?」
「でも、オークだろ? 大丈夫大丈夫。あいつら結構バカだから。余裕余裕」
「……ああ! 死んでも知りませんからね!」
「残念でした、異邦人は死なないんですよー」
村人がそう叫んでいたが、俺は気にせずステータス画面を開いた。
もちろん、今のままオークを倒せるとは思っていない。
ひとまず、ステータスポイントを割り振っていくとしよう。
ヘルプを見たところ、職業によって多少の違いはあれど、基本的には筋力が攻撃力に関係しているようだ。
あと、敏捷力だな。相手より速く動ければ、俺は負けない。
俺はステータスポイントを割り振っていった。
メニュー画面を見てみると、クエスト一覧というのがあった。
そこを確認してみると、オークの襲撃、と言うものが追加されていた。
ヘルプにも書かれているが、現地人たちは日々様々な悩みを持っているらしく、会話をすることによってクエストの発生、受注が可能になるらしい。
ランダムクエストと呼ばれるそれらはもう毎日更新されるらしく、早い者勝ちということらしい。
AIなどでランダムで生成しているんだろうな。知らんけど。
それによって、異世界感を増すようにしているんだろう。
この『リトル・ブレイブ・オンライン』の世界が平和な場所になるかどうかは異邦人の俺たちにかかっているらしい。
凝ったゲームだな。通常、ゲームの世界というのは完成した世界観があるものだが、このゲームでは異邦人たちによってどうにでも変わってくるようだ。
例えば、魔物が発生するイベントを放置し続けていたら、街や村がなくなるとかそういう事態もあるようなことが示唆されている。
世界が完全崩壊した後とかはどうなるんだろうな? そんなことをぼんやりと考えながら俺はオークが村を襲ってくるのを待っていた。
オークを仕留めるとはいったが、今の俺のステータスだと称号を活かさないとまともに攻撃は通らないだろう。
称号ボーナスで、俺は村近くで戦闘すれば能力が上がるので、ひとまず待機。
その間に、新しく獲得したスキルを確認していく。
ひとまず、戦闘以外で使用できるスキルを確認だ。
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