火星のテラフォーミングと金星との比較
では火星のテラフォーミングについて書いていきます。
火星の気温についてですが平均気温は−55℃
冬の極点、北極点か南極点の事ですが極点では−133℃
夏の最高気温は30℃にもなるそうです。
これらは金星よりも圧倒的による住みやすそうに感じますが、大気はほぼ存在せず1%以下です。
数値上は住みやすいのか?と個人的に疑問に感じます。
さてこれらを何とかする方法は、SF作品に出てくる人工的な密閉空間を作り、その中を外部から持ち込んだ空気で満たす事でしょうね。
もちろん金星とて同じ事は必要でしょうが、金星の場合は大気圧に耐えるための構造で良いので、地球の建物の延長線上か潜水艦程度ですみます。
また加圧室も必要だとしても、飽和潜水よりは楽に出来るでしょう。
そして火星の場合は金星とは逆で減圧室が必要で、宇宙と同じ様にプリブリーズを行う必要があります。
ただ、与圧減圧の問題は技術の進歩で解消されそうな気がします。
そもそも居住空間外の作業はロボットに任せるという手段もありますので問題は無いと断言できます。
むしろ問題なのはエアロックの開閉による諸問題かもしれません。
例えばエアロックでも空気の流出を完全に防ぐ事は原理上不可能ですし、それ以外にもハリウッド映画のオデッセイのように度重なる使用の結果、気圧差により部品の劣化が進み破裂する可能性もありえます。
もちろん金星でも気圧差によりエアロックが破壊される事はありえます。
ですが金星の場合はエアロックの中に濃密な二酸化炭素が満たされるだけで空気が流出する事はありません。
つまり居住空間内に二酸化炭素が流入しないような構造にすれば問題は無く、隔壁等を設置しておけば事故の際にも救助が来るまで待つか自力で対処して金星特有の濃密な大気を居住空間外に排出すれば良いだけですので、火星のそれとは違い致命的な状況にはなりません。
それ以外の事としては、やはり低重力が致命的でしょうね。
地球よりも重力が低いため、宇宙空間と同じように筋力と骨密度の低下が起きると思われます。
もちろん金星も地球よりは低重力であるので同じ事は起きるのでしょうが、頻度というか重篤性というか、そういったものは下がるように思えます。
それら健康被害を防ぐには人工重力を用いるしかないと思います。
では人工重力とは、どんなものなのか?
個人的に真っ先に思いつくのはガンダムに出てくるスペースコロニーのような遠心力による疑似重力ですね。
ただ、この方式では直径数kmほどの物理的に駆動し続ける巨大な建造物が必要ですし、火星でも金星でも重力自体が存在するので運用は非常に困難な気がします。
次に思いつくのは、2024年現在でも存在を確認されていませんが重力子を使う方式でしょうね。
こちらの場合は施設が巨大になったとしても物理的に駆動する事は無いでしょうが、金星はわずか0.19Gの強化、火星は0.62Gも強化する必要があります。
そして何よりも金星は居住空間のみの強化ですむのに対して、火星は大気圏を作り出すために居住空間外、惑星全体も強化する必要があるのかなと思います。
それ以外にも気温を上げるためには、例えばガンダムのソーラ・システムのような鏡を大量に配置する方法が考えられますが、当たり前ですが照射する場所や収束率を間違えますと火星の大地が溶岩になり、場合によっては火山の噴火の様な現象が起きて死者が大量に出てしまうでしょう。
最後に一応は書くべき事としては火星の月のフォボスとダイモスですが…
間違いなく危険であり、放置するのはよろしくないので早い段階で火星に墜落させるべきでしょうね。地球の月と違って大した質量ではなくフォボスは27kmでダイモスは15kmほどしかありません。
また地球の月とは違いフォボスは上空6000kmという近距離を動いていますし、ダイモスも約2万kmしか離れていません。
ちなみに地球と月との距離は約38万kmです。
さらに追記すべき事としては、外宇宙探査基地としてならともかく永久的に住むためには金星よりも圧倒的にハードルが高いと個人的には思うのですが、1番の問題点は金星よりも実入りが少ない事でしょうね。
なぜ実入りが少ないのかといいますと、火星の表面積は地球の4分の1程度しかありません。
つまり地球に住める限界人数が100億だとするならば、火星に住める限界人数は単純計算ですが25億人になります。
ちなみに金星の表面積は地球の90%ですので、90億人が住める事になります。
さて、今まで書いた内容をまとめますと、個人的には火星のテラフォーミングは不可能では無いのでしょうが金星よりも実収入が少ないし苦労も多いように思えます。