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銀剣のルフィナⅢ

 森のウサギを狩り尽くして冒険者ギルドへと報告へ行くと、ルフィナの階級が上がった。


 ルフィナにとってはキャンプの練習をしただけだが、ウサギをギルドが想定する以上に狩り過ぎたのだという。


 階級が上がれば大きな魔物も狩れるようになる。


「お金を稼いでお母さんを安心させよう」


 ルフィナの目標がそこで決まった。


 依頼を受けて、倒す。


 野営をし、冒険者ギルドに戻って報告する。


 それを三か月ほど繰り返すと、ルフィナはリックと同じ階級の冒険者へと指定される。


 そこまでの階級へと辿り着くと、もはや魔物では相手にならなくなる。


 ルフィナはそこで初めて自分が強いと自覚するようになった。


 そこからは遠方の依頼を受けることにした、それはイールの勧めでもあった。


「ボクはどこにでも行けるよ、国内でも国外でも」


「国外でも?」


「ふふん」


 イールは得意げに鼻を鳴らす、ルフィナはそのイールの自信を買って依頼を受ける決心をした。


 受付の女性が言うには、


「聖国周辺の荒地に人を喰う赤狼が現れて一個商隊を壊滅、その商隊の護衛をしていた冒険者も行方不明、とても危険な依頼になると思われます」


 という、ルフィナの腕試しには良い相手だろう。


 イールは道中でルフィナの強さについて言及する。


「ボクが一番、二番目はレイラだろうね。ルフィナは・・・・リックよりも下かな」


 ルフィナはリックと手合わせをして封牢結界の中に隔絶され何も出来なかった時のことを思い出している。


「今回の相手はたぶん分かりやすいかもしれない、ボクは一撃で倒せるし、レイラも簡単に倒せると思うけど・・・・ルフィナは苦戦するんじゃないかなぁ」


 イールがそう言ってルフィナの自信を砕こうとする、自信は油断を産むからだ。


 ルフィナはそれを聞いて目を輝かせていた、良くも悪くも世間知らずの小娘だ。


 王国の北から街道を通って更に北へ、時計塔の都市から更に北に空中都市がある。そこから西へと山道を行かなければならない。


 緑に溢れていた山々をただひたすらイールに乗ってルフィナは行く、途中で大きな魔物に数体遭遇したがルフィナはそれらを全て単独で斬り伏せた。


 常緑樹が無くなり、砂と岩が目立ち始めたところでイールがルフィナに言う。


「ここからが聖王国かな」


「長い道のりだったね、ありがとうイール」


 ルフィナはそう言ってイールを撫で、依頼の詳細が書いてあるメモを取り出して読み込んでいる。


「商隊が赤狼によってこの荒野で壊滅したみたいだけど、商隊には護衛の冒険者が居たらしいから油断は出来ない。夜の戦闘は避けたいところだけど・・・・・」


 ルフィナがそう呟くと、イールは歩きながら背中のルフィナに言う。


「もう、こっちを見てるね」


 それを聞いたルフィナは取り出したメモを仕舞い込んで、剣の柄にそっと手を置く。


「ちょっと賢いかもしれない、ボクを見て襲って来ることはないかも」


 イールにはどこに居るのか把握が出来ているが、ルフィナにはその存在の感知が出来ない。


「うーん」


 ルフィナは荒野を歩くイールの背で考えている。


 戦えるほどの体調ではあるが長旅の疲れで万全ではない状態、砂と岩に囲まれた荒野一帯はルフィナにとって慣れた環境とは言えない。


「イール、危なくなったら助けてくれる?」


 ルフィナがそう言うと、イールは立ち止まって背中に乗るルフィナを見上げて言う。


「任せて」


 その言葉を聞いてルフィナはイールに作戦の提案をする、荒野に到着した時点で既に夕日が差し込んでいて夜も近い状態だ。


ボクならこの状況で戦わない、とイールが周囲を見渡しながらそう考えていると、ルフィナがイールから降りて言う。


「じゃあ、よろしくね。イール」


「おっけー」


 イールはそのままルフィナをその場に置いて荷物を抱えたまま走り出した。


 ルフィナが単独で荒野の真ん中に立てば、それだけで赤狼にとっては格好の標的になる。


 赤狼は人の肉の味を知っており、すぐにでもルフィナを喰いに現れるはずだ。


 ルフィナはそのままイールの後を追うようにゆっくりと歩き出した、物静かに無駄な足音を立てずにゆっくりとだ。


 歩く様は背筋がぴんとしており、自重をブレさせない、足音も砂と石を踏むだけの音だ。


 イールはその場から離れて、一息に単純な跳躍だけで荒野の崖の上へと移動する。


 じぃっと見つめるその先にルフィナが歩いている、イールは危なくなったら助けるつもりでその場所を選んだ。


『イール』


 イールの頭に鳴り響く声、ルフィナに向けていた意識をそのままに答える。


「なに?マキナ」


 その声の主はこの世界を管理している者、マキナからイールにだけ特別な通信だ。


『少しそっちでトラブルが起きそうなのだけれど』


「少し?」


 通信を聞いたイールが反応する、マキナの言う「少し」はほんの些事ではない、この世界においての一大事、天変地異や大災害、果ては生態系の消失・改変まであるかなりの大事だ。


『ちょっとしたバグというか、うーん・・・・・・原因は分からないのだけど、イールと同存在の何者かがそちらに向かってるみたいなの』


「同存在・・・・」


 イールと同存在というのは、気分でこの星の反対側に数秒と掛からずに移動したり、気分で地盤を蹴り上げて地図を変えたり、気分で空を引き裂いて星々を粉々にしてしまう存在というわけだ。


「え、えっえっ」


『こっちで原因を究明するまでにしばらく時間が掛かりそうだから、それじゃ頑張ってね』


 マキナからの通信は一方的に切断された。


 イールが向けた視線の先で、ルフィナが荷馬車よりも大きい赤狼と対峙していた。


 僅かな足音もなく、イールの背後に全身に鎧を纏った騎士と、その騎士が騎乗している鎧を着た黒い鳥がこちらを見ていた。


「え、えーと」


「キシャアアアアアアアアアアア!!」


 黒い鳥は甲高い声を上げ、イールを威嚇している。


「あっ、え、喋れないの」


 イールがそう言うと、黒い鳥に騎乗した騎士が大剣を引き抜いた。


 その瞬間に、黒い鳥がイールに駆け寄り騎士が大剣を振り抜いたが、イールは残影を残して移動する。


 練度が高い、とイールはその一撃で黒い鳥と騎士の経験値を測る。


 イールは移動したその先で赤狼と斬り合うルフィナを見やり、大きな溜息を吐いた。


「同存在ということは、あっちが本気を出しても、こちらが本気を出しても等しく同じってことだな」


 そう呟いて焦燥するイール、未だかつてない命を侵す存在に、装備していた荷物を解いて振り落とす。


 あちらが鎧兜を装備しているのなら自身の装具を装備した方が良い、そう考えたイールは切り開いた次元の先に片足ずつ足を突っ込んで爪具を装備する。


 準備が出来るまで黒い鳥と騎士はイールを見ていた、余裕のつもりなのか騎士だから騎士道に則ったつもりなのかはイールにも計れない。


 いっそのことこのまま話すだけ話して、赤狼と斬り合うルフィナの安全が確認できるまではとも思ったが、黒い鳥の方はどうにも会話が出来そうにない。


 同存在はどう見てもあの黒い鳥だ。


 同じ体躯、同じ顔、異なる黒い羽毛、というだけだがイールの中で何かが引っかかっている。


 イールが装着した爪具は、イールの生み出す圧倒的な脚力を殺すための装具だ。あまりの脚力の強さから周囲に対する影響が強すぎるために、やたら頑丈に作られている。


 魔力を込めるとその力に対して重力に反発し、装着者であるイールが浮遊する。


 ふわふわとその場で漂うイールを見て、黒い鳥に乗る騎士が首を傾げている。


「ふふん、この爪はボクの魔力を込めることによって浮く」


 イールがそう言って自慢げに説明していると、首を傾げた騎士が言う。


「お、お前は・・・・・いや」


 声の高さからして女性だとイールは判断する。


 目の前でふわふわ浮遊、滑空するイールに対して黒い鳥が踏み込んで一息に近づき、騎士がイールに対して一刀両断に切り込む。


 浮遊するイールはそれをふわりと避け、更に追撃するために大剣をイールに突き立てた。


 イールは突き出された大剣を左足で掴み、浮遊したままで言う。


「ボクは別に君らを倒したいとか、屠りたいとか、命を奪いたいとか、考えてはいないよ。それなのに何故・・・・?」


 騎士はイールの足を大剣を振り解き、黒い鳥がイールに対して距離を取る。


「貴様は、貴様が存在するだけでその世界に影響を与えることを知っているのか?」


 騎士がイールに対してそう問うたが、イールにとってそんなことは知ったことではない。


「ボクはただの鳥だよ」


 イールは騎士と黒い鳥から視線を外して、ルフィナを見やる。


 ルフィナが赤狼と斬り合っている、なかなか苦戦しているようだが手伝う必要はなさそうだ。


「ボクはあの子の面倒を観るという大役をあの子の母親から頼まれているんだ、邪魔をされるのは困る」


 イールがそう言って観ている先を騎士と黒い鳥も見やる。


「ふむ」


 黒い鳥が騎士の手綱によって踏み込み、一息に赤狼の頭上から赤狼の首をはねた。


 ルフィナはその様子を見て、後ろに下がって騎士と黒い鳥から距離をとった。


「あれ?」


 距離をとったルフィナの傍らにイールが移動し、イールはルフィナを守るように間に入る。


「こんな雑魚に時間がかかるようでは」


 そう言った騎士に対して、イールは咳ばらいをして口を挟む。


「あ、あー、その赤い狼はまだほんの子ども・・・・・」


 ルフィナ、イール、騎士と黒い鳥に暗い影が差す。


 先ほどまでルフィナが戦っていた荷馬車ほどの大きさの赤狼とは比べ物にならない、ちょっとした崖くらいの大きさの赤狼が姿を現した。


「えぇ・・・・・」


 ルフィナはその赤狼の巨大さに口を大きく開けて驚いている。


「獲物が一か所になるまで様子を見ていたみたいだね、巨赤狼とでも呼称しよう」


 イールの呑気な発言に呆気にとられながらルフィナは騎士と黒い鳥に向けていた剣を鞘に納め、イールの手綱を掴んで騎乗する。


「特殊個体みたいだね、冒険者が赤狼を狩る必要がなくなったから増えたみたいだ、っと」


 巨赤狼は騎士と黒い鳥、ルフィナとイールに狙いを定め、振り上げた右足をそのまま振り下ろした。


 イールと黒い鳥は巨赤狼が右足が触れる前にその場を移動する。


 爆発と爆音が周囲に土埃を巻き起こすと、イールとルフィナ、黒い鳥と騎士がそれぞれ遠くから巨赤狼の様子を見れる位置まで移動していた。


「あれはなかなか・・・・それでイール、あちらの人達は何なの?」


「“違う世界”からの来訪者らしい、どうやらボクに用があるみたいだ」


 ルフィナが倒すのに時間を掛けていた赤狼を一太刀、ということはルフィナにとって格上。


 更にはイールと変わらない移動速度、違う世界からの来訪者と言われれば納得がいく。世間知らずのルフィナから見てもイールは特殊すぎる存在、その移動速度に着いて来られる黒い鳥というのもイールの他に見たことも聞いたこともない。


「どうする?」


 ルフィナがイールにそう伺う、イールにとってルフィナは保護しないといけない存在だ。


 下手にルフィナが刺激されて特異【増幅】を無作為に引き出されるのも都合が悪い、巨赤狼はニオイに気付いてすぐにこちらに向かって来るだろう。


「うーん」


 悩むイールの様子を見て、ルフィナはちらりと騎士と黒い鳥を見やって言う。


「あの人達、私を助けてくれたんだよね?」


「うーん、かもしれないね」


 確証はないけど、巨赤狼を倒すくらいの時間はくれそうだとは思う。謎の信頼感がある。


 ルフィナはイールから降りて、淡々とイールに言う。


「危なくなったら助けてくれればいいから」


「わかった」


 巨赤狼目掛けてルフィナが鞘から剣を抜いて走り出した、とても嬉々としている顔だ。


 ルフィナの後ろ姿を眺めているイールの近くに騎士と黒い鳥が近づき、言う。


「よいのですか?」


 その言葉を聞いてイールは、騎士と黒い鳥を横目に見て言う。


「ボクはあの子の保護者なんだ、邪魔しないでくれるかな」


「手は・・・・・出さないでおきましょう」


 口では何とでも言える、とイールが横目で騎士と黒い鳥を見ている。


 黒い鳥はどこからどう見てもイールと似た近縁種、言語を用いて会話することは出来ないが移動速度はイールとほぼ同じ速度だろう。


 一切、攻撃を行わない代わりに騎乗している騎士を守るために全力を注いでるといった感じだ。


 バリアの展開もできなければ言葉を発せず魔法も紡げない、ただ一つ優位だとするなら乗っている騎士との相性だ。


 騎士と黒い鳥が動く様子はない、ルフィナは。


 ルフィナはあの騎士の騎乗剣技を間近で観て、境地に入っていた。


 ゆっくりと歩みを進めた先に、巨赤狼が大きな体躯を駆ってルフィナを食い千切ろうと鋭く牙を立てた。


 ルフィナはまさに今、自分を飲み込もうとしている牙を跳躍で避け、避け様に巨赤狼の耳を剣で切り裂いた。


 そのルフィナに対して巨赤狼は感じる痛みに反応して前足を上から下へと振り下ろす。


 空中では避けきれない攻撃に、ルフィナは剣を爪に合わせて、逸らした反動で上手く空中に避ける。


 前足に違和感を覚えた巨赤狼はすぐにその場から後ろに下がり、ルフィナから距離を取る。


「よっと」


 そう言ってルフィナが綺麗に着地すると、巨赤狼は獣の咆哮をルフィナに浴びせる。


 易々と、そう簡単には喰えない相手だと巨赤狼が察したようだ。


 剣に付いた血を払い、ルフィナは厚い毛皮に覆われた巨赤狼の外皮に対してどう切り込もうかと考えている。


 ルフィナの剣は業物ではあるが、肉を斬る以上の切れ味は出せない。


 師匠である蒼い髪の男は【波動剣】を扱い、イールの前の乗り手であるリックは【封牢結界】をより大きい刃へと変えることが出来ていたが、ルフィナにはそれがない。


 ただ単純に剣術のみが突出している、それ故に大きく堅い相手に対しては攻撃も鈍い。


 それならただ斬るしかない。


 巨赤狼の体毛は容易に斬れない、皮も肉も剣は通りにくい。


「どうしたものか」


 巨赤狼の噛みつきをひらりひらりと避けながらルフィナは自分を見ているイールの視線を気にしている。


 ルフィナ当人でさえよく分からない力、特異【増幅】を使えばこの世界の理を捻じ曲げてしまうだろうが確実に巨赤狼を倒すことが出来る。


 それはルフィナにとって好ましいことではない、ルフィナは自身の実力で巨赤狼を屠りたいと願っている。


「見様見真似だけど、お師匠の技!」


「む」


 イールがルフィナの動きを見て、僅かな反応を見せた。


 ルフィナが持つ剣が光り輝き波動を纏い、無数の刃となって巨赤狼を覆い尽くした。威力と技の精度は申し分なく、その一撃で巨赤狼を倒してしまった。


 彼女が放ったそれは紛れもない【波動剣】だが、今までに出せたことのない技にしては精度が高すぎる。


「できた!」


 イールは喜ぶルフィナを見つめて、怪訝な顔をしている。


 その様子を後ろの騎士と黒い鳥が観ているが、そのイールの様子に思わず騎士が話しかける。


「何やら不満そうですね、人を害す魔物を討伐できたのなら喜ぶべきでは」


 イールはその言葉を聞いて振り返り見て、騎士に対して言う。


「こっちにはこっちの事情があるんだ、それよりも次は君達だ」


 倒された巨赤狼が黒い灰となってその場から消えゆく、それを背にルフィナが笑顔でイールの下へと歩み寄っている。


 そんな最中でイールは騎士と黒い鳥と話す。


「私達は自分達の世界を脅かす脅威を排除するために来たのですが、どうやら見込み違いだったようです」


「見込み違いで攻撃されるのは困るんだけど」


 イールはそう言って騎士と黒い鳥を見つめている。


「こ、こちらに不手際があったのは認めます。申し訳ありませんでした」


「別に争いたいわけではないから許すけど、二度と邪魔しないで欲しい」


 歩み寄って来たルフィナがその言葉を聞いて、イールに問う。


「イール、知り合い?」


 イールはルフィナの傍に歩み寄り、首を下げて姿勢を低くしてルフィナが騎乗しやすいようにする。


「いいや、別の世界からの来訪者らしい」


「へえ」


 ルフィナがイールに騎乗すると、イールは低くしていた姿勢を戻して騎士と黒い鳥に言う。


「ここは聖国周辺の荒廃地帯、ボク達はこれから聖国の都市に立ち寄ってギルドから複数回の依頼をこなして帰るけど、君達はどうする?」


 問われ、騎士と黒い鳥は沈黙している。考えているようだ。


「ボクはイール、管理者から【最強】の特異点と呼ばれている。背中の子はルフィナ、同じく特異点の【増幅】を持ってる管理者の監視対象だ」


「私は」


 騎士は自らの名をイールに伝える。


 不覚にも聞き馴れた名前を聞いてイールは固まってしまった。


「私達の世界に対しての脅威が無ければここに長居しても意味はない、私達は別の世界へと発つ」


「そう」


 納得し言葉を返したイールはどこか嬉しそうだ。


「じゃあボク達は行くよ」


「ああ」


 イールはルフィナを背に乗せてその場を後にした。


 長く居続けても益はないし、黒い鳥はイールと同存在だから好ましくはない。


 全身鎧の騎士はイールがよく知る人物だが、この世界の人物ではない。


 相性が良かったのはそのせいだとイールは自己の中で納得した。


「ヘンな人達だったね」


 ルフィナがそう言うと、イールは上機嫌にルフィナに言葉を返した。


「ヘンだったね」


 イールはありとあらゆる可能性の一端、その中でも選りすぐり特異点【最強】を持つ鳥だ。


 騎士と黒い鳥はそれとは異なる一端だという話だ。その中でも一際イールが憧れと幻想を抱く可能性の一つ。


 その事実を目の当たりにして嫉妬し、安堵したのだった。


「なんか機嫌がいい?」


 ルフィナがそう聞くと、イールは鼻歌交じりに横目でルフィナを見上げる。


「そう?」


 何故だかよく分からないが、ルフィナにとってはイールの機嫌が良さそうに見えた。



応援してくれると励みになります、色々

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