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銀剣のルフィナⅩ

 イールがギィギィと鳴くと、喉に詰まったような声でもう一匹の金色の鳥がギギと鳴く。


 ルフィナには何と鳴いてるのか分からないが、鳥が仲間にコミュニケーションを図る声に似ている。


 和解したのか、イールは背に乗るルフィナの顔を横目で見て言う。


「もう大丈夫だよ」


 青い髪の男が傍に立つ金色の鳥を撫でている。


 ルフィナはイールから降り、そうして蒼い髪の男に何と声を掛けた方がいいのか悩んでいるとイールが開口した。


「シック、大体の話はマキナから聞いたよ」


「ああ、こいつを頼まれてな」


 そう応えた蒼い髪の男の隣で金色の鳥はようやく口を開いた。


「もう間もなくリックとルセナがここに辿り着く・・・・・どうするつもりだ?」


 問われたイールは蒼い髪の男に言う。


「あの二人の暴走の原因はシック、どうやら君に対してのものらしい。どうするのか先に聞きたい」


 イールに言われ、後ろ髪を掻いて蒼い髪の男は言う。


「俺は“俺”ではないしな、どうしようもなにも・・・・・・」


 ルセナの特異【創造】はそっくりそのまま同じ人間を造り出している。イールの攻撃でも消滅出来ない原型に戻る体、オリジナルと同じ意思を持つ完璧な複製体、そして不滅の存在だ。


「・・・・・・・・・・」


 沈黙する金色の鳥、イールはその様子を見て蒼い髪の男に言う。


「結末は“ボク”が全部知っている。どうなったのかシックも聞いただろう?」


「ああ、困ったことになる。イール、お前を除いた全員がいなくなるらしい」


 蒼い髪の男の言葉を聞いて想定通りだったのかイールは頭を下げた。


「そうか、ひとりぼっちかぁ」


 沈黙している金色の鳥が、うなだれていたイールが同じ方向に顔を向ける。


「時間は待ってくれない」


 そう呟いた金色の鳥の言葉をイールとルフィナは耳にするが、会合は避けられない。


「お父さん・・・・?」


 そう呟いたリックがルセナと共にこの場に現れた。


 現れたリックが次に目にしたのはみすぼらしい鳥と、ルフィナとイールだ。


「イール・・・・!」


 リックは即座に二刀の短剣を抜剣し【封牢結界】を足場に高速移動、イールに全力で襲い掛かる。


 まるで火のようだ。


 イールは返す刃でリックを爪で引き裂くことも出来る。バリアを展開してリックを吹き飛ばすことも容易いが、無防備にリックを見ていることしか出来ない。イールにとっての行動が全て悪手なのだ。


 見ていた金色の鳥が目を瞑り、その後の展開に息を呑む。


 イールに襲い掛かるリックの初撃である左手の一刀を、ルフィナがイールとリックの間に入って剣先で逸らし、縦回転するリックの全力である右逆手の一刀をルフィナが更に弾く。


 二人の間に火花を残してリックはすぐに【封牢結界】を足場に後退し、体勢を整えた。


「少し話し合いをしましょう、リックさん」


 リックは聞く気もない素振りでルフィナの様子を伺っている。


「お師匠様はもう」


「うるさい!」


 それ以上を言わせないためにリックは激昂し、【封牢結界】そのものを両手の短剣に纏わせる。


 それは空間と空間を断界する結界の刃だ、届くのならイールを二つに切り裂いてしまうほどの威力がある。


 見様見真似でルフィナも剣に【私の結界】を纏わせる。


 見てしまえば“出来て”しまうルフィナの天性の才を伺わせてしまう。


 ルフィナとリックの刃が交わる間に蒼い髪の男が立ち塞がり、二人の刃を両手で止める。


 刃が指を落とし手に入り込み、肩まで達するほど鋭く蒼い髪の男を切り裂いてしまうが、瞬時に傷がなかったかのように原型を取り戻してしまった。


「お師匠様!?」「お父さん!?」


「まあ落ち着け」


 ルフィナとリックは双方、刃を止めた。


「落ち着け」


 再度、蒼い髪の男がルフィナとリックの剣を下げさせる。


「まず結論を話す、俺はこいつと行く」


 蒼い髪の男がそうして金色の鳥を指差した。金色の鳥はその言葉に嬉しさもあり小さく羽ばたいた。


「俺はシックという人間ではない、そこのルセナが作り出した特異【創造】の産物。この場所に在ってどの場所にもいない幻影のようなものだ」


 蒼い髪の男はリックの後ろに立つルセナに目を向ける。


「だから戻る気はない、あの場所はシックという男の場所だ。姿形が似ていようとも俺が居続ける道理はない」


 次に蒼い髪の男はリックを見る。


「シックという男は死んだ」


 そうして最後にルフィナを見て、蒼い髪の男は目線を下に向ける。


「俺は何者でもない、師でも父親でもないんだ」


 その言葉を聞いたリックは糸が切れたように力が抜け、その場に座り込んでしまった。


 傍観していた金色の鳥が蒼い髪の男に近づき、頭で蒼い髪の男を押す。


 ルフィナは抜いていた銀剣を鞘に納め、そうして後ろで見ていたイールと目を合わせた。


「帰ろう」


 イールがそう言った矢先、金色の鳥はその場にいる全員に対して聞こえるように呟いた。


「また変えられなかった」


 その言葉を聞いたイールが首を傾げる。


 ぽん、と一部始終を見ていたルセナは思いついたように言った。


「そうね、思い通りにならないのなら全部創り直せばいい。そうよね、リックさん?」


「お母さん?」


 その言葉を聞いたルフィナがそう言って首を傾げた。


 次の瞬間、ルセナを中心にその世界を壊す規模の爆発が惑星を飲み込んだ。


 イールはルフィナとリックを庇うように前に立ち、空間を爪先で引き裂いて二人を別の世界に移動させる。


 金色の鳥もまた蒼い髪の男と別の世界へと移動する。


『イール、ルフィナ、両名に特異点【創造】の消去を申請する』


 観測していたマキナからの申請が下り、イールはすぐに動き始めようと空間を切り開く。


「ま、待ってください!」


『これは決定事項よ、このまま特異点【創造】を放置すれば私達が壊れてしまう。イール以外のすべての存在が死滅どころか存在の痕跡すら残らなくなるわよ』


「で、でも!」


『従わないのならルフィナ、あなたも消去しないといけなくなるわ』


「そ、そんな・・・・・・!」


 躊躇うルフィナに対してイールは二人に聞こえるように言う。


「ボクだけで十分さ」


 そう言ったイールと、先ほどの金色の鳥の姿が重なり、ルフィナは息を呑んで言った。


「私も行」


「【万華鏡封牢結界】」


 そう呟いたリックにより、イールとルフィナは【封牢結界】の檻に閉じ込められた。


 イールを数秒止めた【封牢結界】を幾重にも重ね、そして万華鏡の如く変質する檻。空間そのものを遮断してイールの空間移動のための知覚を惑わせている。


「これは・・・・・リックさんの・・・・?」


「どうやらボクは未来を変えられないらしい。このままだとリックを殺さなければならないし、ルセナも消去しなきゃならない、そうすればルフィナ、君を・・・・・・・」


 イールがルフィナにそう呟く、イールは最強であっても最高の結果を出せない。


 このままイールだけが動いてしまえば、金色の鳥が歩んだ道と同じ道を歩むだろう。


 ルフィナの特異はただ【増幅】するだけでルセナの【創造】の暴走を止められない。


 どうする、どうしたらいい、そう自問自答するうちにルフィナは自分自身でも思わぬことを口走る。


「私達でどうすることもできなければ・・・・・・破壊するしかない」


「ルフィナ?」


 ルフィナの様子を伺ったイールに対して、ルフィナはイールと顔を見合わせた。


「イール、特異【破壊】の所に跳んで!」


 すぐさまルフィナはイールの背中に飛び乗ると、イールの力を特異【増幅】により強化する。


 イールはリックの【万華鏡封牢結界】を蹴りだけで破壊する。


 結界を破られたリックがイールとルフィナを阻止しようとするが、既にその場にいないことを知ってリックはへたり込み、その場から動かなくなった。


 ふと、地面に目を向けたリックが周囲を見渡すとそこは知らない世界ではない。


 木々の葉が揺れ、森が騒がしく、鳥達の聞き馴れた鳴き声にリックは覚えがある。


「お姉ちゃん・・・・・?」


 リックの封牢結界の出現に気付いたエウリュアレが裸足で家から飛び出して来ていた。


「エウリュアレ」


 駆け寄って来たエウリュアレがリックの頬を平手で叩く。


 始まった姉妹の初めての喧嘩は、浴びせる言葉もなくただただ互いに泣いているだけだった。





 特異点【破壊】の赤鳥は、本来は破壊を好まない静かな鳥だ。


 湖畔に佇むその姿は穏やかで、とっくの昔に隠居しているし、嫁も子も孫もいる。


 その赤鳥のすぐ傍にある空間が切り裂かれ、イールがそこから顔を出して言う。


「赤いの!」


 周囲に居た赤鳥の家族が全員その場から離れ、赤鳥は何事かと目を丸くしている。


「手伝って!」


 ルフィナが赤鳥にそう申し出る。


 何も分からないまま、状況は危機のために特異点【破壊】の赤鳥はイールとルフィナによって半ば強制的に他の世界へと連れ出された。



 ▼



「【静寂】!」


 イールが次に向かったのは特異点【静寂】の世界だ。


 その存在のせいで世界はより穏やかでもあり、空しくもある。


「手を借りたいんだ!」


 そう言ったイールの元に一匹の子鹿が近づいた。


 ルフィナには分からないイールと子鹿の会話はむしろ沈黙の方が際立っている。


 しばらくの沈黙が続いた後、イールは背に乗るルフィナに言う。


「【静寂】の本体みたい」


 以前の巨大な鹿は実体を持っていない霧のようなものだった、むしろ今の姿形の方がルフィナにとっては理解しやすい。


「手伝って欲しいの」





 特異点【解放】の少女はイールのイグドラシルフィールドによって自身の足で歩けるようになった。


 それ自体はとても良いことだ。少女も【最強】の特異点には感謝している。


 しかし、少女の目の前に直面するのは退屈な日常と退屈な運動の連続だ。


 元々の気質や性格もあるが、特異点【解放】の能力の余波によって自身の学習速度は他の者よりも早く、動かせなかった身体も見ただけである程度できるようになってしまった。


 歩けるようになってしまったおかげで学校に通わないといけなくなってしまい、以前のように引きこもることが出来なくなってしまったのだ。


 少女は意図して【解放】の特異を使うことはない。


 ただ目立つことは避けて、ひっそりと暮らしていければ少女にとってそれで良かった。


 学校は少女にとって退屈そのものだった。


 退屈、何もしたくない、授業も周りに合わせているだけでテストの答案も平均点より上が取れればあとは間違えて誤魔化すだけ、つまらない。


 運動も中途半端にこなせばそれだけでいい。


 退屈、つまらない。


 家に帰りたい、引きこもっていたい。


「【解放】!」


 授業中にも関わらず教室に現れた特異点【最強】のイールを見て、少女は持っていたペンを思わず落としてしまった。


「え、あ、ちょっ」


 少女は慌てる、歳相応に、教室にいる誰彼からも視線を受けて、目立ちたくはないが無視もできない。


「手伝って欲しいの!」


 そう言ったルフィナがイールに乗ったまま【解放】の少女に手を差し伸べる。


 イールは周囲を見渡して理解するかのように言う。


「申し訳ないがこの子を借りていくよ、先生」


 鳥が喋っていることに驚いて、教師も唖然として反応できないでいる。


「【最強】」


 そう言った少女に対してイールは言う。


「緊急事態なんだ」


 教師の制止に対して一礼し、少女はルフィナの手を取った。


 すぐさまイールは空間を引き裂いて他世界へと消えるように移動する。


 誰も彼も何も分からないままただ一人の少女がいなくなったという事実だけを残して教室は静まり返っていた。





「みんな揃ったね」


 そう言ったイールの目の前に、【破壊】の赤鳥、【静寂】の子鹿、【解放】の少女、そして【増幅】のルフィナが会合する。


「私のお母さん、特異点【創造】を止めて欲しいの」


 ルフィナの願いに対してそれぞれが耳を傾ける。


「【創造】は新たな世界を作り出そうとしてる」


 そう言ったイールに対して少女が問う。


「それはマキナの処分対象なのでは?」


「ボク一人だとどうにもならない結果しか残らないみたいなんだ」


「それで、どうしたらいいの?」


 問われたイールは赤鳥を見やり、そうして言う。


「【破壊】で創造物を壊して、【解放】で【創造】を持ち主から露出させて、【静寂】で暴走を抑え込む」


 赤鳥は自信の無さを反応で示す、それは分かりやすい反応だ。


 膨れ上がる創造の大規模な破壊になるため、それ相応の規模となる能力の発現は自身でも行った前例がないのだ。


 そんな赤鳥の反応を見て、ルフィナは言う。


「私があなたの【破壊】を【増幅】してあげる」


 かくしてイールとルフィナの作戦は各々の同意を得て直ぐ様に実行される。


 赤鳥と共にルセナが作り出した大地にルフィナが現れた。


 赤鳥とルフィナは、ルセナの特異【創造】の力を目の当たりにする。


 既に一つの惑星そのものが出来上がっており、緑樹や海、そして動物までもが存在している。


「赤鳥さん、いくよ」


 ルフィナのそんな声に応じて赤鳥が特異【破壊】の能力で大地そのものを破壊する。


 その破壊をルフィナによる特異【増幅】が拡張していく。


 急に空が真っ暗となり、音を立てて全ての創造物が飛散して消えていく。


 その空の様子を確認したイールが【解放】の少女を乗せて創造された惑星の中心へと落下するように駆け抜けていく。


 少女は惑星の核を視認すると、特異【解放】の力を掌から発現させ、特異点【創造】のルセナを表へと表出させた。


 イールが時空を爪先で引き裂くと、裂かれた時空の亀裂から子鹿が特異【静寂】の力を行使する。


 その瞬間、ルセナの特異【創造】はあらゆる創造を制止した。


 イールはルセナを左足で掴み、子鹿が覗いたその時空の亀裂から【解放】の少女と共に移動する。


 特異点【創造】によって創られた惑星は赤鳥とルフィナによって霧へと変わる。


 その頃合いを見てイールが赤鳥とルフィナを回収した。


 真っ暗な宇宙だけがそこに在るだけとなり、最後に残った小鳥も霧へと消えていく。


「お母さん!」


 ルフィナの声を聞いて目覚めたルセナはルフィナを見やり、きょとんとしている。


 周囲を見渡し、揃う特異点の様相を確認すると漸く自身の行いを止められたのだと理解する。


『イール、特異点【創造】を処分なさい』


 そう言ったマキナの声を聞いてルフィナがイールとルセナの間に割って入る。


「・・・・・・・・・」


 イールは動かず、何かを考えているようだ。


 続く沈黙に耐えきれず、ルセナが自身を庇うルフィナに対して言う。


「もう、いいわ。ルフィナ、もういいのよ」


「お、母さん・・・・・」


 ルセナはルフィナに対して頭を下げ、そうして各々にも向かって頭を下げた。


「あの人がいなくなって気付いたことがあったわ」


 ルセナはそうしてルフィナに言う。


「私はあの人に恋していたみたいなの」


「・・・・・・・・・・・・」


 イールはそれを聞いて更に沈黙を続ける。


「私は元いた世界では奴隷民。自由を許されない民の末裔、そしてその国の王の妾として何も知らないままにお城に来たの。すぐに子供が出来て最後には捨てられたけど、ルフィナ」


 ルセナはそう言ってルフィナの頭を撫でる。


「私はあなたを愛しているわ」


「・・・・・・・・・・・」


 イールはそれを聞いても微動だにせず沈黙する。


「イールとリックさんに助けられて、違う世界に来た後は何もかも新鮮で驚きの連続だった。パンとミルクなんて三日に一度食べられるかどうかだったのに、毎日食べられるなんて夢のような日々だったわ」


 ルセナは笑んでルフィナに言う。


「お母さんね、恋をしたの。その人はひねくれてへそ曲がりでいつも難しい顔をしてたけど、私に恋を教えてくれた。だから、引き下がるわけにはいかないの」


 ルセナは俯いて、そうしてイールに再度頭を下げる。


「お願いします」


「・・・・・・・・・・・・・・」


 そう言われても尚、沈黙を続けるイールは動かない。


「私もあの人のところに行きたい、あの人と一緒に居たいの」


「お、おか、あさん!」


 涙を瞳に溜め込み、ルフィナは自分の母親を守ろうと剣の柄に手をかける。


 その様子を見てイールは溜め息を吐き、マキナと周囲に対して言う。


「ボクは特異点【創造】のルセナは暴走していないと思う」


 そのイールの言葉に対して【静寂】の子鹿と、【破壊】の赤鳥が反応する。


 【解放】の少女はクスクスと笑ってマキナに対して言う。


「マキナ、私も暴走ではないと思うわ」


『・・・・・・・・』


 マキナは声にならない狼狽えを見せている。


 そのマキナの反応に対してイールは言う。


「そもそも今回の件はマキナの不在が混乱を招いたことにある」


『なっ』


 それを聞いた特異点【破壊】【静寂】【解放】はそれぞれ違った反応を見せる。


 赤鳥は頷き、子鹿は跳びはね、少女は頷く。


 それらは一様に同意を示している。


「死んだ後にモテるなんてシックもツイてないなぁ」


 そう言ったイール含めて、マキナは皆に対して裁定を下す。


『こちらで再審議するわ。処分は保留、特異点は解散なさい』


 それを聞いたイールが【破壊】【静寂】【解散】の三者に対して時空に亀裂を作り、移動できる門を作る。


「ありがとう、みんな」


 赤鳥と子鹿はすぐに移動したが、少女は振り替える。


「イール」


 そう言った少女が自分自身の足を指差してイールに言う。


「歩けるようになったから」


「そ」


 イールはそれを聞いても素っ気ない、イールにとってはただの気まぐれに過ぎないからだ。


「ありがと」


 少女はそう言って亀裂から自分の世界へと戻って行った。


「さて」


 イールはそう言って改めてルセナと泣き止んできょとんとしているルフィナを見やる。


「シックは元々、別の世界の住人で、あれはただ独り歩きしたシックの分身だよ」


 真実を告げるイールに対してルセナとルフィナはただ聞き入るだけだ。


「だからまあ、元々のシックは」


 そこから先、イールが語る真実をルセナとルフィナが聞いたとして二人がその後どうなったのかは語ることが出来ない。


 エウリュアレとリックがその後、どうしたのかもまた語ることが出来ない。


 全てを丸く納めた後、イールがどうなったのかを知ることは出来ない。





 その後。


 名も無き黄金の鳥と、蒼い髪の男は別れて別々の道を歩き出した。


 黄金の鳥はあらゆる世界へと現れて、異変を産み出す特異点を尽く葬り去った。


 例え乗り手が居なくても黄金の鳥は奮闘した。


 疲れた黄金の鳥が訪れた場所は、世界樹イグドラシルが完璧に成長しきった世界だった。


「・・・・・どうしてこんなところに」


 世界樹イグドラシルが完全に成長しきっており、その中心から生命の脈動を感じる。


 黄金の鳥は中心へと移動し、そうして周囲を見渡した。


 神殿、奉っている像は耳の長い女神。


 一足でその像の後ろにある枝を通り抜け、更に奥の光へと黄金の鳥は足を運んだ。


 淡い光を放つその光を見つめて黄金の鳥は呟いた。


「【再生】の特異点・・・・・」



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