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金の厄鳥Ⅰ
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ボクは失敗した。
リックを説得できなかった。
ルセナの暴走を引き起こした。
ルフィナが自ら命を絶った。
元の世界に戻ると、エウリュアレは優しくボクを迎え入れてくれた。
だけどボクはエウリュアレがとても残念そうにしていたのを知ってる。
年月が過ぎて、エウリュアレがおばあちゃんになった。
歳老いることのないボクは【最強】の特異点。
誰にも負けることのない【最強】の特異は常にボクを蝕み続けた。
そして誰もいなくなった。
いつしか汚れを気にすることもなくなったし、エウリュアレが亡くなってから食べ物は口にしていない。
ボクはいったい何者なの?
何でも出来ると己を過信していた【最強】のボクはいない、もはや自分が何なのかすらも分からない。
どう喋っていいのか分からない。
どう鳴いていいのか分からない。
大きな森と、心地良い風と、傍にいる蒼い髪の男。
そしてギィギィと鳴く、ボクの声。
失ったあの日に戻って来たのだと、ボクはその声を聞いてやっと理解した。




