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黙する老兵は語らないⅡ

 崩壊した世界には足場などなく、瓦礫や地盤が空中に滞空しているだけだ。


 その中心部へ行けば惑星の核をその目に焼き付けることが出来るだろうが、老兵の身では少し熱すぎる場所だ。


 その老兵、蒼い髪の男は管理者マキナに仕事の依頼をされたから崩壊した世界へと足を運んだ。


 瓦礫と地盤を渡り、ようやく辿り着いた場所で老兵は声を掛ける。


「××××か?」


「・・・・・・・・・」


 喋れる鳥のくせに沈黙している、その鳥は黄金の羽根をくすませて鞍も手綱も付けずにその場に佇んでいた。


「やれやれ、こちらの時間軸だとこうする他に選択肢が無かったみたいだな」


 蒼い髪の男がそう言うと、その鳥は重い口を漸く開いた。


「みんな居なくなった」


 蒼い髪の男はその一言だけで察した。


「そうか、お前は未来の・・・・・・」


 いずれ来る未来の可能性だ、この鳥は決してその身を滅ぼすことはないが、それ以外の者は違う。


 この鳥は何世代も後のイールなのだ。


「みんなが居なくなってもやることはやらないと・・・・・・」


 毅然として目的と使命を忘れてはいないが、彼は疲れているようにも見えた。


 蒼い髪の男は溜め息を吐いて埃だらけでくすんだかつて黄金だった羽根の埃を払った。


 突然、現れる目の前の来訪者に名もなき鳥は臨戦態勢を整えた。


「くる」


 崩壊した世界に訪れる来訪者がこの名もなき鳥の目的のようだ。


 時空に空いた穴から無機物の球体が現れた。


 名もなき鳥はその球体目掛けて走り出し、流星のように熱と光を帯びて球体に蹴りを放つ。


 衝突と同時に衝撃波と雷鳴が轟き、崩壊した世界の瓦礫や地盤が更に砕けていく。


 蒼い髪の男はその現れた球体に飲み込まれていく砂埃の混じった気流と瓦礫、地盤を目視してようやくその球体の危険度を認識する。


「完全なる球体か」


 名もなき鳥がその球体の出現を待っていた理由がわかる。


 その球体は全てを飲み込んで崩壊した世界を虚無にしている。


 あのまま出現し続ければ、名もなき鳥が対処しなければ、この世界そのものを無に変えていただろう。


 元の場所に戻ってきた名もなき鳥の右足が消失しているが、すぐに再生され元の右足へと戻っていく。


「ボクはもう行くけど」


 口を開いた名もなき鳥に対して、蒼い髪の男は言う。


「連れていけ、世話してやる」


「・・・・・・しょうがないな」


 名もなき鳥は男を背中に乗せ、時空に穴を開いて移動した。


 時空に開いた穴はすぐに閉じ、そうして崩壊した世界はゆっくりと宇宙に四散していく。


 その世界はもはや崩壊が止まらず、元に戻ることはないだろう。

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