009 紅姫に会おう(1)剣士 紅丸
ボク《ルナ》は、冒険者食堂で買った弁当を持って、広い草原まで来た。
ルナ
「よし、まわりには誰もいないな。
ママ、ただいま。」
なにもない草原に見慣れたドアがあらわれた。
ボクは家の中に入って、買ったお弁当を冷蔵庫に入れた。
そして、明日の朝に備えて、炊飯器でご飯を炊くタイマーセットをした。
ルナ
「お米 1.5合に、押し麦をスプーン三杯、小豆をスプーン一杯。
たっぷりと水を吸わせたいから、2時間後に炊きあがり予約したぞ。
異世界転移しても、元の世界のご飯が食べられるなんて、一番幸せだな、ボクは。」
ブー、ブー、ブー という警報音が聞こえた。
ルナ
「なんだろう? 掲示板の方だな。」
3人の美女に出会ったときに使う予定の共有スペースにある掲示板を見た。
掲示板
「紅姫が近くに来ています。
紅姫は倒れています。
迎えに行きますか?
YES / はい 」
ルナ
「ギャグだろうか?
どちらもYESの意味じゃないか?
強制イベントだよな。
紅姫というからには、きっと美しいんだろうなあ。
楽しみだ。」
掲示板
「いつ迎えに行きますか?
いますぐ / 5秒後」
ルナ
「はい、いますぐ迎えに行きます。」
掲示板
「では、ドアを目的地の近くに出現させます。
しょうしょうお待ち下さい。
周囲に人がいないことを確認しました。
ルナ いってらっしゃい。」
ボク《ルナ》は、外に出た。
ルナ
「 ママ、行ってきます。」
ドアが消えた。
ルナ
「近くに紅姫が倒れているって、どこにいるのかな?
見える範囲に居てくれたらいいけれど。」
イウラ《ガイド音声》
「ルウナ、聞こえる?」
ルナ
「イウラ、いいタイミングに感謝だよ。
ぼくの仲間になる予定の紅姫が近くにいるはずなんだ。
どうやって探そうか?と困っているんだ。」
イウラ《ガイド音声》
「ルウナ、簡単よ。
あなたが望んだスキル、能力向上呪文 【トゥート】を唱えればいいわ。」
ボクは、能力向上呪文 【トゥート】をとなえた。
ルナ
「ここから、500mくらいの気配が分かるよ。」
イウラ《ガイド音声》
「じゃあ、ルウナ、がんばってね。
紅姫と仲良くなってね。」
ルナ
「待って、待ってよ。
ボクは紅姫の顔や姿を知らないんだよ。」
イウラ《ガイド音声》
「特別ヒントをあげるわ。
シクペリア様を女性にした感じの容姿よ。」
ルナ
「他にも情報が欲しいよ。」
イウラ《ガイド音声》
「甘えたらダメよ。
ルウナの魂が成長しなくなっちゃうからダメよ。
教えられないわ。
大丈夫よ。
ルウナなら、できるわ。
じゃあねー。」
ルナ
「わかったよ。
ありがとう。 イウラ。」
イウラ《ガイド音声》
「またね。 プツン」
イウラとの通信が切れた。
ルナ
「ようし、紅姫を探そう。」
ボクはこころを静めて、紅姫の気配を探し始めた。
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