010 紅姫に会おう(2)性魔力は強力だった
ルナ
「ひとりごとを止めるひともいないから、声に出して考えをまとめよう。
まず、能力向上呪文【トゥート】は、すべての能力を3倍まで上げてくれる。
人間は能力の30%しか引き出すことはできない。
だけど、【トゥート】をとなえることで、3倍の90%まで能力を引き出すことが出来る。
前に見たマンガで、
○○拳法は、100%引き出すことができる!
とあったけれど、
人間の身体の強度ギリギリになって、身体が壊れてしまうよ。
おっと、急いだ方が良い気がする・・・
一番可能性が高いのは、あちらの方角だな。
ほかの気配は、元気そうだ。
よし、歩くか?
うん?
天の方からというか空から殺気を感じる。
よし、走ろう。」
ボクは、体力回復呪文【トゥベルサ】をとなえた。
えっ? 性魔力の無駄使いだって、そんなことないよ。
体力が全快のときは、「飛べる」ように設定したんだ。
ルナ
「お、見えてきた。
髪の毛が赤いぞ。
紅姫みたいだな。」
ボクは空を飛んできたことがバレないように、50m手前で着地して歩いて近づくことにした。
ルナ
「もしもし、大丈夫ですか?」
ボクは倒れている赤い髪の人間に声をかけた。
赤い髪の人間
「う、うう。」
ルナ
「ああ、良かった。
気を失っているようだが、生きている。
あ、天からの殺気も止まったみたいだ。
ホッとする。
じゃあ、このひとが紅姫みたいだな。
うん、ううん?
この人は、男性みたいだ。
紅姫ではないのか、残念だ。
男性は、たいていボクのことを嫌って仲間はずれにしたり、イジメてくるからな。
元気になるまで面倒は見るけれど、元気になったら出て行ってもらおう。」
ボクは、赤い髪の人間を背中におぶって、草原にでた。
見渡す限り、誰もいないことを確認した。
ルナ
「 ママ、ただいま。」
見慣れたドアがあらわれた。
ボクは、赤い髪の人間を背中におぶって、家の中に入った。
ルナ
「とりあえず、共有スペースに寝かすとしよう。
でも、かなり汚れているな。
タオルを濡らして髪を拭いて、衣服は・・・
脱がせなくてもいいな。 あとでもめたくないし。
さてと、食事は無理そうだから、砂糖水を飲んでもらおうかな。
のどの渇きと空腹が少しはマシになるだろう。」
ボクは、コップで3杯の砂糖水を飲ませた。
ルナ
「顔色がマシになってきたな。」
1時間後、赤い髪の男性が起き上がった。
赤い髪の男性
「ここは、どなたの屋敷じゃ。」
ルナ
「ここはボクの家だよ。」
赤い髪の男性
「拙者、紅丸と申します。
この度は、行き倒れたところを助けて頂き、ありがとうございました。」
ルナ
「紅丸さんは、目を閉じたまま話をされるのですね。
もしかして、目が不自由なのですか?」
紅丸
「心眼を極める修行中ゆえ、おゆるしいただきたい。」
ルナ
「そうなんだね。
どうして、行き倒れたか理由を聞いても良いかな?」
紅丸
「拙者大食らい故、路銀が尽きてしまったのじゃ。
面目ない。」
ルナ
「ふうん、大変だったね。」
どうも違和感を感じるな。
念のため、唱えておこうか?
能力向上呪文 【トゥート】をとなえた。
紅丸がもっている短刀から、強い力を感じる。
だが、弱っているようにも感じた。
そして、赤い髪の男性から性魔力を吸い取っているようだ。
男性は、昇華力から性魔力に変換することができない。
紅丸がもし、女性だとしても、性欲が弱すぎて、変換できる性魔力は少ない。
つまり、この短刀は、紅丸の生命力を吸い取っていることになる。
ルナ
「紅丸と言ったね。」
紅丸
「ははっ。」
ルナ
「その短刀をボクにさわらせてくれないかな?」
紅丸
「この短刀は、拙者の宝ですので、ご容赦くだされ。」
ルナ
「そこを、なんとか。
名のある名刀に触れてみたいんだ。」
ボクは、必死に頼んだ。
紅丸
「ほんの一刻だけですぞ。」
ルナ
「14分あれば、うれしいな。」
ボクは、紅丸を油断させるために、無邪気にほほ笑んだ。
【読者様へ】
あなたの30秒で、この作品にパワーをください。
「ブックマーク」(2点)と、広告下(↓)の【見えない場所】にある「☆☆☆☆☆評価」(2~10点)を待っています。




