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第8話 出会いと別れ

盗賊達を撃退した後、エットは二階堂達に仲間へ入れてほしいと頼んだ。

彼の願いを聞いた二人は、突然の提案に戸惑いを隠せない。


「な、仲間に入れるっつったって、そりゃあれか?俺達についてくるってことか?」


「うんそうだよ。…ダメかな?足手まといにはならないつもりだけど」


「そりゃそうだろうけど、そもそもなんで同行したいんだ?何か目的があるのか?」


「私達ここから王都へ向かわなきゃならないのよ、エット君は王都に用があるの?」


疑問符を浮かべる二人に対し、エットは少し考えた後、言葉を綴った。


「…あるよ。確かに今回は盗賊を追い返せたけど、また別の盗賊がこの村を襲うとも限らないし、

 だから王都にある騎士団へ行って、ここへ人手を寄越してもらえないか頼むんだ」


「なるほど、確かにいつでもお前が村を守れるわけでもないだろうし、

 狩りで留守にしている間に、またこういう輩が来られたらたまったもんじゃないわけか…

 どうするノア?俺は別にいいぜ?」


「そ、そうね、一泊止めてもらった恩もあるし、危ないところを助けてもらったものね。

 いいわよエット君、一緒に行きましょう」


「や、やったあ!ありがとう二階堂くん!ノアちゃん!」


「ただしいい?私達がしてるのは遊びじゃないの、危険な旅になるだろうから、そこは覚悟してほしいわ」


「う、うん分かった!全力で頑張るね!」

 

笑顔で喜ぶエットの頭を、ノアは優しく撫でる。

二人の様子を眺めていた二階堂が、ため息をついて口を開いた。


「随分上からだなノア、戦いのイロハも知らんお前より、

 エットの方がよっぽど場数を踏んでるんじゃないか?」


「な、なんですって!?確かにそうかもしれないけど、私だって体の丈夫さには自信があるんだから!!」


「丈夫なだけじゃこの先やっていけないぞ。

 もっとないのかよ、目から光線撃つとか、相手の血を凍らせるとか」


「はぁ!?無理に決まってんでしょ!?何言ってんのよ!?」


二階堂とノアが門の前で睨み合うと、村の中から一人の老人が歩いてくる。


「ついに行かれるのですね、エット」


「村長。ええ、まあ…」


三人の元へ姿を現したのは、この村の村長だった。

彼は村を盗賊から救った二階堂とノアに対し、頭を下げてお礼を言う。


「この度はこの村を助けて下さり、本当にありがとうございます。なんとお礼を申していいやら…」


「村長さん!頭を上げて下さい!私達はこの村の滞在を許してもらった恩を返しただけですよ!

 それにエット君のご自宅にも、宿泊させてもらいましたし…」


「あ、ああそうだ。頭が上がらないのはこっちの方だぜ」


お辞儀を返す二人を見て、村長は優しく微笑む。


「やはりあなた達はお優しい方々だ、あなた方にならエットを任せられます。

 ここから王都を目指すなら長い旅路になることでしょう、決して良いものとはいえませんが、

 村から馬車一つと、いくつかの物資を差し上げます。せめてもの旅の助けになれば幸いです」


「え!?そ、そこまでして頂くわけにはいきませんよ!」


「俺達は既に恩を受けている身だし!大丈夫だって!」


「よいのです、我々の奪われていたお金や貴重品もこうして戻って来たのですから。

 それにエットもこの村の宝、餞別に何か差し上げるのは当然です」


村長は奥から、物資を乗せた馬車を寄越すと、

元々二人の乗っていた馬を結びつけ、村の前まで進ませる。


「何から何まですまねえ村長、恩に着るぜ」


「いえいえ、こちらこそ旅のご武運をお祈りしております」


深々と頭を下げる村長は、顔を上げてエットに視線を向ける。


「…エット、いつかこんな日が来るのではないかと、私は日々思っておりました」


「今まで…お世話になりました、村長。必ず帰ってきます、その日まで待っていて下さい」


「ええ、いつまでもお待ちしています、さようなら…」


エットと村長が別れの言葉を交わした時、

空に広がる輝かしいはずの朝日が、二人にとってどこか寂しそうに、揺らいで瞳に映り込んだ。




馬車の御者席にノアが腰を下ろし、エットが家の荷物をいくつか鞄に詰め、

二階堂がもらった物資を一つ一つ整理する。各々出発の準備が整ったところで、

三人は村の前で見送る村長と村人達に顔を見せ、手を振って別れを告げる。


「ありがとな村のみんな!エットは必ず王都へ届けるぜ!」


「村長!みんな!今までお世話になりました!!絶対騎士団から人手を寄越すからね!待っててね!」


「この恩は決して忘れないわ!必ず返してあげるから!また会いましょうね!!」


三人は感謝の意を伝えると、馬を走らせて村を後にした。


こうして二階堂とノアの二人は、エットという少年を仲間に迎えたのである。

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