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第5話 辺境の村にて

野盗達を撃退した二階堂らは、馬に乗って王都を目指す。

死闘を繰り広げた二階堂を案じ、手綱を握りながらノアは声をかけた。


「大丈夫なの?そのお腹の傷…」


「へへ、能力を使えば時期に傷は塞がるさ。

 もっとも俺は普通の人間だから、少し時間がかかるけどな」


二階堂は負傷部位に手を触れ、異能力で自己回復能力を高めていた。

そんな彼も自身のことより、ノアのことを気にかける。


「お前こそ平気か?その…今回色んなことがあったしさ」


先の戦いでノアの友人が命を落とし、彼女の精神に陰りが見えないか、二階堂は心配していたのだ。


「心配しないで、ちゃんとお別れはしてきたから…」


ノアは涙の跡を目元に浮かべながら、心配させまいと二階堂に微笑みかける。

毅然に振る舞おうとする彼女に、これ以上掘り下げるのも酷だと思った二階堂は、

気持ちを切り替え、次の行き先を訪ねた。


「森から出てしばらく道なりに進んでいるが、このまま王都へ直行するのか?」


「そうしたいのは山々なんだけど、王都ってここから結構離れてるのよ。

 恐らく何日かはかかるだろうから、途中で近くの村にお邪魔させてもらうわ」


二人は馬に揺られながら、砂埃を立て道を進む。

空の色が夕焼けに染まった辺りで、彼らは村へと辿り着いた。


「村に着いたわよ二階堂、さ、降りて挨拶しに行きましょう」


「ああ、だが入れてくれるとも限らないんじゃ?」


「そりゃあなんの断りもないしね、もし入れてくれないなら野宿するわよ」


「ま、マジか…」


元の世界では、都会のコンクリートジャングルでしか過ごしたことのない二階堂にとって、

野宿のハードルは遥かに高く、彼は顔色を青く染め上げた。


二人が村の入り口で馬から降りると、後ろから何者かがこちらに声をかけてきた。


「やあ、君達は来訪者かい?この村に来客とは珍しいね」


話しかけてきたのは、弓矢を背中にぶら下げ、目に包帯を巻いた小さな少年だった。

背後から声をかけられた二階堂とノアは、目線を合わせて少年に言葉を返す。


「あなたは?この村の方かしら?」


「そうだよ、僕はこの村の狩人エットっていうんだ。丁度今日の狩りから帰ってきたところでね。

 よかったら村の中へ案内してあげるよ」


「それは願ったり叶ったりだが、いいのか?」


「勿論いいよ。あ、その前に二人の名前を聞いてもいいかな?」


訪問者二人に名を尋ねるエットに対し、二階堂とノアは快く自己紹介をする。


「おう、俺の名は二階堂、こっちはノアっていうんだ」


「よろしくねエット君、お手数かけるけど頼りにさせてもらうわ」


「うん、こちらこそよろしく!じゃあ早速着いてきて!

 とりあえず馬を停められる場所まで連れてってあげるから」


エットは二人の手を引くと、村の中まで招き入れた。

納屋に馬を繋いだノアは、エットの親切に感謝しつつ、村長へ話を通しに行こうとする。


「ありがとうねエット君。じゃあ私この村に滞在できるか、村長さんのところへ顔を出してみるわ」


「よし、じゃあ俺も…」


「アンタはこの村で一晩過ごせる場所がないか探しておいて、分かった?」


「え…い、いいけどなんで一人で行くんだよ」


「アンタお世辞にも礼儀正しいとはいえないじゃない、初対面の人にお前とか言っちゃうくらいには。

 そんな人を村の長に会わせるわけにはいかないわ」


「ぐっ!お前だってアンタ呼びじゃねえか!あんま変わんないだろ!」


「アンタにだけよ。じゃ、頼んだからね」


そう言うとノアは、エットに村長の家を教えてもらうと、ツカツカと歩みを進めていった。

眉間に皺を寄せる二階堂へ、エットは肘で彼をつつく。


「えへへ、仲良さそうじゃん君達」


「…今のどこが仲良さそうに見えたんだ?」


「見たまんまだよ。よしじゃあ二階堂君、

 ノアちゃんが帰ってくる前に、僕が泊まれるところを見繕ってあげるよ」


「え!?いいのか!?悪いなぁ、なにからなにまで世話になっちまって」


「気にしないで、せっかく客人が村に来てくれたんだから、これくらいはもてなさないとね。

 さ、着いてきて!」


二階堂はエットに導かれるまま、彼の家へと招かれることになった。

彼の厚意にありがたさを感じながらも、二階堂は部屋の暖かさに身を包んだ。



このエットという少年との出会いが、後に異世界へ大きな影響を与えることになるとは、


この時二階堂は、知る由もなかった。

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