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最終話 序章 完

アンデット達が戦場から消え去り、王都を防衛していた騎士団や他のメンバーが、死闘から解放される。

敵の群れが灰と化し、戦っていた者達が歓喜の声を上げる中、ベレアとエドナは静かな瞳を浮かべた。


「…やっと、終わったのですね」


「ええ、勇者隊の皆様が、首謀者を討ってくれたのでしょう。

 あの方達には感謝してもしきれません」


「本当にその通りです、全ての王都の住民の命を、彼らは守ってくれた。

 私達だけでは成し得なかった偉業を、此度の勇者隊はやってのけた。

 あの四人には、武勲に相応しい見返りを用意しなければ」


人々が防衛成功を喜び合う中、平原のむこうから、勇者隊の戦車が王都に向かってきた。

音を立てて接近する戦車の中には、戦いを終えた二階堂達が乗り込んでいる。


帰還する勇者隊の姿を見るや否や、防壁にいた者達は英雄を讃えるが如く、彼らに歓声をあげた。


「うぉおおおお!!!!王都を救った勇者隊が帰ってきたぞおおお!!!」


「あなた達のお陰で、この国は救われたわ!!勇者隊万歳!!」


「君たちこそ真の英雄だ!!王都の住民全員が、君達を称賛しよう!!」


賞賛の嵐を受けた二階堂達は、戦車から降りて皆の声に応えた。

すると彼らに近づいてきたベレアとエドナが、笑みを浮かべて言葉を送る。


「此度は誠にありがとうございます。貴方達のお陰で、我々は戦いに勝利することが出来ました」


「我ら騎士団の力だけでは、アンデットの群れを押し返すことは出来なかっただろう。

 本当によくやってくれた。勇者隊」


「ベレア王女…!エドナさん…!」


二人の言葉に瞳を潤わせるノア、しかし隣で陰りを浮かべる二階堂は、静かな声を口から出す。


「だが…戦いの途中で、鬼灯は…」


「っ!!ま、まさか彼女は命を!?」


驚愕するベレアに対し、二階堂達は悲しげな表情を浮かべる。

鬼灯の尊い犠牲を悲しむベレア王女は、国の長として力強く発言した。


「彼女を王国の英雄として、永遠に語り継ぎましょう。

 異界の住民でありながら、ルデリシア王国に平和をもたらす為、勇者隊一員として命懸けで戦ったと。

 生還した二階堂様達と同じく、国を上げて称賛させて頂きます」


するとベレアは戦車に乗り込み、佇む二階堂達を手招いた。


「さあお乗り下さい勇者隊の皆様、王宮であなた方の表彰を行いたいと思います。

 私と共に王宮へ向かいましょう」


二階堂はベレアに言われ、戦車に乗り込み王宮へと進む。

ゆっくりと進む戦車の外で、王都の人々が勇者隊を褒め称えると、三人は手を振って民衆に応えた。


歓声を浴びながら礼を返す二階堂は、脳裏に考えを浮かべる。


(…見てるか鬼灯、俺達の頑張りが皆に讃えられているぞ。

お前の頑張りが、戦いが、偉業が、王都の皆に評価されてるんだ。

お前がいなきゃ俺達も、王都の皆も死んでいた。お前のお陰だ、感謝するぞ鬼灯…!)


二階堂は天を見上げながら、王宮へと向かう戦車に揺られるのだった。




-王都 王宮内部 謁見室にて-



「これより新生勇者隊の皆様及び、二階堂殿、ノア殿、エット殿、そして命を賭して戦った鬼灯殿の、

 勲章授与式を行いたいと思います。御三方は、ベレア第二王女様の王座の前までお進み下さい」


二階堂達三人は指示通り、ベレア王女の前まで歩み寄ると、跪いて彼女に頭を下げた。


「貴方達新生勇者隊の四名は、ルデリシア王国の心臓ともいえる、この王都を敵から守って下さりました。

 王国を束ねる王女として、王都に住む一住民として、私は貴方達を未来永劫、深く尊敬致します。

 その敬意と感謝の気持ちを込めて、あなた方に勲章を贈らせてください」

 

ベレア王女は、手元にある高価な勲章を、二階堂達の胸元に付け、勇者隊の武勲を身に宿らせた。

国からの最大の名誉を与えられた二階堂達へ、ベレアはさらに提案する。


「今後勇者隊として活動する時は、私達も精一杯支援させてもらいます。

 それとは別に此度の武勲を讃え、皆様の叶えたい要望をなんでも叶えさせて頂きますよ。

 我が王国の出来ることならば、御自由にお申し付け下さい」


ベレア王女に叶えたい願いを聞かれ、三人は顔を見合わせ口を開く。


「か、叶えた事ですって!どう?エット君、二階堂、何か希望はある?」


「こういう時は、“お姫様と婚約したい“とか、勇者なら言いそうなもんだけどね。

 どうなの二階堂くん?ベレアに気があったりしない?」


質問を投げつけられる二階堂に、ベレアは頬を赤くした。


「馬鹿、こんな礼儀知らずなチンピラが、王女様と釣り合うわけないだろ。俺は国を率いる器じゃねえよ」


二階堂はため息を吐きながら、エットの提案をあしらった。

するとエットはベレアに向けて、笑いながら言葉を送る。


「だってさ、残念だったねベレア」


「な、なんで私がフラれたみたいになってるんですか!!いい加減にして下さいお姉様!!」


怒るベレアが頬を膨らませると、二階堂は真剣な眼差しを浮かべた。


「王女様、俺達は自身のやるべきことをやったまでだ。

 当然の行いに対して、過度な恩賞を受け取るつもりはないぜ。

 最初から言ってたろ?勇者隊だろうが、そうじゃなかろうが、俺達は騒動を止めると」


毅然と言ってのける二階堂に、ノアとエットも納得して頷いた。


「それもそうね、私は自分のケジメをつけただけ。その過程で王都が救われただけですもの」


「僕も元王女として、国を救うことは当然のこと、むしろ感謝したいのは僕の方さ。

 再び僕を王宮に入れてくれて、どうもありがとう、ベレア」


謙虚な態度を見せる三人に、感銘を受けたベレアは、深々と頭を下げた。


「貴方達の聖人の如く清らかな対応、正しく英雄に相応しいものです。

 ではせめて国を救った勇者として、街の皆様の賞賛の声をお聞き下さい!」


ベレア王女は王座から立ち上がり、王宮の上階へと二階堂達を導く。

しばらく階段を上がった先で、大きな扉に手をかけるベレア。

そして扉の向こうには、王都を一望できるテラスが広がっていた。


「さあ!王都住民の皆様が、あなた方の顔を一目見ようとお待ちしています。

 皆様の声援をお聞きください!」


ベレアに後押しされ、三人は顔を見合わせて笑みを浮かべた。


「…しょうがないわねっ!」


「ああ、応えてやろうぜ、皆の声に」


「えへへ!こんな気持ち何年振りだろうなぁ…」


二階堂達がテラスから顔を覗かせると、王都の人々が視線を一斉に向け、勇者隊の武勲を称賛した。


「うおおおお!!!!新生勇者隊だ!!!」


「王都を救った英雄達よ!!!私たちの命の恩人だわ!!!」


「アンデット達から王都を救ってくれてありがとう!!!感謝しても仕切れないぜ!!!」


「勇者隊万歳!!!勇者隊万歳!!!」


飛び交う歓声を全身で浴びながら、二階堂達は誇り高く胸を張った。

自身達を讃える声に手を振って返すノアとエットの横で、二階堂は寂しげに思いを耽る。


(鬼灯…俺達の功績がこんなに感謝されてるぜ、ありがてえな…)


民衆に讃えられながら、二階堂達勇者隊は、平和な空気に身を包む。


その後王都の人々は、勇者隊へ感謝の意を込めて、街中で祭りを行い、彼らを歓迎した。

夜中まで続いた街の平和を祝う祭は、二階堂達を賑やかに出迎えたのだった。





-数時間後 王都宿舎にて-


椅子に腰掛けたノアとエットは、お祭りの余韻に浸りつつ、疲れた様子で口を開く。


「街の人たちは本当に良い人達ばかりね〜、ロスの言った通り恩を返す人達だわ!」


「フフッ、そうだね。にしてもみんなから感謝されるなんて久々だったなぁ…

 勇者隊に選抜されてなかったら、それに君達と一緒に冒険してなかったら、あり得なかったことだよ!」


二人が背伸びしながら、喜びや達成感を身に宿していると、

一人静かに考え事をする二階堂に対し、ノアが怪訝そうに尋ねた。


「アンタはこれからどうするの?二階堂?今回の件で私達は、自身のやるべきことに決着をつけられた。

 でも異世界人のアンタには、まだやることがあるんじゃない?」


「ああ、鬼灯の無念のためにも、俺は元の世界に帰って、“送り主”を倒さなくちゃいけない。

 俺にとって、完全な決着ってのはまだ着いていない」


「なら僕達も手伝うよ!君が元の世界へ帰るために、仲間として力を尽くさせてほしいな!」


「ふふん、当然よ!私達の目的がなくなったからって、今更別れるとか言わないわよね?」


自信満々に尋ねるノアとエットに向けて、二階堂は笑みを浮かべ口を開く。


「フッ、感謝するぜお前ら、俺のために力を貸してくれて」


二階堂は椅子から立ち上がり、二人へこう言った。


「今日はもう遅い、二階に各々部屋を借りてあるから、

 好きなだけ寝泊まりすると良いぜ。代金は俺が払っておく」


「そっか、アンタはギルドで大金を稼いだんだものね。

 じゃあお言葉に甘えて熟睡させてもらうわ」


「ありがとね二階堂くん!君も戦いの疲れを癒してね!じゃあまた明日!」


二人は二階堂に別れを告げ、階段を上がって宿の個室に足を踏み入れた。


「…また明日、か」


宿舎の一室で一人になった二階堂は、しばらく窓から夜空を眺め、闇夜の暗がりに身を包んでいると、


テーブルの上に稼いだ大金を置き、宿舎の出口へと足を進めた。


扉に手をかけた二階堂は、振り返って二人との思い出を振り返ると、小さく言葉を呟く。


「今回の件に決着のついたお前らは、もう戦う理由がない。

 戦う理由がない奴らを、俺個人の問題に付き合わせられない」


二階堂は静かに宿舎から出ると、薄暗い街道を歩きながら、一人寂しく想いに耽る。


(元の世界に帰り、元の世界の敵を討つ。異世界人の俺が着けるべき、俺自身のケジメだ。

手前のケジメに仲間を巻き込むわけにはいかねえ、ここから先は俺一人の戦いなんだ)



真夜中の王都の街道を、二階堂は一人で突き進む。


親友の無念を晴らす為、自身のケジメをつけるため、


そして仲間を巻き込まないために、彼は一人で茨の道を突き進む。


平和になった王都に背を向け、二階堂は門を通り、孤独に元の世界へ帰る方法を探した。




こうして“二階堂達“の異世界冒険譚が幕を下ろし、


二階堂達(にかいどう すすむ)”の冒険譚が、一から始まろうとしていた。








                    序章 完

序章「異能力者転生編」完結しました!最後までお読みいただきありがとうございます!

次章はまた気が向いたら制作しますので、その時はどうぞよろしくお願いします!

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