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第25話 王女の帰還

エットが自らの正体を、元ルデリシア王国第一王女”クリスベルト・ルデリシア“だと明かすと、

二階堂とノアは唖然とした表情を浮かべざるおえなかった。


教会の空気が静まり返り、口を開く二階堂の声が震える。


「じゃ、じゃあお前はずっと正体を隠してたってのか!?

 門番のところで止められたのは、状態検査で身分がバレたからか?」


「まあ、そういうことだね。ごめん、今までずっと隠してて」


「そ、それはいいけど…じゃあ村に警備を送りたいってのも、嘘なのか…?」


「それは違うよ。僕自身あの村にはとてもお世話になったし、騎士団には本当に頭を下げるつもりさ。

 僕本人が頼み込まないなんて、筋が通らないよ」


するとエットはエドナの前に立ち、深々と頭を下げる。


「お願いしますエドナ騎士団長、村を野盗の手から守る為、

 どうか警備兵を送ってはくれないでしょうか」


すかさずノアもエットの隣で、必死にエドナへ懇願した。


「私からもお願いです!少しでもあの村へ恩を返したいの!

 騎士団が人手不足なのは分かったわ、でもそこをなんとか…」


「の、ノアちゃん…!」


エットとノアの二人に頼み込まれ、エドナは葛藤の末に答えた。


「…分かりました、クリスベルト様と街を救ってくれたノアさんがここまで頼んでいるにも拘わらず、

 応じずに拒むのは、騎士団の顔に泥を塗るのと同意。今すぐ人手を送らせていただきます」


「や、やったぁ!!これであの村は安心よ!!」


「うん!ありがとうノアちゃん!!君のおかげで僕も、村に恩返しが出来たよ!」


手を取り合い喜ぶ二人を見て、二階堂は軽くガッツポーズをとる。

彼もまた村で世話になった一人であり、内心恩返しが出来ないかと悩んでいたのだ。


警備の交渉を終え、目標を達成したノアは、再び次の目標へと目線を向ける。


「じゃああとは王宮へ話をしに行くだけよ!私達はこの為に王都へ来たんだから!」


「王宮へ話を?ノアさん、一体どんな御用件で…」


エドナが怪訝な顔でノアに問いかけると、エットが話に入り込む。


「その件なんだけど、ノアちゃん達にお願いがあるんだ。

 どうか僕と一緒に王宮まで来てくれないかな?」


「えぇ!?エットくんが案内してくれるの!?それは願ってもないことだけど…」


「お待ち下さいクリスベルト様!あなたが王宮の敷居を跨ぐことを、上層部は許されているのですか?」


エドナが不安そうに問いかけると、エットは縦に頷く。


「なにせ特例中の特例だからね、彼女が伝えるべき内容は、

 この国の存亡にも関わることだと思うよ。ね?ノアちゃん」


「え、エットくん!?なんで私の目的を…」


彼女が言い終える前に、エットは扉を背にして、二階堂に懇願する。


「どうかお願い。このルデリシア王国を、アンデットの手から一緒に守ってくれないかな?」


エットの言葉を聞き入れた二階堂達は、真剣な眼差しで頷いた。

二階堂達はエットに案内されつつ、王宮行きの馬車へと乗り込む。


「では我々騎士団は村に警備を送ります、あなた達のご武運をお祈りしておりますよ」


教会の外でエドナ騎士団長が、乗り込んだ四人を見送った。

二階堂が馬車の中で、治療した傷口を摩りながら、再会したエットへ尋ねる。


「なんでエットは、ノアの目的を知ってたんだ?」


「ご、ごめん、君達が僕の家に泊まってた時、会話が聞こえちゃってさ…

 でもそのおかげで君達が志ある人間だと分かったし、王都に危機が訪れてることも知れたんだ」


「それほど今回のアンデット騒動は、国にとって大事ってことか」


深刻な顔をする二階堂に、仲間になった鬼灯が語りかける。


「お前がここまで大きなヤマを踏んでたとはな。ギルドで仲間になった時には、

 王女さんと一緒に、国を救うことになるなんて思わなかったぜ」


「元王女だけどね、二階堂くん達もこれまで通り、僕のことはエットって呼んでくれていいよ。

 それで王宮についてなんだけど、僕は上層部の人間からよく思われてないんだ。

 だけど現王女と面会出来るように話は通せたから、僕の後をついて来てくれれば、

 問題なく事を運べると思うよ」


「現王女…つまりエットの親族にあたる人だよな?」


「うん、僕の妹さ。とても優秀で心優しい指導者なんだ、きっと君達の声にも耳を傾けてくれるよ」


四人を乗せた馬車は、王都の心臓部である王宮へ距離を縮めた。


少し時間をかけ、王宮の入り口へ到着した二階堂達は、馬車から降りて門へと伸びる羽橋を渡る。

するとエットが大きな声で、見張り兵に話しかけた。


「おーい!中の者に伝えてくれないかな?約束通り同じ目的を持った御仁達を連れて来たって!」


「ク、クリスベルト様!?分かりました!今すぐ伝えます!!」


見張り兵が王宮の中へと入ると、しばらくして王宮の門が大きく開き、二階堂達を迎え入れた。


「ついに城へ入って姫様とご対面かぁ、異世界転生って感じがして来たな?二階堂」


「目的を忘れるんじゃねえぞ鬼灯、俺達は自警団としてアンデット騒動の首謀者を懲らしめるんだ。

 もし奴が元の世界の住人なら、同じ世界に住む俺達がなんとかしなきゃならねえ」


「あまり背負いすぎないでよ二階堂、これは屋敷から逃げた私の問題でもあるんだから。

 三人は私に力を貸してくれるだけでいいの」


「フフ、みんな理念は違えど、目標は同じってことだね」


四人は決意の表情を浮かべると、王宮の中を歩き始めた。

長い廊下を進んだ先にある、大きな扉の前まで来た二階堂達は、側に居た警備兵に忠告を受ける。


「ここから先は権威ある大臣様や、我が国の王女様が席を並べる謁見室です。

 くれぐれも無礼のないよう、礼儀を持って面会して下さい」


警備兵が扉を開き、二階堂達の入室を許可する。

謁見室へと足を踏み入れた四人は、辺りを席に座った大臣達に囲まれながら、


王座に腰を下ろした、国を統治する現王女と対面した。


煌びやかな髪を揺らしながら、宝石のような瞳をこちらに向ける王女は、来訪した二階堂達へ口を開く。


「ようこそおいでくださいました、私はルデリシア王国第二王女、

 ベレア・ルデリシアでございます。どうぞよしなに」


丁寧に挨拶するベレア王女に、二階堂達は緊張を覚える。


「お、俺達はエットの仲間の者だ。今日はアンデット騒動について王女様に話したいことが…」


「えぇ、クリスお姉様から事情は聞いております。是非とも詳細をお話ししていただき…」


すると二階堂の横から、席に座った大臣が話に入ってきた。


「ベレア王女!よいのですか?一度王宮を追放したクリスベルト様のお話など!!

 さらにはその仲間達の話などに耳を傾けてしまっては、我が王国の権威に関わりますぞ!!」


エットの表情に陰りが差す中、ノアは肩を叩き彼女を安心させる。

そして大きな声で、ベレア王女に語りかけた。


「私達のお話を聞く価値は十分にあるかと思います!

 何故なら此度お話しする内容には、王女様のご友人が関係しているのですから」


突然内容を小出しにし、国の上層部と読み合いを始めるノア。

するとベレア王女は、興味深そうにノアへ問い返した。


「私の友人とは、一体どなたのことを仰っているのですか?」


「かつて王宮で魔導師を務めていた、ノワール・ヒルベルク様のことでございます。

 私は、偉大なるノワール様にお仕えておりました」


ノアの口から新たな情報が出てくる中、

ベレア王女は納得した表情を浮かべつつ、話を続けるようノアに頼んだ。


「なるほどノワールの…でしたら私が聞かないわけにはいきませんね。

 ノアさん、詳しくお話をお聞かせ下さいませんか?」


「ベレア王女!!本当によろしいのですか!?このような異例を許してしまって!!」


「王国に“異例の騒動“が起こっているからこそ、それを収めるべくこの方達の話を聞くのです。

 国民が怯え苦しんでいるというに、このまま指を咥えているわけにはいきません!」


大臣の苦言を押しきり、ベレア王女はノアの言葉に耳を傾けた。


「どうぞノアさん、お話しをお聞かせ下さい」


「は、はい。私とノワール様は、森の屋敷で野盗の襲撃に遭い、”死霊術網羅書“を奪われてしまいました。  

 そして今回のアンデット騒動は、死霊術網羅書が原因で起こってしまったものかもしれないのです」


「死霊術網羅書…確かノワールが前線に立っていた時に、使用していた禁書の一つですね。

 戦いが戦いだったものですから、各国の許しを得て使っていたものです。彼女が所有者ですし、

 封印出来るのがノワールしかいなかった為、隠居後も自身で管理していたはずですが…

 なるほど、それが奪われてしまったと」


「えぇ…そしてその襲撃の末に、ノワール様は命を…」


「っ!!そ、そうだったの…ですか、それは…なんという…」


お互い親しかった身内を失い、ベレア王女とノアは暗い表情をする。


「その後私は、襲撃者の長に心当たりがある二階堂と出会い、彼と共に行動しているのです」


ノアが二階堂に視線を送ると、二階堂は自身の持つ情報を頼りに、王女へ話し始めた。


「ノアの話を聞くところ、首謀者は俺と同じ異世界人の可能性が高いんだ。

 もし同じ世界から来た人間が、悪事を働いているなら、異世界人の俺達がケジメをつけさせるべきだ」

 

「おうよ!アタシらで事件の犯人をコテンパンにして、アンデット騒動に終止符を打ってやるぜ!」


二階堂と鬼灯が拳を鳴らすと、ベレア王女は二人から正義感と頼もしさを感じた。

すると二人の後ろからエットが、ベレアに真剣な眼差しを向ける。


「僕は確かに王宮から追放された部外者だ。だけどこんなに大きな事件が、

 王国を危機へ追い詰めてると知って、黙って見ているわけにはいかないよ。

 僕だって少しでも王国の力になりたい、この志ある仲間達と共にね」


エットが決意を表明すると、他の三人も覚悟を決めた表情を浮かべる。

話を聞いていたベレア王女は、四人に感銘を受けつつ、声高らかに言葉を告げた。


「私は感謝をしなければなりません。王国に大いなる危機が迫っていると知らせてくれたこと、

 そして危機を乗り越えるため、勇敢なる四人の英傑が来てくれたことに。


 いいでしょう、私ベレア・ルデリシア第二王女は、此度の危機から王国を救うため、

 再度、勇者隊の結成を推奨致します!」


突然のベレア王女の提案に、二階堂達は目を丸くして驚いた。

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