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第23話 成長と変貌

「成長するだって?死を前にして藁にも縋りたい気持ちなのは分かるが、

 そんな手段が本当に存在すると思っているのか?」


二階堂を追いつめ、瀕死の状態にしたルヒトは、半笑いで彼に問いかける。


「ああ、手段があるからこそ、俺は勝機を見出したんだ」


怪訝な顔をするルヒトを前に、二階堂は毅然と言ってのけた。

彼は絶望的な今の状況を、打開出来る方法をひらめいたのだ。


二階堂は拳を握りしめ、掌に指で触れると、自身に気合を注入した。


「ハァアアアア!!!!!」


力を込めた二階堂の髪が逆立ち、周囲に異質な空気を漂わせる。

場の威圧感に飲み込まれたルヒト。彼の視界の中心で、二階堂は思い切り力を解放した。


「!?こ、これは…?」


未知なる現象を前に警戒するルヒトへ、二階堂は“成長”した姿を見せた。


「俺はお前のおかげで成長することが出来た。

 “自身に触れて能力を使い、自らを瞬間移動させていた”お前の発想のおかげでな。

 そして俺は今回、同じことを実行したんだよ」


成長した二階堂は、威圧感を周囲に放ち、ルヒトに言葉を続ける。


「俺の能力は触れたものの時間を進行させる、威力を加減すれば干からびさせることなく、

 対象を成長させられるんだ。そして自分の体に触れ能力を“自身に使えば”己を成長させることができた。

 異能力の効果を成長させた今、俺はお前を一瞬で干上がらせられる」


二階堂は指を差し向け、ルヒトへ攻撃を予告した。突如成長した彼に対し、ルヒトは焦りを露わにする。


「ク、クヒヒ…そんな…そんなハッタリが通用するほど、私は甘くないぞ!この雑魚がァ!!!!」


緊張を強引にかき消したルヒトに対し、二階堂は冷たい視線を向ける





一方ノアは、周囲に人がいなくなったのを確認し、ついに本気を出す覚悟をした。


「覚悟しなさい!セバスの無念、今ここで晴らしてみせる!!」


彼女はガーゴイルに変形すると、勢いよくローブの男へ接近する。

男の撃つ魔法を両手でガードし、ノアは至近距離から蹴飛ばした。


後方に吹き飛んだ男を掴み取り、彼女は地面に叩きつける。

杖を突き出し攻撃を仕掛けようとする男を無視し、大きな足で何度も踏みつけるノア。


一方的に攻撃する彼女に対し、男は踏みつけられながらも魔法を射出する。

ノアの足を貫通し、魔法は頭部へと飛んでいく。しかしノアは両腕をクロスさせ、男の魔法を防御した。


彼女の視界が両腕で塞がれている隙に、男は足裏から脱出すると、すかさず彼女に向かって飛びかかる。

肉薄するローブの男を、ノアは空中で叩き落とすと、ジャンプして上から拳を叩きつけようとした。


「これで終わりよ!!今度こそ倒れなさい!!!」


ノアの振り下ろした拳が激突する刹那、男は魔法を横に発射し、反動でその場から離脱する。


攻撃を避けられ、隙を生んだノアの真横に移動したローブの男は、彼女のこめかみに魔法を放とうとする。


「っ!!しまっ__


急所へ向かって飛んでいく男の魔法攻撃、被弾は免れぬかに見えた次の瞬間、

ノアの顔横に氷の壁が出現し、向かってきた魔法の球を受け止めた。


「い…今よノア…!早くそいつに…トドメを…!」


「!!感謝するわロスちゃん!!これで決めてあげる!!」


倒れながら魔法を使ったロスに、礼を述べたノアは、男に向かってトドメを刺しにいく。


「セバスの無念を、思い知りなさい!!!」


彼女は全力で男を踏み潰し、骨が砕ける音を辺りに響かせると、正真正銘ローブの男を撃破した。


こうしてノアは、恩人であり友人の仇を討ってみせたのだった。


「見ていてくれてるかしら…セバス…無念は晴らしたわよ…」




ノアが戦闘に勝利した一方、二階堂とルヒトの戦いも、クライマックスへと突入していた。


ルヒトが瞬間移動で背後に回り込むと、二階堂は裏拳を顔面に叩き込んだ。

顔がミイラになりかけるルヒトは、怯みつつ手を伸ばすも、二階堂は手首を掴み取り、再び能力を使った。ルヒトの身体全体が、尋常じゃないスピードで干からびていく。


「ぐ、ぐああああ!!!」


能力を受けながらも、ルヒトは逆の手で攻撃を試みるが、簡単に手首を掴まれてしまう。

焦ったルヒトは瞬間移動で距離を取り、遠くの間合いから勝負を決めにいった。


石畳を手の上に瞬間移動させた彼は、二階堂の体内へ埋め込もうとした。

しかし二階堂は埋め込み攻撃を既に見切っており、その場から退避することによって攻撃を避ける。


だがルヒトにとって前述の攻撃はただの牽制であり、

二階堂が回避行動をした隙に、彼は背後へ回って二階堂の肩を掴んだ。


「ク、クヒヒ…!ついに掴んだ!!貴様をこのまま建物の中へ瞬間移動させて、生き埋めにしてやる!!」


「…だがそんなミイラのような手で出来るのか?」


ルヒトは二階堂の肩に触れた手を見てみると、ミイラの如く干からびきっていたのを視認した。


「!?馬鹿な!?奴の手に触れてないのに、何故私の手は干からびている!?」


「…発動条件が軽くなっているのか。以前の俺は手や足で触れなければ能力を発動出来なかったが、

 成長した今、体のどこに触れても能力を発動出来るようだ」


ミイラ化を止めるため、ルヒトは二階堂から手を離す。

すると殺気と威圧感を漂わせながら、二階堂は言葉を口にした。


「体に触れるだけで能力を喰らい、埋め込み攻撃は既に見切られている。

 …諦めろ、お前が勝てる見込みはもうねぇ」


先程やられたことを返すように、二階堂がルヒトへ降伏を促すと、

ルヒトは逆上して彼に啖呵を切った。


「黙ってろ!!格下能力者風情がァ!!

 大人しく私に殺されていればいいんだあああ!!!!」


ルヒトは瞬間移動で目の前に移動し、二階堂に向けて拳を振り放つ。

二階堂もそれに応じて、現れたルヒトへ攻撃を繰り出した。


二人の放った拳が交差し、お互いの頬に激しくぶつかり合う。


辺りに鈍い打撃音が響いた刹那、ルヒトの頭部が干からび尽きた。


しかしルヒトへ能力が叩き込まれたと同時に、二階堂も瞬間移動の能力を受けてしまう。

上空へと転移した彼を見上げ、ルヒトは不敵な笑みを浮かべた。


だが勝利を確信したのは二階堂の方であった。

彼は落下しながら、ルヒトの頭上へ拳を振り下ろす。


「なっ!?き、貴様__


ルヒトが反応する前に、二階堂は彼の脳天へ拳を叩き込んだ。

拳が接触した直後、全身が完全に干からびるルヒトは、枯れた声を喉から捻り出した。


「ば…ばか…な…」


地面に勢いよく倒れたルヒトへ、二階堂は小さく言葉を送る。


「能力者のケジメは能力者がつけさせる、当然の役目だ」


こうしてルヒトを撃破した二階堂は、無事王都の街道から脅威を無くしたのだった。

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