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第21話 アンデット、王都へ侵入

二階堂と鬼灯が冒険者ギルドから外へ出ると、人々が街道を逃げ惑っていた。


「た、大変だ!!アンデットがこっちに来るぞ!!」


「どいてくれぇ!!まだ死にたくねえよ!!」


混乱する市民達を見て、二階堂は警戒を強める。


「なに?アンデットが王都へ入ってきたのか!?」


「ああ、どうやらそのようだぜ。見てみろよ二階堂」


逃げる人々の後ろから、一体のアンデットが走って追いかけていた。

その姿を視認した鬼灯が、高く跳び上がり能力を使用する。


「追いかけ回してんじゃねえよ!!オラァ!!」


鬼灯が放った火炎が、アンデットの体を焼き尽くした。

彼女が撃破したのも束の間、二人の目の前へ再びアンデットが出現する。


「な、なんだ!?アンデットの野郎、この場で沸きやがったぞ!?」


「どうやら門から入ったってわけじゃなさそうだな、まるでどこかから瞬間移動して来たみたいだ」


戦闘を続行する二階堂達と鬼灯。すると二人の視界に、

防壁の近くから突如出現するアンデットが映り込んだ。


「…なあ鬼灯、もしかしてあの防壁の向こう側から瞬間移動して来てるんじゃないか?」


「え!?王都の外からか!?それはねえだろ!王都の防壁は、魔法を遮断する結界が貼られてんだ。

 外部から転移魔法で飛ばすなんて出来ないはずだぜ」


「そうなのか…ってことはまさか?」


二階堂は一つの仮説に辿り着くと、目の前のアンデットを殴り飛ばし、鬼灯を連れ防壁の上まで移動した。

二人が壁の外側を確認すると、そこには檻に入ったアンデットを、一体ずつ触れて転移させる者が居た。


「あぁ!?あの野郎何やってやがる!?アイツが王都へアンデットを送ってるのか!?

 だが一体どんな魔法で、壁の向こうに飛ばしてるんだ!?魔法防御の結界を無視するなんてよ!!」


「もし、”使っているのが魔法じゃない”としたら?」


二階堂の言葉に、鬼灯の顔が青ざめる。

防壁にかけられた魔法防御の結界は、どんな魔法だろうと干渉させることはできない。


だがもしアンデットの瞬間移動に使っているのが、魔法ではなく、“別の力”によるものだとするならば、

魔法を防御する結界など気にすることなく、中へアンデットを送り込めるのではないだろうか?

そう考えた二階堂は、奇襲をかけるため鬼灯へ提案をする。


「今からアンデットを送ってるアイツへ、攻撃を仕掛けたい。だが俺の能力じゃここからだと…」


「わぁってるよ!任せとけ!!」


鬼灯は防壁の上から、アンデットを飛ばす男に向かって火炎を放射した。

上から飛んできた炎による奇襲に対し、男は瞬時に姿を消して回避する。


敵を見失った二人が内壁の方を見ると、男が王都へ侵入しているのが分かった。

今の瞬間移動で防壁、及び結界を通り越したのを見て、二階堂は確信を得る。


二人は防壁の上から、王都の内部に降り立ち、男へと近づいていく。


「お前がアンデットを送り込んでる張本人だな?それも結界の有無に関係なく、瞬間移動させてやがる。

 間違いねえ、お前“異能力者“だろ?」


「クヒヒ…まさか異能を認知してる者に出会えるとは、さては貴様も異能力者かな?」


二階堂と鬼灯が、距離を取って男と対峙する。


「フン、どんな理由で街を襲っているのか知らねえが、何者だお前?」


「クヒヒヒ…私の名前はルヒト。偉大なるオリエリン様に従い、この王都をアンデットで埋め尽くす」


「何!?オリエリンだと!?お前奴の部下なのか!!なんで奴は王都を襲わせている!?」


「クヒヒ…貴様らに答えてやる義理はない。二人共ここで惨たらしく殺してやる」


殺気を向けてくるルヒトに、鬼灯は先制攻撃を仕掛ける。

掌の上に火球を作り出し、彼女はルヒトへ向かって勢いよく投擲した。


「先手必勝だ!!ファイアボール!!」


「クク、愚かな」


迫り来る火球に対し、ルヒトは手で触れると、一瞬で攻撃を消滅させる。

驚いた鬼灯が上を見上げると、二階堂の頭上へ火球が瞬間移動していた。


「二階堂!!上!!」


「っ!!な、なに!?」


瞬時に二階堂が前転してかわすと、ルヒトの能力に対し推測を立てる。


「恐らく奴の能力は、“触れたものを瞬間移動させることが出来る“。

 アンデットだろうが火炎だろうが関係ない、自分自身さえもテレポートさせれるんだ!」


「クヒヒ、御明察。ゆえにいくら赤髪のお嬢さんが火で攻撃しようとも、

 全て私が反撃に利用出来るということだ。瞬間移動というのは便利なものだろう?」


「く、くそ!!じゃあアタシはどうすりゃいいんだよ!?攻撃したら逆にこっちの首が締まっちまう!」


焦る鬼灯を後ろに下げ、二階堂は前に出てルヒトと相対した。


「鬼灯、お前は必要な時だけ攻撃を仕掛けてくれ。ここは俺が出る」


二階堂は構えを取り、不敵な笑みを浮かべるルヒトと向かい合う。

周囲を静けさが支配し、異能力者同士特有の緊迫した空気が漂った。


次の瞬間、二階堂がルヒトに肉薄すると、大きく蹴り上げ、自身の履いていた靴を勢いよく飛ばした。

すかさず飛んできた靴を掴み取るルヒトに、隙をついた二階堂は至近距離まで接近する。


二階堂が攻撃を仕掛ける刹那、ルヒトが手を伸ばし、二階堂に能力を使おうとした。

瞬時に体を逸らして、ルヒトの手を避けた二階堂。すると彼は後ろに体勢を逸らしたまま、

ルヒトの顔を蹴り上げた。素足で蹴りを入れられたルヒトの顔面が、カラカラに干からびていく。


「な、なんだ!?これは!?」


「俺の能力は、別に手で触れるのが発動条件ってわけじゃないぜ?

 足で触れても能力は叩き込んでやれるのさ」


地面に背を預けた二階堂は立ち上がり、ルヒトへ追撃を試みる。

しかし二階堂はルヒトの手から、自身の靴がなくなっているのを視認した。


「クヒヒ…じゃあ私も一つ、瞬間移動能力の恐ろしさを見せてやろう」


二階堂が怪訝な顔をした刹那、彼の右足に自身の靴がめり込み、出血しながら脹脛と一体化した。


「うぐっ!?な、なに!?」


「私の瞬間移動は物体の内部にも、他の物体をテレポートさせることが出来る。

 もっとも内部に埋め込もうとすると、位置情報が狂って精度が落ちるのだがな。

 だが靴は見事に、君の足へ帰ってくれたようだね?」


「ぐっ!ぐあああああ!!!!」


足を血まみれにし、激痛で地面へと倒れ込む二階堂。

ルヒトは追撃をしようと、街道の石畳に触れ、手の上に瞬間移動させる。

戦況の不利を察した鬼灯は、打開しなければという使命感に駆られた。


「二階堂!!クソッ!!この野郎!!」


「クヒヒ…一体なにをしようというのだ?お嬢さん」


鬼灯は高く跳び上がり、太陽を背に掌を燃やす。


「くらえっ!!ファイアフラッシュ!!!」


すると鬼灯の灯した炎が太陽の光に照らされ、周囲に激しい光を照射した。


「ぐぅ!こ、小癪な!!」


ルヒトが瞳を手で隠し、眩さが収まるのを待つと、前方に視線を送る。

しかし目の前から、二階堂と鬼灯の姿は消えてしまっていた。


「一時退却したか、クヒヒ…無駄な足掻きだ」


ルヒトは地面に滴り落ちる血痕を追い、二人の後を追跡する。




一方噴水の辺りでは、ノアとロスがアンデットと戦っていた。


「ど、どうロスちゃん?少しずつ敵の数が減ってきたんじゃない?」


「うん、もしかして送り出してる人間が手を止めたのかも…」


二人が呼吸を整えて周囲に目を配ると、前方からローブを被った人影が歩いてくる。


「っ!!ま、また新手のアンデット!?」


「そうみたい。気をつけて、来る」


アンデットは杖を取り出し、二人へ向けて魔法を飛ばしてきた。

すかさずロスが魔法を詠唱して、氷の壁を前方に生み出す。


「我を障害から守り抜け、フロストウォール」


飛んできた魔法攻撃を氷壁で防ぎ、二人はアンデットに視線を送る。

するとノアはアンデットの姿に既視感を覚え、脳内にある記憶を蘇らせた。


「あ…アンタは!あの時のローブの男!!」


二人へ向かってくるアンデットの正体は、

以前馬車の周りで、二階堂達を襲撃したローブを纏った野盗だった。

ローブの男の変わり果てた姿を見てノアは、驚きと共に因縁を感じる。


「セバスを殺すだけでは飽き足らず、王都の市民を襲うなんて!!

 アンタにはここで終止符を打ってあげるわ!!」


ノアは拳を硬く握り、ローブの男に引導を渡した。


王都内部の各地で、街の平和がかかった戦いが幕を上げる。

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