表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/32

第18話 異能力者vsドラゴン②

「う…うぐ…!」


ドラゴンに崖下へ落とされた二階堂は、運良く木の上に引っかかり、一命を取り留めていた。

彼は地面へ着地すると、負傷した全身を能力で自己回復する。


「ハァ、ハァ…早くドラゴンのとこへ戻らねえと、鬼灯が死んじまう…!

 ま、待ってろよちくしょう!!」


「あぁ?なんか木の上から降ってきたかと思ったら、ただのゴミじゃねえか」


突然何者かに罵倒され、二階堂が声の元へ視線を移すと、

そこにはギルドで出会ったアスファルトの姿があった。


「こ、この脳筋野郎!!どうしてここにいやがる!?」


「誰が脳筋野郎だゴラァ!!オレはクエストでここまで来ただけだ!!

 ドラゴンをぶち殺すクエストでな、そいつがどこにいっか分かんねえから探してんだよ」


「何!?ドラゴンだと!?」


偶然にも同じ目的で来たアスファルトに対し、二階堂は驚いた反応を見せる。


「んだよ?その反応、もしかして居場所知ってんのか?

 …つーかなんか焦げ臭えぞテメェ!?さてはドラゴンと戦ってたな!?」


「くっ、脳筋のくせに鋭いじゃねえか。鼻だけは効くんだな犬野郎」


「うるせぇ!さっさとドラゴンのとこまで案内しろ!!

 テメエが戦ってるドラゴンの首、横取りしてやらァ!!」


「はぁ!?なんでわざわざ横取りされるために、

 テメェを案内しなくちゃならねえんだよ!?ふざけ…」


大声で拒否しようとする二階堂だったが、ふと思ってしまう。

はたして自分一人でドラゴンに勝てるのだろうか?鬼灯を救うことが出来るのだろうか?と。

そして戦力は多い方が良いと考えた彼は、渋々アスファルトを案内する。


「…こっちだ。ついてこい」


「あ?んだよやけに素直じゃねえか、もしかして罠でも張ってんのか?」


「黙ってついてこい!早くしねえと死んじまうんだよ!!」


二階堂は岩山をよじ登り、崖の上まで急いで移動する。


「…もしかして仲間が危ねえのか?ちっ、まあオレには関係ねえ」


アスファルトも二階堂に続き、崖上まで距離を縮めた。


二人がドラゴンがいる所まで登ると、そこにはボロボロになった鬼灯が地面に倒れていた。


「ほ、鬼灯!!く、くそ!!この野郎!!」


二階堂が怒りを露わにし、構えをとると、アスファルトが斧を手に持ち、ドラゴンと相対する。


「いいかヒョロ男、オレはドラゴンの首さえ取れればそれでいい。仲間連れてとっとと逃げてろ」


「ドラゴンを倒せば、鬼灯も助かるし、報酬も貰える。お前は黙って戦えばいいんだ」


「けっ!せいぜい足手まといになるなよ!!」


二人は同時に前方へ飛び込み、ドラゴンに向かって攻撃を試みた。

大きな翼を薙ぎ払い、二人を返り討ちにしようとするドラゴン、

すかさずアスファルトが斧の振って攻撃をいなし、その間に二階堂が懐へと飛び込んだ。


二階堂の右ストレートが、ドラゴンの顔に叩き込まれる。

接触部分が干からびていくのを感じ、ドラゴンは二階堂を掴んで離すと、地面へ勢いよく投げ飛ばした。

アスファルトが斧を振りかぶり突撃すると、ドラゴンは口から火を吐き、彼の全身を焼き尽くす。


二人は地面に投げ出され、ボロボロになりながらも、闘志を剥き出しに立ち上がった。


「はぁ、はぁ、想像以上だな、コイツは…!」


すると休む暇もなく、ドラゴンが攻撃を仕掛けてくる。

狙われたアスファルトが後ろにステップし、向かってくる炎のブレスを回避した。


敵視の外れた二階堂が、隙をついてドラゴンへ距離を詰める。

彼の接近を視認したドラゴンは、ブレスの方向を変え、二階堂に攻撃を仕掛けた。


すかさず二階堂はジャンプし、火炎を避けつつドラゴンの瞳の近くまで跳び上がると、

崖から落とされる前、投擲して眼球に刺したナックルダスターを掴み取り、空中で拳を繰り出した。

拳が顔面に接触する刹那、ドラゴンの薙ぎ払った張り手により、二階堂は遥か後方まで飛ばされてしまう。


圧倒的な力の差を見せつけられ、二人は苦戦を強いられる他なかった。

その中で一人アスファルトが、拳を硬く握り、思いをよぎらせる。


(オレはコイツを倒して、大金を手に入れる!!なんとしても…なんとしてもだ!!)


するとアスファルトは小さく口を開き、魔法を詠唱する。


「バーサーカーダイブ、狂化!!」


次の瞬間、アスファルトの瞳が白色に占領され、禍々しいオーラを周囲に放つ。

彼は自身を狂化状態へと移行させたのだった。


狂化したアスファルトがドラゴンに向かって飛びかかる。

ドラゴンはすぐさまブレスを吐き、彼を迎撃した。

しかしアスファルトは燃えながら炎を突っ切り、ドラゴンのゼロ距離まで接近する。


「グアアアアア!!!!!!」


アスファルトは大声を上げて斧を振り下ろし、ドラゴンの肩へ深々と傷をつける。

ドラゴンは痛みを堪えつつ、前足で彼を薙ぎ払おうとした。

しかしアスファルトは攻撃を喰らってもなお、攻撃の衝撃に耐え、

ドラゴンの前足に乗って跳び上がり、頭上へと斧を叩き込もうとした。


異常なタフさに度肝を抜いたドラゴンは、すぐさま口を開け、アスファルトを迎撃しようとする。

だが今度はブレスを放射するのではなく、そのまま彼を丸呑みする勢いで顔を近づけ、

バクリと全身を口の中に入れてしまった。


捕食されたかに見えたアスファルトだったが、彼はドラゴンの口を無理やり開き、

片手に持った斧で、ドラゴンの口の中を直接攻撃しようとした。


化け物同士に、終止符が打たれるかに見えたのだが、

ドラゴンの喉の奥から燃えるような光が差し込んできた。


もしこの状況で戦っているのが別の巨大生物だとしたら、

急所を抑えたアスファルトは勝利していたかもしれない。

だが相手は口の中から火炎を吐くドラゴン、そして火炎の放射される火口に居たアスファルトは、

ドラゴンのブレスを、直に食らってしまった。


強大なダメージを負った彼は、生命感なく地面に落下する。

次第に意識が途絶え、ついにアスファルトは気絶してしまった。


攻撃を仕掛ける者がいなくなったその時、

鬼灯が意識を取り戻し、地面からゆっくりと立ち上がる。


「は…はぁ…はぁ、せ、せっかく二階堂達が助けに来てくれたのに、アタシだけ寝てらんねえよ!!」


鬼灯はドラゴンを睨みつけ、奴の身体の弱っているところに目をつけた。


(さっきの斧を持った男が、ドラゴンの肩に傷をつけてくれた。

あそこに手を突っ込んで、炎を流し込んでやれば、

いくら表面の硬いドラゴンでも一溜りもねぇはず!!)


鬼灯はドラゴンに向かって走り込み、拳を燃やして攻撃態勢に入った。

すかさず迎え撃つドラゴンのブレスを、彼女は火炎放射で相殺すると、

肩の傷まで跳び上がり、燃える拳を傷口にねじ込んだ。


「これで、終わりだああ!!」


鬼灯が能力を最大出力で使用し、掌から業火といえるほどの炎を放出した。

体内を直接炙られたドラゴンは、痛みのあまり大きな叫び声を上げる。

鬼灯の放射する炎は、次第に肩を焼き切り、体から左翼を分離させた。


ドラゴンが空へ逃げれなくなったのを見て、鬼灯が喜んだのも束の間、

大事な翼をもがれ怒り狂ったドラゴンが、彼女のことを殺意を込めて睨んだ。


次の瞬間、鬼灯を全力で薙ぎ倒したドラゴンは、彼女を地面に叩きつける。


「が…は…!」


一気に瀕死へ追いやられた鬼灯に、ドラゴンはブレスでトドメを刺そうとする。

口から炎をたぎらせ、今にも放射しようとしたその時、ドラゴンの頭上から何者かが奇襲を仕掛けてきた。


両手を広げ急降下してきたのは、後方に飛ばされたはずの二階堂だった。

彼は地面に手を当てながら、ゆっくりと視線をドラゴンに向ける。


「…避けたな。お前、やはり知能があるな?

 さっき能力で顔が干からびた時、咄嗟に俺を投げ飛ばして、能力使用を中断させただろ。

 今もそうだ。降下して触れようとしたら、瞬時に避けて間合いを取った。

 少なからず俺の能力には、何かあると察しているらしいな?」


相対するドラゴンに、知能が備わっていると確信した二階堂。

彼は構えを取り、知的生命体との読み合いに臨むため、じっと相手の出方を見ていた。


ドラゴンとの勝負の決着は、二階堂の手に委ねられた。


先に攻撃を仕掛けたのはドラゴンだった。

口からブレスを吐き出し、二階堂に向かって炎の手を近づける。

二階堂は高く跳び上がり、ブレスを上に回避した。


空中に逃げた彼を追撃するため、ドラゴンは飛んで接近しようとする。

しかし片翼のないドラゴンが飛行するのは難しく、すぐに地面へ落下してしまう。


それこそ、二階堂が狙っていた作戦だった。


ドラゴンが着地した地面が、大きくひび割れながら崩壊し始める。

何は起こったのかわからないドラゴンは、二階堂に見下ろされながら空中に投げ出された。


「俺が上から奇襲した時、別にお前へ触れたいわけじゃなかったんだ。

 ”お前の立つ地面に触れたかったんだよ“。能力で風化した山岳の地面は、

 ドラゴンの体重に耐えれるほど丈夫じゃなくなってた。だからお前が少し飛んだだけで崩れたんだよ」


落下するドラゴンが最後の抵抗を見せ、崖際を残った片翼で掴もうとする。

そしてギリギリで掴むことに成功し、崖下への落下を逃れたドラゴンが、安堵したのも束の間、

上から見下ろす二階堂の手が、崖を掴んだドラゴンの片翼に触れる。


「その後、利口なお前が生き残るために、崖を掴んで落下を拒むことも予想がついた。

 なら俺のやる事は簡単だ。そっと掴んだ翼に、手を触れてやるだけでいい」


次第に触れた翼が干からび、薄皮のようになったその代物は、もはや崖を掴む筋力など無くなっていた。


崖にも掴まれず、飛行する翼も失ったドラゴンは、

悲痛な叫びを上げながら、地面へと落下していった。


大きな墜落音を耳で受け取り、二階堂は崖上から下を見つめる。


こうして山岳地帯で繰り広げられた、ドラゴンと二階堂達の戦いは、劇的な最後で幕を下ろした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ