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第15話 タッグバトル

敵対する二階堂とアスファルトに、ギルド試験官は言った。


「二人のうち僕を倒した方に、最高ランクのAの肩書きをプレゼントしてあげるよ!

 そしたら各々実力もハッキリするし、飛び級で冒険者ランクも上がる、一石二鳥じゃないかな?」


「な、なんだと!?そんなことしていいのか!?」


「構わないさ。そのかわり僕を倒せなかったら、二人とも最低ランクからのスタートだけどね」


「な、何!?」「んだとォ!?」


冷や汗を垂らす二人に、試験官は不敵な笑みを浮かべてみせた。


「さあどうする?君たちに任せよう、頭を冷やしてこの場を去るか、目の前のチャンスを掴み取るか」


二択を突きつけられた二階堂とアスファルト。

そんな彼らを他所に、試験の終わったロスは、ため息をついて会場から去っていく。


「はぁ、付き合ってられない。もう私帰るから」


歩いて退場する彼女などいざ知らず、二階堂はある思考を巡らせていた。


(もしAランクになれば、それ相応のクエストを受けられるといっていたな…

出来るだけ高いランクのクエストをこなせば、その分冒険の資金も潤うってことじゃねえか?)


すると闘志を燃やし始める二階堂に向かって、アスファルトが裏拳をくらわせてきた。


「ぐああ!!!」


「けっ!テメエは邪魔だ!!引っ込んでろ!!」


アスファルトは二階堂を吹き飛ばすと、すぐさま試験官に向かって肉薄する。


「こ、この野郎…!」


振り上げた手斧の一撃を、試験官の頭部に振り下ろす刹那、

立ち上がった二階堂の飛び蹴りが、アスファルトの背中を捉えた。


「退け!!邪魔だ!!」


アスファルトを蹴り飛ばした二階堂は、試験官に拳を振り放つ。

しかしヒラリとかわされてしまい、試験官の召喚した剣の一撃が、二階堂に振り下ろされる。

すかさず剣に触れ、能力で消滅させる二階堂、だが試験官はニヤリと笑いながら、彼に小さく呟いた。


「攻撃を凌いだからって、油断しちゃダメだよ。下がガラ空きさ」


次の瞬間、試験官は二階堂の腹部を蹴り上げ、彼を遥か後方に吹き飛ばす。

すると二人の攻防の隙をついて、アスファルトが試験官の死角から、手斧を薙ぎ払った。


「溜めが長い、軌道が一直線、分かりやすすぎるよ」


試験官は屈んで一撃を避け、召喚した鉄槌でアスファルトを殴り飛ばす。

一気に間合いを離された二人は、試験官を睨みつけながら、思考を巡らせ作戦を立てた。


(この二階堂とかいう奴、特殊な力で召喚したものを消してるようだ。

もし奴が試験官の武装を解除したところを、俺が横取りできれば…!)


(この脳筋野郎の攻撃は一直線で避けられやすい、だがこの場合は好都合だ。

試験官が攻撃を避けたところを、俺が一撃叩き込んでやれれば、この勝負俺の一人勝ちだ!!)


二人の視線が鋭く光り、お互い闘志を剥き出しにした。


「強えな、流石試験官さんだ。人を選別する立場を任されてるだけある。

 悪いけどこっからはマジで行かせてもらうぞ」


二階堂が拳にナックルダスターを嵌め込み、ついに本腰を入れ始める。

そして彼らは無意識のうちに、同時に試験官の元へ飛び込んだ。


二階堂の左ストレートが、避けた試験官の頰を掠める。

すると跳び上がったアスファルトが、上から手斧を振り下ろした。

召喚剣でガードされる手斧の一撃、その隙をついて二階堂がボディーブローを放つ。

試験官は召喚した鉄槌で攻撃を防ぐも、彼の手に触れ、瞬く間に能力で消滅させられる。


次の瞬間、手斧を防がれたアスファルトが、両脚で試験官の顔面を蹴り飛ばした。

後方にノックバックする試験官の口から、少量の血が噴き出てくる。


(くっ…!凄いね!まさかここまで完成度の高い連携を取ってくるとは…)


試験官は二人の意図しない連携を高く評価しながら、構える両者を視界に映す。

ただ各々の野心に燃えているはずの二人が、試験官の目には歴戦のタッグに映って見えた。

大型新人達を前に、期待の眼差しを向けた彼は、眼前に巨大な召喚獣を生み出す。


「どうだい?防壁の如きアームドゴーレムを前に、君たちはどう攻略する?」


二階堂とアスファルトは、迷うことなくゴーレムに立ち向かう。

跳び上がってゴーレムの頭部に触れた二階堂、しかし能力で消滅したのは、頭部の鎧だけだった。


「っ!?コイツ!!二重になってやがる!!」


空中で無防備になった二階堂。だが次の瞬間アスファルトが、手斧をゴーレムの頭部を投げ飛ばし、

急所を損傷したゴーレムが、音を立てて後ろに倒れ込んだ。


「邪魔なんだよ!退けぇ!!」


手斧を引き抜いたアスファルトが、試験官に肉薄し、頭目掛けて刃を振り落とす。

左にかわした彼に合わせ、二階堂が左フックを鋭く放つ。

咄嗟に召喚剣でガードするも、触れて消滅したことにより、試験官は武器を失った。


すかさずアスファルトが斧を薙ぎ払い、攻撃を当てようとするも、高く跳び上がり避けた試験官。

避けられた手斧の一撃が、横にいた二階堂に向かって薙ぎ払われた。


「っ!!テメェ!!」


二階堂はバク転で斧を回避し、その隙にアスファルトが腕を振り上げ、試験官に向かって距離を詰めた。


「この勝負!!オレがもらったァァァ!!」


斧の一撃を迎撃しようと、試験官が再び剣を召喚しようとする。

しかし剣を一本召喚した後、自身の残り魔力が枯渇し始めていることに気づく。


(くっ!!二階堂君のせいで武器を召喚し過ぎた…!だが問題ない!この一本で迎撃できる!!)


試験官は剣を後ろに振りかぶり、思い切り手斧を弾き返そうとした。

お互いの攻撃が最大まで振りかぶられたその時、今回の勝負を決定づける出来事が起こった。


「流石だ試験官、後ろにいた俺にまで刃を向けるなんてよ」


試験官の背後に回っていた二階堂が、振りかぶった召喚剣に触れガードしていたのだ。

能力で武器が消滅した試験官は、二人の攻撃に板挟みにされる。


「ふ…フフ、まさか僕を倒すとは…ね」


二階堂は後頭部にフックを、アスファルトは腹部に手斧を、

強烈な二人の同時攻撃が、試験官を壁まで吹き飛ばした。


戦闘不能になった彼を見下ろしながら、二人は勝ち誇った表情を浮かべる。


「約束通り、これで俺の冒険者ランクはAになるんだろうな?」


「はぁ?バカ言ってんじゃねえよヒョロ男、オレがAランクになるに決まってんだろ。

 テメエは近くをウロウロしてただけだろうが」


「何言ってやがる?攻撃ほとんど避けられてたじゃねえか、

 実質俺が倒したといっても過言じゃないだろ」


「あぁ!?ゴラァ!!調子くれてんじゃねえぞ!!」


睨み合う二階堂とアスファルトを見て、試験官はニヤリと口角を上げた。


「へ…へへ、これは期待の新人達がギルドに入ってきたね…」


こうして冒険者ギルドの実技試験は、激闘の末幕を下ろしたのである。

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