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エリザベスの前世と今世

主人公はジュスティーヌちゃんのはずなんだけどなぁ

三ヶ月間、エリザベスは夢を見ていた。所謂前世というものを追体験していた。


「酒買って来い!」


「あなた、もうお金が…」


「いいからとっととしろぉ!」


「きゃあ!」


『これは夢?でも、なんだかとても懐かしい』


その世界では彼女はやはり家庭環境には恵まれなかった。荒んだ家庭で育った彼女は愛を知らなかった。故にこそ、彼女は家庭の外に愛を求めた。彼女は愛情を追い求めるように保育士になっていた。保育士として子供達と接する時間が何よりもの幸せだった。


「先生ー!こっちで遊ぼー!」


「先生みてみて!先生書いたー!」


「先生ー!こっちでお花咲いてるよー!」


『子供達はとても可愛い』


そんな彼女は不審者から襲われる見ず知らずの親子を守って亡くなった。でも本人にとっては見ず知らずとはいえ、幸せそうな子供と母親を守れた幸せな最期だった。


『ああ…そうだ、満足な最期だった。これは私の、前世の記憶だ』


そうして、エリザベスは前世の追体験の後に目を覚ました。彼女は前世の記憶に引っ張られることはなく性格は変わらない。だがひとつだけ。保育士としての追体験のお陰で、普通に笑えるようになっていた。


「エリザベス!目が覚めたのか!」


「お義母様!よかった!よかったぁ…」


「ジュスティーヌ…皇帝陛下も、おはようございます」


「おはようございます、お義母様!」


「おはよう、エリザベス」


目を覚ました彼女は今日もお見舞いに来ていたジュスティーヌとユルリッシュに喜ばれる。


「エリザベス。今まで失礼な態度を取ったり、色々誤解をしたりしていてすまなかった。これから仲良くしてもらえるだろうか?」


「もちろんです、皇帝陛下」


「お義母様、私もお義母様ともっと仲良くなりたいです!」


「もちろんです、ジュスティーヌ」


嬉しそうに笑うエリザベス。ジュスティーヌは初めてみる継母の心からの笑みに喜んだ。


「お義母様。今日は自然学習をしたのですが、カエルを観察していたら顔に向かってジャンプしてきたのです!びっくりしました!」


「ふふ、それは驚きましたね」


そして他愛ない話をして、エリザベスは思わず笑顔を零した。その自然な笑みに、ユルリッシュはどうしてだか心惹かれる。


ユルリッシュが愛するのは前妻シルヴィアだけである。だが、エリザベスはユルリッシュにとって情をかける人になるかもしれない。


そんな二人の様子にジュスティーヌは微笑んだ。大好きな二人が仲良くなって嬉しかった。


その三人の様子に、専属護衛騎士三人組もほっと胸を撫で下ろす。これからはもっと鍛錬を積み必ず皇帝陛下と皇后陛下、皇女殿下をお守りする。そう改めて誓い合う三つ子に、エリザベスは柔らかく微笑んだ。


そんなエリザベスは、急に笑顔を見せるようになって却って使用人たちから怪しまれることになった。やれ入れ替わりだの精神乗っ取りだの、何か企んでいるだとの噂される。


しかしそんな噂など何処吹く風で、ジュスティーヌはエリザベスにさらに懐いた。


そんなジュスティーヌの様子にユルリッシュもさらにエリザベスを受け入れる。


そして三つ子の専属護衛騎士達がエリザベスの悪口を噂した使用人達の顔と名前を覚えてユルリッシュに報告して、ユルリッシュが厳重に処罰を課した。代わりに噂に惑わされない者を新たな使用人に迎え、エリザベスは少しずつ自分の居場所を手に入れた。

次話からはちゃんと!ジュスティーヌちゃんをメインにしたい!

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