無垢な願い
ジュスティーヌちゃんの祈りは届くでしょうか
結局、エリザベスは一日が経っても目を覚まさなかった。身体が弱らないように点滴で栄養を入れる。
「お義母様…」
ジュスティーヌはエリザベスの側に張り付いて離れなかった。食欲もなく、ろくに食事に手をつけずにひたすらエリザベスの手を握って祈りを捧げていた。
「姫様。少しは食べないと身体に毒です」
「お義母様の方が大事だもん」
「姫様…」
ユルリッシュは、さすがに執務や公務があるためずっとはいられなかったが、仕事の合間を縫ってエリザベスの様子を見に来た。エリザベスが目を覚ますのを期待して。
「…エリザベス、来たぞ。今更かもしれないが、君と色々話をしたい。起きてくれ」
「お義母様…」
「…」
それでもエリザベスは起きない。そんなことが数日続けば、さすがにジュスティーヌも将来のための勉強も必要なためずっとエリザベスに張り付いていることは出来なくなる。
「姫様、お勉強のお時間です」
「でもお義母様が…」
「皇后陛下にはアーノルドがついていますから」
「…お勉強終わったらまた来ていい?」
「きちんとお食事も摂ってくださるなら」
そうしてジュスティーヌも少しずつ以前の生活に戻っていく。だが、ジュスティーヌもユルリッシュも、忙しい時間を割いてエリザベスに必ず会いに来た。
「お父様。お義母様、今日は起きるでしょうか?」
「そうだな。今日こそ起きてくれると嬉しい」
「私もです」
点滴では足りず、胃瘻を繋げたエリザベス。ほぼ無理矢理生かされている状態だが、意識さえ回復すればゆっくりでも食べられるようになるはずだし、いつかはもっと回復するだろう。二人はそう期待している。
そんな日々が続いて、続いて。気付けば三ヶ月が経っていた。三ヶ月間、ジュスティーヌは毎日エリザベスの部屋に通った。身を呈して守ってくれた優しいエリザベスと、もう一度お話がしたい。その一心で。
ユルリッシュも同じくエリザベスの部屋へ通う。身を呈して娘を守ってくれたエリザベス。もう一度話をしたい。それはユルリッシュの願いでもあった。
アルフレッド、アルベルト、アーノルドの三人もエリザベスの目覚めをこの三ヶ月間ずっと待っていた。エリザベスを守れなかったアルベルトとアーノルドは処罰を求めたが、より一層仕事に励むようにと言われ処罰を受けることができなかった。ある意味それが罰のように感じる二人。アルフレッドはそんな二人を励ましていた。
特にアーノルドの落ち込みようは激しく、エリザベスの部屋の警護をしながらもエリザベスの顔を見てはため息を吐く日々を送っていた。
みんながエリザベスの目覚めを待っている。
三つ子も可哀想




