エリザベスの一日
エリザベス、頑張る
エリザベスは、心配性なユルリッシュの命でベッドの上で生活することになった。あんまり動かなすぎてもそれはそれで危ないので、一日一度庭を散策することは認められているが、それだけである。
「アーノルドー。公務が気になるー」
「妊娠初期なんだから大人しくしとけって」
「でもー」
「もしどうしても暇なら、ほら。皇帝陛下がくれたこれでお腹の子のお友達でも作ってやれよ」
そう言ってアーノルドは編み物キットを渡す。
「編みぐるみって素人でも出来るの?」
「どうだかなぁ…」
「まあ、時間はあるしやってみるかぁ…」
とりあえずエリザベスは頑張ることにする。編み物キットには色々なものの作り方も載っているため、それと睨めっこしながら手を動かした。
「ねえ、アーノルド。ここってこれであってる?」
「んー…んー、こうじゃね?」
「あ、なるほど。ありがとう」
「おー」
エリザベスの真剣な表情に、アーノルドはお腹の子への愛情を感じて癒される。
「アーノルド、ジュスティーヌとこの子は仲良くなれるかな」
「そりゃ姫様は優しいし、皇后陛下が変わらず姫様にもその子にも愛情を注げば大丈夫だろ」
「そっかぁ…楽しみだなぁ。赤ちゃんと戯れるジュスティーヌ、可愛いだろうなぁ…」
「間違いなく絶対可愛いな」
「だよね!」
アーノルドとエリザベスはジュスティーヌとお腹の子のことを考えて二人で盛り上がる。そして、エリザベスはふと考えて止まる。
「どうした?なんかあったか?」
「編みぐるみ、ジュスティーヌとお腹の子の分を作ってお揃いでもたせたら可愛くない?」
「絶対可愛い」
「よしやろう!」
キラキラと期待に瞳を煌めかせるエリザベスに、アーノルドはさらに言う。
「もし暇なら皇后陛下と皇帝陛下の分も作ってもいいんじゃね?家族みんなでお揃いの方が姫様は喜ぶだろ」
「!いいね!頑張って作る!」
「一つにつき所要時間は五時間らしいから、まあ数日で四人分作れるだろ」
「そうだ!ジュスティーヌがこの髪留めにやってくれたみたいに、作りながら魔法で加護をかけてアミュレットにするのもいいよね!」
「いいんじゃね?」
エリザベスはさらにやる気を出して編みぐるみを作り始める。そんなエリザベスの様子を見て、本当にこいつは姫様が大好きだよなと少し呆れつつも好感度をさらに上げるアーノルドだった。
そして、エリザベスは編みぐるみを一つ作った。モデルはもちろんサシャである。魔法で加護もバッチリだ。そして、数日後、四人分の編みぐるみが出来上がりユルリッシュとジュスティーヌにプレゼントすると、家族全員でお揃いということもあり大いに喜ばれた。
「お義母様、ありがとうございます!絶対絶対大事にします!」
「みー」
「ほら、サシャ。お義母様がサシャの編みぐるみを作ってくれたよ。それも加護がついてるの!」
「みー」
「気に入っていただけてよかったです」
エリザベスはジュスティーヌの頭を撫でる。
「しかしエリザベスは器用だな。初めて作ったとは思えない」
「そうですね、お父様!」
「間違えそうになるとアーノルドが教えてくれたのです」
エリザベスは褒められて喜んだ。優しく微笑むエリザベスにジュスティーヌはさらにご機嫌になる。
「アーノルドもありがとう!はやくこの子にもプレゼントしたいですね!」
「そうだな、ジュスティーヌ」
「ジュスティーヌとお揃いですから、きっとこの子も喜びますね」
「えへへ」
仲睦まじい三人家族の微笑ましい会話に、アルベルトとアーノルド、アルフレッドはこっそりととても癒されていた。
ジュスティーヌの宝物が増えました




