ジュスティーヌとサシャ
サシャ、甘え上手
サシャは、気配を消すのが得意である。
「サシャー?どこー?サシャー?」
ジュスティーヌがサシャを探すが全く気配がない。まさか外に出てしまったのかと焦るジュスティーヌだが、そんな心配はご無用である。
「みー」
「きゃっ!びっくりしたー…」
サシャは廊下の死角、階段の段差の上にいた。何故そんなところにいるかというと、影になっているからである。サシャは暗闇が大好きだ。
「もう、サシャ。あんまり驚かさないでね」
「みー」
サシャは、甘えるのが得意である。
「サシャ、おやすみなさい」
「みー」
ジュスティーヌがサシャにおやすみを言って、寝る体勢に入る。するとサシャは、ジュスティーヌの顔に爪を立てずに猫パンチ…というか、肉球を押し付けてきた。
「もう。サシャ、どうしたの?」
「みー」
どうやらサシャは、何か言いたいらしい。ジュスティーヌはサシャの様子を見守る。
「みー」
「今日もお布団に入りたいの?」
「みー」
「しょうがないなぁ、もう」
そんなことを言いながらも満更でもないジュスティーヌである。いそいそと布団を持ち上げて、サシャが入れるようにする。
「どうぞ、サシャ」
「みー」
これから本格的に寒くなるだろう。サシャはしばらく甘えん坊になること間違いなしである。
サシャは、ハンティングが得意である。
「みー」
「おお、みー坊。ネズミ取ってきたのか!やるなーお前」
「アーノルド、口を慎め。サシャ様は姫様の大切なご家族だぞ」
「堅いこと言うなよ。ここには俺たちとみー坊だけだろ。皇后陛下と姫様は逃げたし」
アーノルドはネズミの死体を見て部屋の隅に逃げたエリザベスと、エリザベスに引っ付いて離れないジュスティーヌを一瞬見て、サシャの頭を撫でた。
「二人に喜んで欲しかったんだよな。ネズミの駆除をしてくれたんだもんな。よくやったな。偉い偉い」
「サシャ様。お二人はあまり動物に慣れてらっしゃらないのです。申し訳ございません。こちらの獲物は、俺がいただいてもよろしいでしょうか?」
「みー」
サシャは床にネズミを置く。
「ありがとうございます。見事なハンティングでした」
「みー坊、よくやった!」
アルベルトが褒めて、アーノルドが撫でる。喜ばせたかった二人に逃げられてしょげていたサシャの気力は回復した。そして、アルベルトがネズミの死体を連れて部屋の外に出るとようやっと戻ってきたジュスティーヌとエリザベスにいつも通り甘やかされて、完全に機嫌も治った。
サシャ、ハンティング上手い




