表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/48

シャルルの歌声

出てくる歌詞は私が以前書いた『理想の楽園』という詩から持ってきました。よかったらそちらも読んでみてくださいませ!

ジュスティーヌが数学の授業を受けている間、ちょうどシャルルは音楽の授業を受けているらしい。カリカリとジュスティーヌが数学の問題を解いている音に混じって、微かにシャルルの歌声が聞こえる。


「綺麗…」


数学の授業は決して疎かにはしないが、ジュスティーヌはシャルルの歌声の美しさを感じ更に惚れ直していた。


「ルル!」


「ジュジュ、ご機嫌だね。何かあったのかな?」


ジュスティーヌは授業が終わって休憩時間になると真っ直ぐにシャルルの元へ向かった。そして、シャルルを褒めちぎる。


「うん、あのね!さっき授業中ルルの声が聞こえたの!」


「あれ、聞かれてた?恥ずかしいな」


「すっごく上手だった!」


「そうかなぁ…でも、ジュジュに褒められるのは悪くないね」


「ねえルル!何か歌って欲しいな」


愛するジュスティーヌからの可愛らしいおねだりにシャルルは折れた。


「うーん…恥ずかしいんだけど…ジュジュが聞きたいなら、仕方がないな」


「ありがとう、ルル!」


キラキラとした目で見つめるジュスティーヌに、若干上手く歌えるか不安になるシャルル。あまりジュスティーヌに集中し過ぎないよう、目を瞑って歌うことにした。


「じゃあ行くよ?」


「うん!」


『優しく慈悲深い天使様に憧れて

天の世界の下

みんなあの空を仰いだ


いつしかみんながその世界に逝くのだろう

その日を夢に見て

その日のために生きて


雲がかかった優しい青空は

いつかみんなが夢に見た楽園


この世界は今はもう優しさなんて忘れて

だからこそあの天の世界をみんなが目指す


貧困

戦争

犯罪


この世界に別れを告げて

あの楽園に手を伸ばす


でも本当にそれでいいの?

今、私達に出来ることは本当にないの?

この世界に希望は残っていないの?


小さなパンをひとつあげる

その優しさだけでどれだけ世界は変わるだろう


いつかくる滅びに夢を見るより

今いるみんなで手を取り合って


世界は今優しさを知って

もう一度やり直す機会をくれた


みんなの優しさはやがて大きな力になり

滅びの運命は書き換えられた


天の世界への信仰は

この世界の未来への希望に変わり

やがてみんなが一つになれる


みんなの心を繋ぎ合わせ

異体同心になりこの世界の明日を目指そう


天の世界に別れを告げて

この世界の未来を切り開く


みんなで描いた理想の楽園を

この世界に生み出そう


今ひとつのパンを誰かにあげたなら

ほら、世界は一瞬で楽園に変わるから

怖くて苦しいだけだと思っていた世界を

みんなで理想の楽園に変えよう』


歌い終わったシャルルが目を開きジュスティーヌを見れば、キラキラした瞳で見つめられる。


「ルルすごい!やっぱりシャルルの歌声はすごく綺麗だよ!」


「そんなに褒められると照れるね。ありがとう、ジュジュ」


「でも、聞いたことない歌だね。誰が作った歌?とっても好きだな」


「おや、気に入ってもらえて嬉しいな。作詞したのは僕だよ。さっきの授業で曲に合わせた作詞をやっていてね」


シャルルの言葉に、ジュスティーヌが大きな目を更に真ん丸にする。


「シャルルが作ったの!?すごい!」


「作曲は先生だけどね」


「作詞出来るのがまずすごいよ!」


「ふふ。ありがとう、ジュジュ。そんなに喜ばれるなら、また今度作詞してみようかな」


「うん、聞きたい!一番に聞かせてね!」


「もちろんだとも!」


ジュスティーヌは素直に喜び、シャルルは年相応に照れ、リードは誇らしげにしているが、アルベルトはシャルルのあまりの多才さに末恐ろしいとすら感じていた。だからこそジュスティーヌの婚約者になり、相思相愛になってくれてよかったと心から思う。

シリーズ、詩集から探した方が早いかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ