ユルリッシュのお願い
ユルリッシュはエリザベスとお揃いにしたい
最近エリザベスは本格的に歩けるようになり、公務に復帰することになった。ユルリッシュはエリザベスの負担を少しでも軽くすべく頑張っている。エリザベスはそんなに頑張らなくてももう歩けるし大丈夫だと言うが、それではユルリッシュの気が治らない。
「皇帝陛下。あまりご無理なさらないでくださいね。過保護にされても困ります」
「そう言わずに甘えてくれ。私は貴女を大切にしたい」
「ふふ、皇帝陛下ったら。…わかりました。でも、無理はダメですからね」
「ああ、もちろんだ。身体を壊しては元も子もないしな」
すっかりおしどり夫婦となった二人である。
「今日はもう遅い。眠ろうか」
「はい、皇帝陛下」
エリザベスが本格的に公務に復帰することになってから、ユルリッシュとエリザベスは夫婦の寝室で一緒に眠るようになった。ユルリッシュがシルヴィアへの想いとエリザベスへの想いの葛藤に折り合いをつけ、もうエリザベスを遠ざける必要がなくなったからである。
「じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ、エリザベス。いい夢を」
しかし、この夫婦。夜の営みは全く無い。エリザベスはまだ乙女である。というのも、エリザベスが子を望んでいないのが大きい。ジュスティーヌに寂しい思いをさせたり、嫉妬をさせたり、後継者争いをさせたりしたくないからだ。
「んんー…」
「起きたか、エリザベス」
「んー…おはようございます、皇帝陛下」
「おはよう、良い夢は見られたか?」
「はい…皇帝陛下とジュスティーヌとシャルルと、みんなでピクニックに行く夢を見ました…」
眠気でポヤポヤしているエリザベスがそう答えると、ユルリッシュは頷く。
「なるほど、ピクニックか。わかった。君がそれを良い夢だというのなら、叶えよう。大分先にはなるだろうけれど、待っていてくれ」
「…はい」
「…まだウトウトしているな?朝が本当に弱いな、君は」
ユルリッシュはエリザベスの頭を撫でる。エリザベスはその心地良さにまた眠りそうになるが気合で踏ん張る。
「そうだ、エリザベス。君の誕生祭なんだが、私と君の衣装を合わせようと思うんだ。今まで公式な場でも…私のわがままで、君とは衣装を合わせることもしなかったから今更と思うかもしれないが」
「そんなことないれす…」
眠気で呂律が回っていないが、エリザベスはぼーっとした頭を必死に回転させる。
「皇帝陛下とお揃い、嬉しい…」
「そうか…ありがとう、エリザベス。デザイン画なんだが、いっぱいあるんだがこれとか特に君に似合うと思うんだ。どうだろうか?」
「素敵です…合わせる皇帝陛下の正装がかっこいい…絶対似合う…」
「なら、これにしよう。他にも装飾品や靴も選んで欲しいんだが、大丈夫か?」
「あい…善は急げなので、今選びます…」
ポヤポヤしている割にしっかりと好みの装飾品と靴を選ぶエリザベス。ユルリッシュはその後すぐに職人たちにエリザベスの選んだデザインのドレス、装飾品、靴などを作らせるように命じた。あとで本格的に目が覚めたエリザベスは、また皇帝陛下に恥ずかしいところを見せてしまったと赤面することになる。
エリザベスは朝が苦手




