喫茶店
「さあ、ここが喫茶店だよ」
「わあ…可愛いお店!」
ジュスティーヌは一目で喫茶店の外観を気に入ったらしい。シャルルは貸し切りで予約を入れて正解だったと笑顔になる。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
「ジュスティーヌ、どの席にする?」
「じゃあ、窓際の席!」
窓際の席に案内され、メニューを開く二人。
「ジュジュはどれが食べたい?」
「んー…カフェオレと…サンドウィッチがいいかな?きのこパスタがいいかな?」
「そうだねぇ…僕はきのこパスタを頼むつもりだから、よかったら一口分けてあげようか。どうせ貸し切りで誰も見ていないし」
「いいの?じゃあサンドウィッチにする!ルルにも一口分けてあげるね!」
「ありがとう、ジュジュ。ジュジュのそういう優しいところがとても好きだよ」
隙あらば口説くシャルルに、ジュスティーヌは顔を赤くした。
「ルルも、優しくてとっても素敵な王子様みたい…大好き!」
真っ赤になりながらそんなことを言うジュスティーヌにシャルルは頬を染めつつもにっこりと笑った。
「デザートはどうしようか。フレンチトーストもいいけれど、パフェ系もありだよね」
「うーん…パンケーキも食べたいなぁ…キャラメルパンケーキすごく美味しそう」
「なら、僕はマロンパフェにするよ。一口いるかい?」
「いいの!?ありがとう!私のも一口あげるね!」
食べたいものが決まり、注文を済ませる二人。お話をしながら少し待つと、きのこパスタとサンドウィッチが届いた。
「わあ、美味しそう!」
「そうだね。食べようか」
「いただきます!」
「いただきます」
ジュスティーヌはサンドウィッチをパクリと食べる。シンプルなタマゴサンドは優しい素朴な味で、濃い味つけばかりの食べ物が出る皇宮ではなかなか食べられないものだった。
「美味しい…!」
「ね、最高だろう?」
シャルルもきのこパスタを味わう。旨味たっぷりで、きのこの独特の歯ごたえが楽しい。何回通っても飽きないシャルルのお気に入りだ。
「はい、ジュジュ。あーん」
「え、え」
「一口あげると言っただろう?貸し切りだから大丈夫。ほら、あーん」
「あ、あーん…美味しい!」
「だろう?」
目をキラキラさせてすごく喜ぶジュスティーヌ。自分の大好きなきのこパスタを気に入ってもらえて、シャルルも喜んだ。そんな二人を見守るアルベルトとリードは無邪気な二人に癒される。喫茶店のマスターも、二人の喜びようにとても大きな幸せを感じる。
「シャルルも一口どうぞ」
「うん。あーんしてくれるかい?」
「あーん」
「あーん…うん、美味しいね。タマゴサンド、僕も好きだなぁ。その上好きな子が手ずから食べさせてくれるなんて。本当に幸せだよ」
「えへへ。私も幸せだよ」
微笑み合う二人。このまま幸せに大人になってほしいと、この場にいる大人組は全員願った。
二人が食べ終わると、次はデザートが出てきた。
「わあ!可愛いパンケーキ!すごくふわふわだね!」
「本当に可愛らしいパンケーキだね。クマを象っているんだね。このマロンパフェも、器が大きいよね。ぎっしり詰まっていてボリュームがある」
「美味しそう!お腹いっぱいになっちゃうね!」
「そうだね。いただきます」
「いただきます!」
まずはパンケーキを一口食べるジュスティーヌ。
「んー!やっぱりふわふわ!ホイップクリームとキャラメルソースですごく甘くてとっても美味しい!」
シャルルもマロンパフェを美味しそうに食べる。
「ふふ。やっぱりパンケーキは鉄板だよね。マロンパフェの方も、甘くて美味しいよ。マロンアイスの味が濃くて美味しいから、ほら、一口。あーん」
「あーん。うん、美味しい!」
すっかりとあーんに抵抗がなくなったジュスティーヌである。
「ルルもあーん」
「あーん。あー、やっぱりパンケーキもいいな。美味しいね」
「美味しいね!」
甘いものを堪能した二人。食べ終わると喫茶店を出る。
「さあ、このままこの辺りのお店でショッピングでもどうかな?」
「素敵!行こう行こう!」
二人は手を繋いで歩き出す。その背中を優しく見守るアルベルトとリードであった。




