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ジュスティーヌとシャルルのデート

森のデート。

森に着く。シャルルとジュスティーヌは馬車を降り、護衛二人に守られつつ…実際には専属護衛の他にも邪魔にならない位置に何人か護衛はいるが…森を散策する。


「おや、早速いた。ジュジュ、見てごらん。たぬき、という生き物だよ」


「わあ…!まんまるでふわふわ!可愛い!」


「親子なのかな?それとも夫婦だろうか。小さな子もいるね」


「わあ!わあ!素敵!」


「野生の子達だから、触れないけれど…この森も、なかなかにいいものだろう?僕のお気に入りなんだ」


シャルルはジュスティーヌがキラキラと目を輝かせるのを見て、連れてきて正解だったと笑う。ジュスティーヌはそんなシャルルに気付くことなく純粋に森を楽しんでいた。


「シャルル!連れてきてくれてありがとう!」


「ふふ、うん。でも、まだまだこの森の良いところはこれからだよ。…ほら、あちらを見てごらん。きつね、という生き物だ」


「わあ…!綺麗なフォルム!」


「すらりとしていてかっこいいだろう?宮廷暮らしではなかなか見られない動物だからね。目に焼き付けておくといい」


「うん!」


きつね、たぬき、と名前と見た目を必死に覚えておこうとするジュスティーヌに、シャルルは気を良くする。


「まあ、君が望むなら時間の許す限り何度だって連れてくるけれど」


「ルル?」


「ふふ、なんでもないよ。さあ、歩こう。ちょっと危ないけど、出来れば熊も見られるといいのだけれど…この時期ではもう難しいか」


「クマ!」


「テディベアのように可愛らしいものではなく、ひどく大きく恐ろしい生き物だけれどね。見ておくのも一興かなって。護衛もいるし、僕の魔法でいつでも逃げられるしね」


「…大きいの?」


「大きいし、恐ろしいよ」


ジュスティーヌは目を丸くする。色々なお勉強を頑張るジュスティーヌだが、生物の勉強は残念ながらしておらずその辺の認識はまだ子供だった。


「まあでも、多分この時期ではもう会えないだろうから大丈夫。ちょっと残念だけれど…ああ、リスとか可愛らしい子の方がむしろ会いやすいかな。ほら、あちらを見てごらん」


「わあ、可愛い!これがリス?」


「そう。ほっぺが膨らんでいるだろう?あれはね、どんぐりなどのきのみをほっぺに詰めているんだ」


「え、可愛い!欲張りなんだね!」


「ふふ、生きていくためだよ。僕たちみたいに毎日ご飯が決まった時間に出るわけではないからね。採れる内に採っておかないといけないんだ」


「へー…ルルは物知りだね!」


「よくこの森に息抜きに来ていたからね。そこの護衛…リードが教えてくれたのさ」


リードと呼ばれるシャルルの専属護衛が、目を向けてきたジュスティーヌに頭を下げる。


「リード、いつもルルを守ってくれてありがとう!」


「光栄です」


リードにも丁寧に接するジュスティーヌに、リードを気に入っているシャルルはさらにご機嫌になる。


「リードは動物に詳しいよ。君にかっこつけたくて色々紹介していたけれど、全てリードが教えてくれた動物達だ。初めて熊に会った時、怖くて逃げられない僕を守ってくれたのもリードさ。その時からリードを僕の専属護衛にしてもらったのさ。リードの動物さながらの威嚇に熊の方が尻尾を巻いて逃げ出したんだよ。あの時は本気で感動したなぁ」


シャルルが珍しく熱く語り、ジュスティーヌがリードを尊敬の眼差しで見つめる。リードは照れ笑いを浮かべるが、実は隣にいたアルベルトもこっそり尊敬していた。小さな主人のピンチを助け、専属護衛になるとはかっこいい。


「リード、これからも私とルルをよろしくね!」


「もちろんです。命に代えてもお守りします」


「命に代えてはダメだよ。必ず僕のそばにいなさい」


「…拝命いたしました」


小さな主人に窘められ、その気持ちがちょっと嬉しいリードである。


「アルベルトも、ずっとそばにいてね?」


「もちろんです。必ず役に立ちます」


流れ弾が当たり、ちょっと冷や汗をかくアルベルト。以前、守りきれずエリザベスに傷をつける失態を犯した彼としてはなんともバツが悪い。が、だからこそ気を引き締めて頑張ろうと改めて誓う。


「…うーん。本当はもっと奥まで散策したいところだけれど、あまり奥まで行くと帰るのが大変だし、森以外にもショッピングや喫茶店も楽しまなければね。せっかくのデートだからこそ、今日はそろそろ戻ろう。おすすめの喫茶店にご招待するよ。予約を入れてあるんだ」


「…喫茶店!一度行ってみたかったの!」


「だろう?さ、お手をどうぞ」


シャルルのエスコートで馬車に戻るジュスティーヌ。その頭の中は喫茶店でいっぱいである。

次回は喫茶店デート。

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