シャルルとサシャ
猫の柔らかさと愛くるしさ
ジュスティーヌの婚約者となったシャルルは皇配教育を受けるために毎日のように皇宮へと訪れている。お相手であるジュスティーヌ自身も皇女として様々な教育を受けている。そんな中でも短い休憩時間とはいえ、将来の伴侶と心を通わせるための時間は設けられていた。
「ルル、お待たせしました!」
「僕も今休憩を貰ったところだよ。おや、サシャも一緒かい?」
「はい!」
「サシャはジュジュにべったりだね。少し羨ましいな。おいで」
シャルルはサシャに手を伸ばし、抱きあげようとする。サシャは大きく嫌がる様子はない。大人しく持ち上げられていたが…。
「…伸びるね」
猫特有の身体の柔らかさ。抱きあげようとするも胴体が伸びる。シャルルはこのままどこまでも伸びる気がして一旦サシャを降ろした。
「ルル、大丈夫。抱っこしても嫌がらないよ」
「サシャはどこまでも伸びるから不安になるよ」
「ふふ、まだ子猫なのに伸びるよね。でも大丈夫。後ろからこう…足元も抱えるように抱っこすれば伸びないよ」
「あ、本当だ。おいで、サシャ」
「みー」
サシャはシャルルに抱き抱えられる。そうすると、シャルルの顔に自分の顔を近づけて鼻と鼻がくっつくほどの距離でスンスンする。
「ふふ、どうしたの?サシャ」
「きっとサシャなりの挨拶だね!」
「そうなのかい?可愛いなぁ…愛らしさは飼い主譲りかな」
突然のシャルルの褒め言葉にジュスティーヌは顔を赤くする。そんなシャルルとジュスティーヌの様子を微笑ましげに見守るのはアルベルト。
「もう!ルルったらすぐにからかうんだから!」
「事実を言っただけさ。ねー、サシャ」
「みー」
「ほら、サシャもジュジュは可愛いってさ」
「それを言うならルルだって素敵な王子様だもん」
ちょっと恥じらう仕草を見せながらも、シャルルを褒めるジュスティーヌ。シャルルは顔を赤く染めた。
「ジュジュにそう言われると照れるな…王子様ではなく皇配になる予定だけれど、君が望むなら絵本の中の王子様のように素敵な僕になると誓うよ」
「もうなってるよ。大好き!」
「僕もジュジュが大好きだ」
ちょっとおませな王子様とお姫様に胸がキュンとしたアルベルトであった。なおこの二人の様子はアルベルトを通してアーノルドとアルフレッドにも伝わり、可愛い可愛いと大盛り上がりになった。
おませな二人も可愛い




