サシャの成長
どんどん大きくなる
サシャはあれからジュスティーヌとアルベルトがつきっきりで面倒を見ている。ジュスティーヌは勉強と勉強の間の時間に、ミルクをあげたりただ寄り添って成長を見守ったりと大忙しだ。ジュスティーヌが勉強に励む間は、アルベルトがサシャを見守る。体調を崩していないか、お腹を空かせていないか逐一チェックしていた。
「サシャもだいぶ大きくなってきたね!」
「そうですね、姫様」
「もう離乳食だなんて、成長が早いなぁ」
「子供の成長なんて、そんなものですよ」
「私も?」
「ええ」
サシャの成長は早かった。目が開き、とてとてと歩くようになり、離乳食まで食べられるようになった。しかしそこまで成長するまでが大変だった。
「突然下痢をしたり吐いたりした時は本気で心配したけど、治癒術師さんのおかげですぐに元気になってよかったよ」
「本当に良かったですね」
「みー、みー」
「サシャ、愛してるよ」
「みー」
可愛い弟にメロメロなジュスティーヌである。時間があればサシャを連れてエリザベスの元へ通うジュスティーヌは、心優しい姫君として更に人気を得ていた。アルベルトはもちろん誇らしく思う。
「アルベルト、サシャがここまで大きくなったのはアルベルトがよく見ていてくれたおかげだよね。ありがとう!」
「いえ。姫様がサシャ様を大切になさっているからこそですよ」
「ふふ、うん!」
「みー、みー!」
「いてて…」
サシャは最近噛み癖があり、アルベルトはその標的になっていた。成長すれば収まるだろうと様子見しているが、ずっとこのままならばトレーナーを呼んで躾をする必要があるだろう。しかしジュスティーヌは、そんな自由なサシャも大好きである。サシャをアルベルトから遠ざけるように抱き上げつつも、その表情には愛おしい気持ちが溢れていた。
「ふふふ。こーら。サシャ、いけませんよ」
「みー」
「ありがとうございます、姫様」
「いつもごめんね、アルベルト」
「いえ。お気になさらないでください」
そしてジュスティーヌの短い休憩時間は終わる。
「次の授業の後は時間があるから、お義母様のところにサシャを連れて行こうね!」
「かしこまりました。お勉強、頑張ってくださいね」
「もちろん!私は立派な女帝になって、お父様とお義母様と国民達を幸せにするんだから!」
そうしてジュスティーヌは勉強に励む。サシャはそんなジュスティーヌの邪魔をしないように大人しくアルベルトの腕に収まっていたが、ジュスティーヌの勉強が終わった瞬間ジュスティーヌの膝に突撃していた。
成長を見守るジュスティーヌも同じく成長していく




