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可愛いおねだり

ジュスティーヌ、猫を拾う

ジュスティーヌはこの日、エリザベスの部屋の前でうろうろしていた。入っていいか迷っていたのだ。


「姫様。せっかく来たのですから、皇后陛下にお会いしましょう」


「でもでも、いいのかなぁ…」


「いいんですよ。姫様はまだ子供なんですから少しくらいおねだりしたっていいんです」


「うん…」


不安げな表情のジュスティーヌだが、エリザベスの部屋のドアをノックした。エリザベスの許可を得て入室する。


「お義母様…」


「ジュスティーヌ!来てくださったんですね。嬉しいです。さあ、今日も美味しいお菓子を揃えていますよ。一緒に食べましょう!」


「は、はい…」


「…ジュスティーヌ、どうかしましたか?」


エリザベスは様子のおかしいジュスティーヌに気付く。ジュスティーヌは叫ぶように言った。


「お庭で一匹だけ置き去りにされた猫の赤ちゃんを見つけたんです!入ってた箱に拾ってくださいって書いてあって、拾っちゃったので飼わせてください!」


エリザベスは目を見開いた。この皇宮でそんな罰当たりな真似をする人がいるなんて、と。


猫はこの国では特別な存在である。中央教会が手厚く保護する神獣であり、国のシンボルだ。それを捨てるような真似、国の人間ならまず有り得ない。


「そう、ですか。ええっとぉ…」


エリザベスはアーノルドに助けを求めるような視線を送るが、不自然に逸らされた。


「…神獣様を拾うなんて、やっぱりダメですか?」


「皇帝陛下にも聞かなければいけませんが…私は大丈夫ですよ!」


エリザベスはジュスティーヌの純粋さに負けた。


「よかったぁ!お父様もお義母様が良いと言えばいいって言ってくれたんです!」


「あらあら…」


エリザベスはアルベルトの腕…というか両手に抱えられている小さな猫の赤ちゃんに目を向ける。


「…まだ目もあいていませんね」


「猫ちゃん用のミルクが必要だと聞きました!皇宮でも手に入りますか?」


「そうですね。すぐにでも用意させます。ジュスティーヌがあげてみますか?」


「はい!ぜひ!」


ジュスティーヌの嬉しそうな様子に、エリザベスまで嬉しそうに笑う。アルベルトとアーノルドはそんな二人の様子に癒されていた。


その一方でユルリッシュは頭を抱えていた。神獣である猫を皇宮の庭に捨てられた。由々しき事態である。とりあえず教会からせっつかれる前に行動を起こす必要があった。


「お前たち、至急神獣を捨てた犯人を探せ」


「かしこまりました!」


隠密に命令を下すユルリッシュの張り詰めた空気に、アルフレッドは心配になるものの何もできることはないため黙って見守っていた。

猫はいいぞ…キュルガは可愛いぞ…

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