エリザベスとユルリッシュの関係
やっと前に進むユルリッシュ
ユルリッシュは、前妻シルヴィアを心から愛している。愛せるのはシルヴィアだけだと思っていた。しかし、どうしてだかエリザベスに惹かれる自分を自覚していた。
「シルヴィア…私はどうしたらいい?」
自分の心の変化に戸惑うユルリッシュ。それでもエリザベスの元へ通う足を止められない。
「シルヴィア、君は私を恨むだろうか?」
シルヴィアはそんな狭量な女ではない。きっと、後妻としてジュスティーヌを立派に守ったエリザベスを彼女は受け入れる。そして、そんなエリザベスに恋をするユルリッシュを決して責めたりしない。ユルリッシュはそれをわかっていて、それでもなお迷う。
「…考えていても仕方がないか」
そして、エリザベスの部屋の前に着いた。気分を切り替えて、エリザベスの部屋のドアをノックする。返事があったのでドアを開けて入る。エリザベスは読書をしていた。
「ご機嫌よう、皇帝陛下」
「ご機嫌よう、エリザベス。…ジュスティーヌとのお茶会の準備か?」
「ええ。甘いお菓子をいっぱい用意したんです」
嬉しそうな様子のエリザベスに、ユルリッシュはまたも心惹かれる。
「エリザベス、君は本当にジュスティーヌを愛してくれているんだな」
「ええ。私の可愛い愛娘ですから」
ユルリッシュは覚悟を決めた。
「エリザベス。もう一度きちんと謝らせて欲しい」
「?」
ユルリッシュを見上げるエリザベスの表情は、戸惑いを表していた。なんとなく情け無いその表情にも、愛おしさが募る。
「結婚する前にシルヴィアを愛しているから君を愛することはないと言ったな。あれは本当に君に対しても…シルヴィアに対しても失礼だった。申し訳ない」
頭を下げるユルリッシュにエリザベスは慌てる。
「そんな、気にしないでください!私は平気ですから!シルヴィア様もきっと許してくださいます!」
「…そうだろうか?」
「そうですよ!多分!」
ユルリッシュは深呼吸をして、もう一つ告げる。
「すまない。あんなことを言っておいて今更何をとぶん殴ってくれていいから言わせてくれ」
「なんですか?」
「…私が愛するのはシルヴィアただ一人。けれど私は、君に恋をした」
「…え」
「君が好きだ、エリザベス」
エリザベスはキャパオーバーで、顔を真っ赤に染めて停止した。ユルリッシュはそんなエリザベスの様子に慌てて果実水を差し出したりうちわで扇いだりと大忙しになった。
「よかった…」
その様子をこっそりドアから覗いていたジュスティーヌはご満悦で、ドアを閉めてそっと立ち去った。アルベルトもその後ろに続く。アーノルドとアルフレッドはにやにやしながら、エリザベスとユルリッシュの夫婦関係のやり直しを見守っていた。
それに戸惑うエリザベス




