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051 朝倉氏の悲劇

051 朝倉氏の悲劇


盛大な宴が執り行われていた。

料理の総括は、鈴木九十九である。

牛が一頭さばかれ、供される。


しかし、出てくる料理の肉は山クジラ(猪である)という嘘の情報が流されている。

この時代は、牛を食べたりしないのが普通。


だが、その山クジラの料理は抜群に美味かったのである。もちろんすき焼きだった。

豚がいないので、カツどんは出ていない。


甘味の少ないこの時代だが、すでに砂糖が用いられている、しかもふんだんに。

砂糖ダイコンから精製された砂糖であった。(秘匿植物指定されている)


それをかっ喰らうのは、阿吽の像のごとき真柄兄弟とその息子、真柄の従者隨伝坊、そして、三段崎為之みたざきためゆきである。


此処だけ、日本ではないかのように、大柄である。


「美味い、うますぎる!」

「この酒の甘いことはなんだ!」

「こっちの酒は酒精が凄いぞ!」


彼らは、巨体なので、たくさん喰わねばならないが、それほど喰うものに余裕のあるわけもない、どうしても、満足行くまで喰うわけには行かない。皆の分がなくなるからである。


「米が白いのもおかしい。これでは、皆の分まで喰ってしまう」涙を流しながら食べる真柄息子。


彼らの周りには、九十九の側近達と義息子達が座って、普通に飲み食いしている。


「どうですかな、我が家の飯は?」そういって声をかけてくる男が九十九であった。

「鈴木様、これは西方浄土のごはんでございますか、私は夢見心地です」

なぜか、今日の素晴らしい、パフォーマンスの礼を言いたいからと夕食の宴に呼ばれた彼らであった。


「それは何よりです、食事が身体を作るのです。良い食事を採り鍛えれば、自ずと強靭な武将になるというのが我らのモットーなのです。」


「モットー?」


「ああ、家訓のようなものです」


「素晴らしい家訓ですね」と真柄の息子。


「そういう意味では、残念ですね」


其の答えに、真柄兄が首をかしげる。


「あなた達は、この日ノ本でも屈指の豪の者だと思いますが・・・」


「そんなことは」と謙遜する兄


「しかし、我が家で食事を整えて、鍛えれば、日の本最強の豪の者になれるのではと夢想してしまいます」


「え?」


「此処は是非とも曲げてお願い申し上げる、息子の隆基どのを儂に預けて貰えぬであろうか?」


九十九は座敷で土下座をした。


「何をされている、頭をおあげくだされ」

剛力でヒョイと立ち上げさせられる。


「九十九殿、息子の隆基を買って下されているは有難いが、この息子は跡継ぎでございます。」


「そうでしょうな、しかし、跡継ぎであれば直の事、儂に預けるべきでしょう」

と九十九がいう。


「どういう意味でしょう?」

すでにかなり飲んでいる、真柄兄である。


「此処では、説明しずらいので、庭に出ましょう」

障子が開けられると、庭が広がっている。


九十九もこの時代では185cmとかなりの巨人であるが、真柄兄は200cm越えの大巨人である。


普通に歩くとすぐに鴨居にぶつかる大男である。


そもそも巨人の真柄兄が気合の大声を出す。

九十九は右手を出して、クイクイと手のひらを自分に向けるだけである。


「リャー」渾身の右ストレートが風を興すが如く襲う。

紙一重でかわすと、其の手首を軽く持つと、真柄兄はふわりと空を舞い、地面に叩き付けられた。


喉ぼとけに鋼のような指が食い込んだ状態で、真柄兄は極められる。


動けば、喉ぼとけを砕きに行く態勢である。


「こういう意味です」

特に意味はないが、デモンストレーションを常に大切にする九十九だった。


「参りました」


・・・・


「つまり、我々は、常にあらゆる状態で戦闘することを訓練しており、終わることはありません、そして、外からの新しい、刺激を得てさらに強くなる。今、朝倉の家中で、あなた達よりも強い人間はいないでしょう?」と奇妙な論を開陳する酔っぱらいの九十九。


座敷にかえって、この男が得意な詐欺話を展開する。


「キャンプ淡路には、常に若手が研鑽に励んでおり、また金鵄城内においては、当代一流の剣術家がまた研鑽を行っているのです。」いつからキャンプ淡路になってしまったのかは謎である。



酔いもあり、真柄兄弟たちは、非常に思うところが多かった。

小京都と呼ばれるこの地でいても強くなれないのでは!という不安を上手く煽るのがこの男の真の目的であった。


因みにキャンプ淡路に送られると、洗脳されるため注意が必要である。


「息子だけと言わず、我らもお願いできますか?」

これは仕えるという意味ではなく、鍛錬したいと言っているのであるが、日本語はこんな時かなり解釈に幅が出てしまう。


簡単にいうと曖昧なのである。


「わかりました」

一見会話が成立しているが、こちら側は、家族で仕えて貰ってよいと勝手に考えている。または、誤解して話を進めていくのである。


「では、真柄一族を1万石で召し抱えましょう」


「え?」


断ろうと考えたが、ふと一万石という言葉の意味にとどまってしまったのが敗因であった。

こういう時、酔っていると判断が鈍くなるのである。


「心配いりませんぞ、一族全て引き連れて参ってください」

男はにっこりと答えるのであった。


・・・・・


しかし、悲劇はこれだけに収まらなかった。


印牧自斎道場にも、戸田勢源が現れたのである。

「師匠!」印牧の師匠は、戸田勢源である。


師匠の眼が不自由になり、教える事ができなくなったため、印牧は、道場主としてこの道場を立ち上げた経緯がある。


「自斎、久しいな」勢源の眼には光があった。

「師匠眼が!」

「そうだ、儂の眼は見えるようになった。」

「おめでとうございます。」


「そこでじゃ、」

何がそこなのかは不明だが・・・

「今金鵄城内には・・・・・」実家で語った話が再度焼きなおされる。


結論からいうと、師弟関係というものは、絶対であり、印牧に反論が許されることはない。

彼ら全員が、金鵄城内で修行することに同意させられることになった。


・・・・・


城下町を出ていく人間の数は想像以上だった。

やってきた人間よりも数倍するのではないかという数だった。


足利義昭は、「まあよいではないか」と自分が上洛できるため機嫌が良かったが、多くの領民が、出ていく朝倉義景からすれば、ある種、財産を奪われるようなものである。


「己、紀伊の田舎者の分際で!」はらわたが煮えくりかえる思いで、人馬の列を見下ろしていた。


戸田家、真柄家がこぞって出ていくことになった。

戸田家は代々の家臣である、真柄家は越前の国人衆であった。

三段崎は一門衆だったが、どうしても修行したいといって出ていった。


しかも、その最後尾には、親なしの子供達まで、連れられて行くのである。

彼らは、まさに物乞いをして暮らすような生きざまの者たちであるが、必要なことに変わりはない。人のせぬ仕事をこなす人材だからである。


「孤児たちよ、八咫烏様の加護により、汝らに恵みを与えん、食事と教育を授けよう」


一体何を言っているのか意味不明だが、鈴木家家臣たちは、食料をバラまいて、孤児たちを集めたのである。


「孤児たちに食料を与える、八咫烏様の使命を果たすべく、連れてまいります」

田舎者がそういったのだが、もともと福祉施策を施す余裕などあるはずもない。

あっても、自分のことに使うであろう朝倉義景だった。


ゆえに、強く文句をいう訳にも行かなかったのである。


「八咫烏様と鈴木九十九様に感謝を捧げるのです」戸次何某がそれはそれは狂信者の笑顔で、子供たちに食料を配っていたのが目撃されたという。


孤児たちはキャンプ淡路へと送られ訓練を受けることになる。

キャンプ淡路では洗脳を受けることになるので注意が必要です。



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