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001 プロローグ

001 プロローグ


それは、白い部屋だった

目の前には、発音不能の眼だけが隠された状態の女神が立っていた

いわゆる目隠し女神と呼んでいた女神である


「心から本当にありがとう」女神が頭を垂れる。

「いえこちらこそ」


そして、目隠しが消える。

眩しい光のような衝撃がきて眼をつぶりそうになる。

まさしく完璧な美人というか人間ではない何かがそこに存在する。

心がそれに持っていかれる。


「だから見せられなかったのです、人間では、眼が潰れるくらいでしょう」少し自慢げな女神にイラっとしつつも

「ははあ」とひれ伏しながら、クトゥルフの神ではなかった~と心の中で叫ぶ俺がいた。


「本当にご苦労様でした、見事目的をされました、ほめて遣わします」


大変な時代に生まれ、戦い抜き、見事功を遂げ死んだらしい

「これで、通常の輪廻に戻しましょう」

「そうか」

「今までの、能力を封印します、残念ながら、あなたの魂に描かれた文様は消すことはできませんが、私がパテで埋めておきましたので、次の生では発動することはないでしょう」

なんとも、不思議な言葉が出てきたものであるが、心は凪いでいた


人の魂は、死ねば、きれいになり輪廻してゆくとされている

だが、俺の魂はある理由により消えない術式が刻まれているため、神ですら消し去ることができないらしい


「九十九ご苦労様でした」

「まあ、楽しかったのでよしとする」

女神の目隠しが解除されると、その美しさで魂が魅入られる

「あんた、すごい美人じゃないか」

女神はニコリとするそして、意識がシュワシュワと消えていく


仕事が終わった満足感も炭酸のように消えていく


・・・・

まだ白い部屋だった

「おい、今までのはなんだったんだ」

満足感につつまれて、消えていきかかっていた俺の意識は、また、白い部屋にいたのだ


「カアー」

目の前には、人の大きさほどのカラスがいた

巨大カラスの目には知性の光があった

「カアー」

「カラスに友達はいなかったがあんた誰」

「ふむ、わしはヤタガラスである」

よく見ると、足が三本あった

「わかった、次はサッカー選手に転生しろっていうやつか!」

「よし、では名前は翼でお願いする」

「行くよ!岬くん」

「カアー」

カラスは首を振っている

違うらしい


「ところで、俺って通常の輪廻に戻る予定なんだけど」

「わしは、ヤタガラス、神獣である」

「人の話聞いてる?」

「おぬしの活躍は見ておった、主はよく紀州にきておったからな」

前世でのことのようである

前世では、ある理由から和歌山によく訪問していた

「それで、これが通常の輪廻でいいんだよね」

「否」

「約束が違うぞ」

「カー、わしは何も約束していない」

「断る!」

「カアー」カラスは怒り気味に鳴く

「うんざりだ!」

「まあ、そういうなお前のようなものはなかなかいないのだ」

「かあー」怒りに任せて、いってしまった、決してカラスのまねではない

「ふむふむ、わかってくれたか」

「わかるか~い!」


「主のつぎのみっしょんは、戦国時代だ」

「やかましいわ!」

「こころして、挑んでほしいのじゃ」

「カラス野郎俺のいうことをききやがれ」


「主のみっしょんは、このわし、ヤタガラスを後世に知らしめすことだ」


「カラス、俺は断るといっているのだが」


「成功を祈る」


「じゃねえ」


「報酬は」


「報酬は?」


「考えていなかったのお」

「ないんか~い」


「バカガラスどの、お断り申し上げる」


「今無礼なことを考えておったろう」


いや、はっきりといったけどな


「わしには、貴様の考えが読めるのじゃ」

「それは重畳、でははっきりとおわかりかと思いますが、お断り申し上げる」


・・・・・


不毛な論争が、数時間にわたり続く

「しつこいは!このカラスが!」

「無礼者!」

俺の魂は、大ガラスと殴り合いを演じていた


魂で殴れるのかって?

もちろん、帝国軍人の魂は伊達ではないのである、精神一到何事か成らざらん

「おぬしのようなものが、通常の輪廻などできるわけがなかろうが」

カラスの翼が俺の魂を殴りつける


その一言は、俺にとって衝撃だった

「なんだと!」

「愚か者が、すでに規格外のお主が、普通にいけるわけがなかろうが」

「ちょっと待て!」

「なんだ」

「今の話は本当か?」

「何がだ」

「普通に行けるというところだ」


「ああ、お主は知らんだろうが、すでに通常からはみ出たものだからな、おぬしは、規格を外れている。

商人の真似事もしておったからわかるであろうが、規格外品ははねられる、ぬしは、日乃本の規格を統一したであろう、魂にも規格があるのじゃ」


「なんだと、だが、女神が」

「ああ、規格品にするべく偽装していたが、すぐにはねられるじゃろうて」


「女神は魂の洗浄、製品チェックの方法を詳しくは知らんであろう、女神の知らん方法で規格外ははねられる、おぬしは規格外である」


・・・・・


「このままでは、おぬしの魂は、再生いきだ、つまりはリサイクルに回される」

すごく嫌な表現が現れた、リサイクル、自分の魂に使われるのはためらわれる表現だ

「惜しくはないのか、お主は、すでに規格外の能力をもっているのに、完全に消されるのだぞ」


「カラス様」

「ヤタガラスである」

「ヤタガラス様」


「はじめからそのように素直なおぬしでいてほしかったのう」

「それで、わたくしは何をすればよいのでしょうか」


・・・・・

「なるほど、戦国時代で、名をはせよというわけですね、しかも、ヤタガラスの家紋の一族、つまり、雑賀党ですな、もちろん、わたくしは例のゲームも精通しておりますので名前ぐらいは知っておりますぞ」


「期待しておるぞ」

「は、ですが、命を張るにはいささか、心もとなく存じます」

「何が必要なのか?申してみよ、技術水準を超えるものは出せぬがな」

「では、とりあえず銭ですな、何事もまずは銭ですからな」


「うむ、では千貫文を与えよう」

「今一つ貨幣価値がはっきりしませんな」

「現代の一億円くらいであろうかの」

「さすが、ヤタガラス大神であらせられます」

「しかし、金だけでは厳しい戦国時代は生き抜けませんな、何かこう、強くなるとか、健康になるとかはないのでしょうか」

「うむ、おぬしはそもそもスキルに「強健」があり「武術の才能」を持っている、わしの力でそれを、あくてぶにしておいてやろう」

「おお、さすが、ヤタガラス大神であらせられます」

「しかし、雑賀党ということは、鉄砲でございましょう、鉄砲には必要なものが要りますぞ、ぜひ御下賜たわわりますように」

「なんじゃ」ヤタガラスはおおように答える

「は、では、早速ですが、まずは、銭を入れておくスキル「インベントリ」でございます」

「うん、あくてぶ」

「では、申し上げます、まず鉄でございます」

「うむ」

「ただし、大神様、日本の鉄ではだめでございます」

「何!」

「日本の鉄は、硫黄が含まれておりますれば、硫黄は鉄をもろくしますので、だめなのでございます、そこで、現代の生産品のスウェーデン鋼でお願いします、インゴットで10トンほど」

「瑞典の鋼か、しかし10トンとな」

「状況によっては、もっと必要かと存じます」

「大神さま、あとは、硝酸カリウムです、ああ硝石のことですこれは、日本では産出しませんので是非とも必要なのです」

「注文の多いやつよの」

「チリに豊富に産出されますので、大神のお力で何とかしていただけますようにお願いします」

「智利とな」

「あとですね」

「なんとまだあるのか」

「はい、これは大変大事なものでございます」

「なんじゃ」

「雷三水銀になります」

「雷汞か」

「左様にございます」

「やけに詳しいではないか」

「もちろん、帝国軍人でありましたので」


そのほかにも、いろいろと金属などをお願いして、条件闘争はこちらが圧勝する

やはり所詮は鳥である。


「では、鈴木重秀に転生ですな」

「いや違うぞ」

「では、鈴木佐太夫ですか」

「うむ、さすがにめじゃーどころではいろいろと目立つのでな」とカラス

「しかし、雑賀党でないと、旗指物に八咫烏は使えませんぞ」

「うむ、大丈夫だ、鈴木重秀のいとこの友達に鈴木がおるから、そやつに転生させる」


「大神さま、それって、他人では」

「うむ、そうともいうが、遠い血縁だからな、気にするでない、では行くぞ」

周りが光始める

「降下準備よし!」

「行くがよい!」

俺の意識が失われていくのであった


撃ち~かた~始め!

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