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企画参加作品(ホラー抜き)

弥平んちのモウ

作者: keikato
掲載日:2018/08/10

 モウは弥平んちの牛だ。

 昨晩、そのモウが牛小屋でお産をした。

「めでてえ、めでてえ」

 弥平は手をたたいて大喜びである。

 だがしかし、当の親であるモウはなぜか浮かない顔をしていた。


 早朝。

 弥平は心配になって声をかけた。

「モウ、どうした?」

「いや」

 モウが腹の下に我が子を隠そうとする。

「ほれ、やや子の顔を見せておくれ」

 弥平が牛小屋に入ると、そこにはモウとは似ても似つかぬものがいた。

 馬の子である。

「なんで馬の子が?」

「へへへ……」

「こいつ、うちのヒンにそっくりじゃねえか」

「まあ」

「てっことは、こいつはヒンの子か?」

「たぶん」

「ヒンとそんな仲になっていたとはな」


 弥平があきれていると……。

 ミャーと鳴き声がして、モウの腹の下から子猫がはい出てきた。

「なんで猫の子が?」

「へへへ……」

「こいつ、隣の五郎太んちのタマにそっくりじゃねえか」

「まあ」

「てっことは、こいつはタマの子か?」

「たぶん」

「馬と猫。モウ、おまえってやつはとんでもねえ浮気もんだな」


 弥平があきれていると……。

 キャィンと鳴き声がして、モウの腹の下から子犬がはい出てきた。

「なんで犬の子が?」

「へへへ……」

「こいつ、隣村の権兵衛んちのポチにそっくりじゃねえか」

「まあ」

「てっことは、こいつはポチの子か?」

「たぶん」

「馬と猫と犬。モウ、おまえってやつはとんでもねえ浮気もんだな」


 弥平があきれていると……。

 ブゥーと鳴き声がして、モウの腹の下からウリボウがはい出てきた。

「なんで猪の子が?」

「へへへ……」

「じゃあ、こいつは裏山の猪の子か?」

「たぶん」

「馬と猫と犬と猪。モウ、おまえってやつはとんでもねえ浮気もんだな」

 弥平があきれていると……。

 聞いたこともない鳴き声がして、モウの腹の下から首の長いものがはい出てきた。

「なんでキリンの子が?」

「へへへ……」

「アフリカのやつか?」

「たぶん」

「アフリカとはずいぶん遠いな」

「まあ」

「馬と猫と犬と猪とキリン。モウ、おまえってやつはとんでもねえ浮気もんだな」


 弥平があきれていると……。

 モウの腹の下から、大きな卵がコロンと転がり出てきた。

「卵じゃねえか」

「ああ」

「ずいぶんでかいな」

「恐竜のやつだから」

「馬と猫と犬と猪とキリンに恐竜。おまえ、恥ずかしくないか?」

「ちょっとは」

「それにおかしいぞ」

「まあ」

「いくらなんでも卵はねえだろ、卵は」

「ああ」

「しかも、おまえは男だろ」


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― 新着の感想 ―
馬や猫のような哺乳類はまだしも、恐竜まで出産しているのですか。 そうした様々な生物を出産しているとは、何とも凄いですね。 それを可能とするモウは、とっても懐が深いとも言えそうです。
[一言] モウの男性らしい話し口調に、おや?と思っていたら、やっぱりそうだった! ( ´゜ω゜`):;*.':;ブッ
[良い点] モウは、自分の体温で他の動物の子供を温めてる、優しい性格なんでしょう。w
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