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91  魔法カバンの威力、そしてテキパキ

 まずはテントが魔法カバンから取り出された。その光景はとある青い、耳の無いネコ型ロボットのポケットから出している姿そのものだ。

 既に組み立てられているテントが「にゅーっ」と擬音でも見えそうな感じで出でてくる。それもかなり大きいサイズが二つ。


(ありがたい話ではあるが、魔法カバンって都合が良過ぎるわマジ)


 呆れてモノが言えない。よくゲームでも「アイテム」なる項目があるが、明らかに無理がある程の数をストックできたりする。実際それ一つだけでもデカ過ぎだろ、ってアイテムもそれを軽々と持ち歩き出来たり。それが「×99」とかどないやねん、と。


「ゲーム」だからいい、だがそれに近い事が、いくらファンタジーとか魔法とか言われても、目の前で、しかもそれが現実ともなれば頭がクラクラする。それはアリルの時にも感じていた。

 だがいざそれを自分が使う立場になったら余計に便利さを感じ過ぎて気分が悪くなる。コレ、いいのか?と。


 そんな風に考えていたらいつの間にやら火が熾され、鍋の準備がされ、デカい飲料用の水を入れた大樽も出されている。

 旅で必須なのは何より水だろう。それが樽に満杯入っている物を気軽に持ち運べる魔法カバン。その重さ問題を無視する事が出来るなんて前世の地球の技術なんて目じゃない。それだけに「魔法」と言うものが、如何に凄いかをまざまざと見せつけられる。


(何も俺が手伝えなかった・・・手際いいとかのレベルじゃない速さで準備ほぼ全部終わってんじゃん)


 食事の用意はもう鍋に具が入りぐつぐつ煮えている。トイレも少し離した場所に穴を掘っていて衝立まで立てていた。道中の水分補給用の水筒には樽から水を補給し終わっているし、大きいベンチが二つ、これまた魔法カバンから取り出されて並んでいる。


 もう突っ立っている事しかできなかった。一歩も動くことなく辺りは一気に暗くなっていた。

 何時の間にか調理が終わって鍋が外された焚火の光が眩しく感じる。


「主様、食事の用意が整いました。」


「あ、はい。」


(用意が、と言ったらエルトス、どんだけ準備したんだよ・・・)


 ベンチまでかと思ったらその大きさに合わせたテーブルまで出てきていた。そこに高級宿にあった魔法ランタンが光を放って乗っている。


 俺がイメージしていた「野営」とあまりにもかけ離れていて顔が引きつる。魔法カバンが便利過ぎてツライ。しかもそれが三つ。この世界でもこんな贅沢な野営は常識では考えられないモノなのでは?。と思った。


 並べられたシチューに腹が鳴り食事を始めようと椅子に座る。今回もまた食事を取る気配が無いエルフたちに一緒に食べるように言ってからシチューを口にした。



 皆が食べ終わって、即片付けが始まった。そこにセレナに話を振る。


「で、明日の用意まだなんか残ってる?」


「いえ、全て終わっています。」


「・・・いつの間に・・・」


「野営準備と並行して荷の整理もしておいてあります。」


「手際が良すぎるなんて言葉じゃ言い表せない・・・」


「お褒めに与り光栄です。ですがエルフは森の民、狩りにおいてこの程度なら慣れていますので。」


「俺が手伝う隙も無い・・・」


「主様のお手を煩わせる訳にはまいりません。」


「いや、俺もこの旅の仲間じゃん?手伝うの当たり前じゃん?」


「我々は主様に仕えし者。仲間など畏れ多い事です。」


(あー、やっぱりそこは譲らないのねー。もうこれは無理っぽいかなぁ・・・)


 俺は額に手を当て溜息と共に言葉を捻りだす。


「はー、うん。アリガトウ。」


「滅相もございません。」


 適当に礼を言ってその場をごまかして流そうとしたのだが、その返事と深々に下げられた頭で完全に諦めた。道中は仮初ででも主を演じる他無いか、と。


「じゃあ、後は寝るだけか。ならまだ時間があればエルフの里の事聞かせてくんない?あ、部外に話しちゃいけないとかなら無理して話さなくていいんだ。うん。」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーの発想は、良い物があります [気になる点] 重複した前置きが長過ぎです。前世で営業力が有って記憶も継承しているのにお馬鹿さんですね
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