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852  一筋縄ではいかなさそう

 コレに少し沈黙をしてしまうリティア。この様子だと彼女は何もそう言った細かい所までを確認できていないのだろう。

 こうした旅の準備も自分の部下や連れて行く世話係が手配しての事であったのだから本来は。

 ソレがこうして「暗殺」のターゲットであるからして、そんな準備はされちゃいない。

 死ねばそれまでなのだから準備するだけ無駄なのだ。でもこうして彼女は生きている。

 そして覚悟を持って闘技場都市に派遣された本来の自分の役割を全うすると決めたのだ。

 でもこのままではグダグダに終わるどころか向こうの都市でまたも命を狙われ、そして殺されかねない。

 リティアのプランはいかほどの所にあるのか?ソレを踏まえた上でここは先を決めなければならない。


「私は闘技場管理委員会に裏潜入させる計画は反対でした。そうしてその都市の支配などと言う利益を聖国にもたらす等と言ったモノは。そもそも聖女と言う立場と聞くと勘違いされる方も多いですが、医療機関を司る代表なのです。国民の治療や回復薬の生産。呪いの研究。研究と言っても解呪の研究です。魔獣の中には強力な我々の知らない術を使ってくるモノもいます。なのでそう言ったモノを日々研究し様々な種類の呪いに対抗できるための研究がされています。呪いそのものを研究する事は国で禁止されていますから。」


「ふむ?呪い呪いと言うがな、いや、私もそう言った「力」を確かに呪いなどと呼称するが。ただの力だ。魔力を使った只の特殊な形をした魔法だ。魔獣なども「呪い」などと考えて認識し使っている訳では無く、ただの自分に備わった「力」と認識して魔力を放つ。言って見れば術者の力の塊だ。私が見せた様にその力を押し出してしまえる魔力、その術に使われた魔力の二倍から三倍の魔力を込めれば大体の呪いは解決するぞ?」


 このバハムの言った呪いの「解決策」を聞いてリティアはポカンと口を開けてしまった。

 盛大に脱線し、大いに話の腰をバッキバキに折ったバハム。


「あー、で。呪いの事はおいておいて、話の続き。要するに、聖女は国の只の役職の呼び名で、特別では無く、国家運営において医療を司っている。で、その先は?」


 この俺の投げかけに気を取り直してリティアは続きを話す。


「えっとデスネ。私はその計画に対して反対していたのでどのような者が都市に居るのか知りません。今回も向こうの者が迎えを出すと言う事だけを受けています。ですがそのまますんなりとその迎えに会うのは危ないですよね・・・」


 俯いてどんよりした空気に包まれるリティア。かなり落ち込んでいる。


「私の出した案はそもそも、聖国一番の聖戦士を闘技場都市に送り込んで正々堂々と正面から乗り込んで我が国の力を見せるべきだと言う案でした。」


 聖女なんていう肩書ではあるが、その国の重要な方針にこうして意見を出して参加している時点で、普通に考えて国の重要役員の立ち位置だろう。

 闘技場都市に対しての工作会議にリティアは発言をしていると言う事はそう言う事だ。


「それも却下されて三年は過ぎました。私の案がそうやって採用されなかった時点で私はその会議の参加をしないで良いと言われて自分の本来の仕事に戻ったのです。ですがここ最近になって私は呼び出されました。それは私が直接都市に赴いて力を使い、都市で重要な地位を取りに行くと言う案が出たそうです。都市の特徴はその「戦いの見世物」です。怪我を負う者が多く出ます。そう言った所に私の力を使って医療と言う面で食い込んで来いと。」


 どうやらソレが為せるだけの強力な回復の魔法を使えるのだろうリティアは。

 だけど、この暗殺の件があって分かった。どうやらその医療面の事は「表向き」で、コレの本当の目的はリティアの死。


「裏があるなぁ。ホント腹黒い。嫌な予感なんだけど、これ、もしかして派閥争いか何かじゃ無いのか?リティアが居ると邪魔になるとか。そんなんだろきっと。でも、こんな手は込んでそうでいて、だけど杜撰な計画、誰が考えたんだ?そもそも、派閥、幾つあるの?陰謀とかナンチャラやってる派閥が裏にあるのか?」


 この疑問の答えをある程度ではあるがリティアが口にする。


「聖戦士団を率いる派閥、私の管轄の医療部、国の経済を管轄する役員集団、神事を行う教会勢力、国王を・・・傀儡にした重役たち。」


 傀儡と言う言葉を出すのに凄く苦い顔になって、最後リティアは国王が「お飾り」だと暴露した。

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