表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/1346

70  信じられない

 目的地は商会ギルド。あのオッサンに「落とし前」を付けて貰わないといけない。

 こんなゴタゴタに巻き込まれ、面倒な目に遭わされている支払いをしてもらわなければ。

 せっかく今日、アリルは初商売のスタートを切る記念の時だったのだ。あんまりなこの仕打ちには高い利子をつけてやる。

 たとえ逆恨みだのなんだのと言われても引き下がるつもりはない。文句の二つや三つ所では済まないほどだ。

 俺はエルトスの館から出て、まっすぐ足早に商会へと急ぐ。



 ====  ====  ====



 ボーナッツは入り口に立ち、荷をどこに運ぶのかを指示出ししている真っ最中だった。

 そこに先日の駆け出し商人が顔を青褪めさせて近づいてくる。


「しょ、商会長・・・き、緊急でお話が・・・」


「おや、先日の。何かあったのかね?」


 ボーナッツのその言葉は棒読みに近い、普段なら違和感が頭を過ぎるようなわざとらしさだが、今のアリルにはそれを気にする余裕はない。


「実は・・・ここでは・・・」


「ふむ、では部屋を用意しよう。ちょっと待っていてくれ。」


 ボーナッツは残りの荷の指示を全てし終わらせると、アリルを手招きをして商会内へと入る。


 部屋に着き茶が運ばれてくる。彼女はそれを一気に飲み干すと、捲し立てるように事情説明が始まった。

 一段落終えた次の言葉は不安にまみれたものだ。


「今後、ど、どうすれば・・・」


 ゆっくりとボーナッツは腕を組み思案する。


「ふむ、よくわかった。調査、対処はこちらでとにかくやっておこう。」


(朝から後を付けさせていた密偵の話と一致するな。あまり近づかないよう遠目の監視にさせていたが概ね合っている。だが・・・何だ?あの青年があのゾルデンをヤった?にわかには信じられんが・・・その後の詳細も疑わしい)


「つらかっただろう。しばらくこの部屋で心を落ち着かせていなさい。遠慮せずゆっくりしていなさい。」


「はい、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。」


 この件の直接の原因を作った張本人は「優しい商会長」という笑顔を張り付けて言葉をかける。


「では、私はこの件の調査に入ろう。ここで失礼するよ。」


 今回の動きで「裏」に大きい打撃を入れるに対し、密偵を二人放っている。一人は中間報告で戻ってきたのが、ゾルデンの「死亡」が確認された時なので、もう一人が戻って来るはずだった。

 そこに一人の男が商会に堂々と入ってきてボーナッツに近づいて耳打ちし始めた。


「・・・本当なのか・・・信じられんな。危険を感じてその後の動きを追わずに戻ってきた、か。仕方が無いな。奴らはその後はダモーの所に確かに向かったんだな?」


 その質問に男は首を縦に振ると、また堂々と歩いて商会を出て行った。

 ボーナッツは先程までの顔とは打って変わって、しかめっ面になっていた。

 その皺をより深くして、慌てたように商会での最大戦力、用心棒ランドルフの部屋に向かった。


「どうかしましたか?」


「大事になるやもしれん。この件を収めるのにお前が必要だ。」


 この短い会話で互いに意味が通じる。二人は部屋を出て、より奥の部屋、商会長室へと向かう。

 だが、その前を塞いだのは、件の用心棒だった。


「あんたを締め上げに来た。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ