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528  夜、襲撃、その顛末は?

 夜中に何やら外の方が騒がしいように感じたが、俺は相当疲れていたのだろう。

 そんなモノは耳に入れたくないとばかりに布団の中に潜り込んでそのまま微睡んでいた意識を再び沈めて眠り直した。


 そして翌朝、それは起きて背伸びをして窓から入る日差しに「よく寝れたかな」と言う感想を持った時だった。

 そのまま窓に近づき、日の光に当たってまだ纏わり付く眠気を飛ばそうと外を眺めた。


「・・・何だこりゃ?あー、ひい、ふう、みい、よ・・・あ、これ人だな。倒れてら。」


 まだ真っ当に動き出さない頭で必死に目に映る黒い物体に意識を向けた。


「グリフォンが何だろ?やけに鼻息荒いな・・・いや、もうね、何だろね?襲撃?」


 やっと頭の整理が始まって状況を理解し始める事ができたと思えば思い当たる節がある。

 そう昨夜の「騒がしい」あれだ。そう、ここに来て俺では無くグリフォンに思いっきり問題発生だ。


「あぁ・・・大体予想はつくんだけどさァ・・・昨日今日でこれかよ・・・もう、勘弁してくれないかなぁ?でも、それもコレも俺がグリフォンを助けたから起きたイベントだもんなぁ・・・」


 最近ボヤく事が多くなった気がする。いや、確実に増えた。


 そのまま部屋を出て庭へと向かう。外に出て先ずは確認だ。


「おーい、グリフォン。何があった?こいつらは?とは言ってもグリフォン言葉は喋れ無いしなぁ・・・?」


 こちらに気付いたグリフォンは俺に寄って来て褒めて欲しいとばかりにその顔を近づけてくる。


「おーよしよし。おはようグリフォン。で、どう言った事なのかなコレ?」


 別段遅い訳でなく、早い訳でも無い朝の時間。まぁ感覚的に朝の六時半?テキトーな事を言えばだが。

 狭いとは言えないビノータの家の庭に横たわる黒装束の者たち、その数、四人。


「被害届かな?不法侵入?どちらにしろコレって、ビノータに丸投げで良いモノか?」


 俺が悩も始めたその時にメイドさんとビノータが家から出てきた。


「どうしました?・・・やや!?こいつらは?息は有るようですね。早く助けないと!」


「坊ちゃま!いけません!近づかないでください!この者たちは曲者です!昨夜私見ておりましたわ!怖くてそのまま今まで部屋から出ずにおりましたが、お客人様がこうして外に出てこられたのを見て私もやっと出てきました。」


 どうやら目撃証言を聞けるらしい。それにしてもこの現状を見てのビノータのこの反応はどうしたモノかと思う。どうしようもない程に。

 さて、この四人の怪しい輩をロープで縛って動けなくさせてからメイドさんに話を聞く。

 それは予想通りなものだった。


 物音がしてソレが外から聞こえると思って窓からのぞいてみれば、この四人がグリフォンに襲い掛かっていたと言う。

 それを難無くあしらって一人づつ確実にグリフォンはなぎ倒していたと。

 敷地内の入り口付近では仲間と思われる二人程が待機していて大きな荷台が用意されていたと言う。


「あー、それは・・・グリフォンを狩ろうって感じだな。しかも四人だけでそれを成そうとしていたって事は相当腕に自信があったとか?」


 この俺の予想を聞いて否定してきたのはビノータだった。


「いや、違いますね。こいつらは強い訳では無いでしょう。そもそも、従魔とは主人の命令で動きますから、主人がいない状態で魔獣は襲われるとある程度は抵抗しますが、その力を充分発揮できないんです。魔獣だけでは襲撃者の撃退ができずにやられてしまう事も珍しくありません。基本「命令」を受けて動くんです、従魔と言うのは。」


 どうやら特殊な力を持つ魔獣はそう言った「特技」を「命令」と言う形でしか繰り出せないパターンが多いらしい。

 事前に「命令」で事細かに指示を出しておけばそれを受けて魔獣は動く事もできるが、あまり複雑な事もさせる事も難しいらしい。

 ポケットモンス?とか思っていない。サ◯シはいつになったらマスターになれるのだろうか?


「で、こいつらはどうする?衛兵に突き出した方がいいよな?むろん、不法侵入罪で、だ。」


「たぶん、この者たちはきっとグリフォンと言えど従えられている以上はその能力を縛られていると思ったのでしょう。それで「狩れる」と考えたのかもしれないです。勝手に人の家の庭に入る事と、グリフォンの素材では、当然素材の方に天秤は傾くでしょうしね。成功すれば大金が入る。失敗しても軽度の罪ですし。」


「なぁ?従魔?を襲ったりすると罪に問われないのか?」


「そうですねぇ。「罪」は無いですけど、従魔師協会からは報復が有りますね。ですけど、ちゃんとした証拠と証言が揃わないと動きませんね。でも、それらが揃えば苛烈に犯人を追い詰めますね。でもそう言った事はめったに起きませんけど。」


「魔獣はそもそも危険な生物だからって事か?動かないってのは?」


「そもそも魔力で「縛る」事が重要なんです。その魔力紋があってこそ従魔なので。それらは従魔が死ねば消えてしまうんです。その繋がりが消えれば証拠は有りません。言い逃れですね。只の魔獣だ、と。権利を主張できない。矛盾と不条理と泣き寝入りが入り混じった世界なんですよ。調教師とか従魔師の界隈は。杜撰な管理だと主張されても何も言い返せないんですけどね。「登録」ってのもちゃんとその従魔が命令に従うかどうか?だけしか調べませんし。」


「随分とお粗末なんだな。なら証明書を貰ったけど意味なくないか?」


「あ、アレは所有しています、安全です、って言うのを紙きれで分かり易く書いてあるんで役には立ちますよ。」


 こうして俺たちが喋っている間にメイドさんがひとっ走り詰所に走ってくれたので、衛兵が来るまでの待ち時間を犯人が逃亡しないか見張りながら暇つぶしに話をする。


 暫くしてようやっと現れたのは昨日も世話になった隊長さんだった。その部下に三十人ほどがゾロゾロと集まって来た。


「どうしたと言うんだコレは・・・はあ、この馬鹿どもは一体何考えているんだか・・・」


 どうやら隊長さんは犯人四人を見て呆れたらしい。それもそうだろう。こいつらはきっとオツムが弱いのだ。

 なにせグリフォンは手練れ三十人の卓越した連携でやっと狩る事ができるだろうと言う、いわゆる大物だ。

 それを「奇襲」であろうともやれると思うのが勘違いだ。

 そして決定的な事にグリフォンには魔力で紋なんて入っていない。

 それもそうだろう。俺は魔力を持っていないのだから。


「幾日ぶりかね?ひさしぶりだな。娘は無事に帰ってこれたよ。礼を言わせてくれ。本当に君には感謝してもしきれない。」


 ローレングス卿が現れた。

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