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178  意外

 そもそも、俺のエルフに対してのイメージは「穏やか」「牧歌的」「自然と協和」「弓使い」「理知的」等々。

 それこそ「今の状況」にどうなったらなるの?的な物ばかりだ。

 それが今バトル漫画的展開に何故発展しているのかが全く理解できない。


(所詮この世は弱肉強食。って全身包帯の侍が言ってた・・・)


 エルフの長老は「黒き者」に関わらないと言ってはいるが、迷宮核の処理にもいい案が浮かんでいないからこそ俺の「力」をこの場で示せば話くらいは聞くと言っている。

 強い者の言葉なら聞くだけの一定の価値があると。それはエルフの強さを中心に据えた傲慢。だが間違っていない。エルフは人なんかよりよっぽど強いのだから。


 この里のエルフたちは俺の戦っている所なんて見ていないのだから仕方が無いと言えばそうなのだが。

 こんな展開になったのも俺が安易に「力」を誇示する事を良しとしない方針だからこの流れになっているんだろう。

 あまりにも大きい力はそれをいい意味でも、悪い意味でも、利用しようとして近づいてくる輩が出てくるから、むやみやたらと曝け出すつもりなんか無い。


「あぁ、ヤバい、現実逃避したい。面倒クセーぞこれ・・・もういっそのこと全部置き去りにして逃げようかな・・・」


「主様、何卒その偉大なるお力を持って我らをお救いください。私が長老を説得しましたがどうしても首を縦に振りませんでした。ですが我らエルフは純粋な「力」の前には素直に屈服します。主様のお力をお見せするのが一番の方法かと。」


「交渉したいだけなんだよなぁー。「話し合い」すら叶わないんかい。別に俺は大層な要求しようってんじゃ無いのに・・・」


 屈服するとか大袈裟な表現だ。だが、実際に助けたエルフ六人は俺の前でそうやって跪いて頭を垂れているのだ。

 それこそ「話し合い」ができず、俺の要求を「呑む」ばかりになるって訳だ。ソレが手っ取り早いと言われればそれはそうなのだが。


(これ以上しがらみを増やしたくないんだよ!関わり合いをここで全て「精算」して肩の荷を全部下ろさせてくれよ!増えてどうすんの?)


 迷宮核はかなり離した位置に置いて来てある。そこにキマイラをお留守番にさせてある。

 どうやら俺の言っている事を理解しているらしく受け答えにしっかりと「にゃーん」と返してくるのだ。

 セレナが言うには大量の魔力が核に吸収され、それと同じくらいの量が吐き出されているらしい。

 循環、あるいは呼吸と言っていい様なそれはキマイラにとっては心地のいいモノらしく、お留守番を頼んだ時のキマイラは非常に上機嫌だった。


 俺は空を見上げて呟いた。


「モブ以下の存在になりたいだけなのに・・・人との関わり合いを最小限で生きて行きたいだけなのに・・・」


 門が開いて一人の男が出てきた。髪型は短髪でトゲトゲ尖がっている爽やかイケメン風。だがしかしその身体はガチムチ、ムキムキなエルフが出てきて大声で自己紹介してきた。


「俺の名はガッド!戦士処一の怪力の持ち主だ!貴様の様なヒョロヒョロの人族なんて一瞬でクシャクシャに丸めてポイだぜ!」


(・・・マッチョ?俺のエルフのイメージ初っ端から崩壊させられた・・・)


 そのガッドと言うエルフは一人ボディビルショーを始めだした。上着を脱いで上半身裸でだ。


「兄貴!キレてます!」「はち切れんばかりの肌が眩しいっす!」「背中で語るその生き様渋いっす!」


 何人か櫓に居たその中にガッドを支持する輩が居たようだ。本格的に地球のボディビルの光景に幻視してしまいそうになった。


「フロント・ダブルバイセップス」「サイド・チェスト」「モスト・マスキュラー」「バック・ラットスプレッド」


 等々、次々とポーズを決めて行くその姿に俺は頭が痛くなってきた。

 そこに横からセレナが説明を入れてくるので余計にそれは倍増する。


「彼は歴代戦士処の中で最強と言われる程の怪力の持ち主です。ですが主様の一撃の前ではあまりにも無力ですが。」


 セレナが俺の事を持ち上げてくるが、正直に言って嬉しくも何とも無い。


(ん?待てよ?これ、試せるな)


 ある一つの事を思いついてそれを試す気になり、頭の痛い問題を少しだけ忘れる事ができた。


「よし、んじゃ力試しと行きますか。負けてもどうでもいいや。」

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