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1341  どうやらそこまで掛け離れてはいなかったようです

 多分感じていたか、見えていたのだと思う。俺が都市の中に入れば目の前に居たのは。


「ふむ、久しぶりではないか。サイトウよ。アレから半年は経ったか?こうして戻って来たのはどう言った事だ?そう考えるとなかなか早い戻りだったな?」


 バハムだった。おそらくはグリフォンの気配を感じたか何かしてこうして俺が戻ってきた事を察したのだろう。しかもこうして出迎えてくれるとは気が利いている。


「ああ、そうかぁ、半年もかぁ。それなりにワープは時間も経過させてるのね。・・・じゃあグリフォンはそれだけの期間でアレだけ大きくなったって事か?すごいなあ。キマイラの影響が大きいのか?それともアレがこの世界の普通か?」


 俺はバハムにそんな事を呟きながら近寄る。コレに何やらバハムは気になった様子だ。


「ふむ、お前の事だ。これまで面白おかしな事を大量に経験してきたのだろう?聞かせてくれるか?」


「ああ、もちろん。愚痴らせてくれ。それと、大事な話もあるしな。驚く事請け合いだ。バハムの驚愕した顔が見れそうだな。」


 俺のこの返しにバハムは「ほほう?」と言って手を顎に添える。どうやら興味を大きくそそられた様だった。


「ならば人のいない場所が良いだろう。私の奢りだ。お気に入りの店に行こうか。」


 バハムはそう言って俺を一軒の食堂に案内してくれた。外観は別段どうって事無い普通の一軒家に見えた。

 しかし中に入って見ればそこは高級レストラン。コレに俺はドレスコードはどうする気だと内心思った。

 だけどもバハムはてくてくと奥の通路へと歩いて行ってしまう。この様子だとお気に入りと言っていたので大分通っているのだろう。ウエイターがスッと表れて「いらっしゃいませバハム様」と頭を下げるのだからおかしな話だ。

 このバハムは「竜」だなんて事をこのウエイターは知らないと思う。相手が常連客では無く、正体がこの世界の頂点だと知ったらどう思うだろうか?そんなくだらない事が俺の頭の中に浮かぶ。


 そうこうしている内に個室へと案内された。しかもどうやらその部屋はいつもバハムが使用しているとみられるのだ。バハムは通路を行く際に何ら迷いも無くその部屋へと入ったからだ。

 誰にも話を聞かれずにゆっくりと食事をしながら思う存分滞在をしていいらしい。ここはVIP専用部屋だとウエイターが俺へと説明をしてきた。

 その間にバハムは既に席についていた。どうやらバハムは俺の話を聞く気満々だと言った感じだった。


「まあ座るが良い。先ずは食事と行こう。その後は酒でも飲みつつじっくりと細かい部分まで話を聞こうか。」


 バハムはおそらくはこの半年と言う期間で人としての振る舞いを身に着けたらしい。しかもそれも「上位」と呼ばれるような立場の方を。

 物腰も、喋り方も、何故か優雅な空気を漂わせている。男子三日会わざれば、などと言う言葉が浮かんでくるのだが、こいつは「竜」だ。当てはまらない。


 こうして俺は美味い飯を食べ、上機嫌になってから飲むのを控えていた酒を珍しく飲み、舌の動きを滑らかにしてからバハムに今までの事を事細かに愚痴るのだった。

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