1337 俺の居場所
あんな事があった後だからだろうか?今の俺は「あれは夢だったんじゃないか?」って感覚がしている。
神に会ったのだ俺は。それは本当か?と今更に疑問が出てくるが、俺があの空間から戻された後にこの目で湖の水は割れたままの、その先の湖底に白い扉がある事を確認している。
「このままでいいのかよ?まあ、いいんだろうな。つーか、こう言う時って元に戻ってるのが普通じゃねーの?」
そんな感想を持って俺はこの場所から離れて目的地への歩みを再開したのだが、流石に「神」に会ったと言うイベントの後の旅路は静かだ。
魔物も野盗の類も、もしくは「助けてください!」的な出会いも起こらない。
只ひたすら順調に闘技場都市への街道を歩いている。他の旅人もちらほらと増えて行き、俺はその中の一人として一緒に道を行く状態にいつの間にかなっていた。
(何処に行っても、何をしても、俺はどうやら運命の神様にゴミを押し付けられてるんだ。俺に安息の地は無いって。じゃあもうこの都市に永住しよう。バハムも居るしな。アイツがいれば俺のそう言ったゴタゴタをちょっとくらいは受け持ってくれるだろ)
バハムはこの都市を気に入っている。ならば俺が闘技場都市に滞在し続ける事で起こる厄介事や火の粉などを嬉々として「面白そうだ」と首を突っ込んできてくれるに違いない。
そうしたら俺はバハムに「あとは任せた」と言って大半の事を頼んでヘラヘラとしていればいい。まあ自分でも動いてそう言った騒動を解決しないと嫌な気分にさせられるような事も多くあるだろうから、全く動かないと言うのも無いだろうが。
そうこうしている内に闘技場都市の入り口に到着だ。久しぶりに見る立派な巨大な門に「帰ってこられたなあ」としみじみしてしまう。
「ここからならキマイラとグリフォンの所に遊びに行くのにも近いしな。うん、先ずここじゃないな。癒しが欲しい。」
俺は入場の列に並ばずにぐるりと外壁を回って反対側へと向かう事にした。グリフォンの居る森へと先に顔を出すために。
列に並んで中に入り、反対側に出るには待ち時間が長すぎる。それだけ長蛇なのだ。
なので俺は一気に加速状態に入って走り始める。俺はこの「力」には別段デメリットが無いと言う事が判明したのでこう言った場合に気軽に発動できるだけの気楽さが心に出来上がっていた。
それが無かったら「力」を発動せずに普通に走っていたかもしれない。するとそれを目撃した門番など居たら俺は怪しい奴としてひっ捕らえる対象とされていたかもしれないのだ。
ならばこうした場面で「力」を使うのは賢い使い方だと思う。こうして加速状態で走り続けて見覚えのある門の前に到着した。そこはグリフォンに乗って最初に来たあの場所だ。
(ここからえーっと向こうの方角だな。このまま少しだけ、門から俺の事が見えなくなるくらいまではこの状態で行こう)
癒しが欲しい、ただその一念だけ。俺はあまりにも色々とぶっ飛んだ事を短時間で知る事になって脳内がパンクしそうだったのだ。




