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1331  無駄な抵抗

 そしてパっと消えた。誰がって?黒神が、だ。俺の事はどうでも良くなったんだろう。恐らくはその「主神様」とやらに報告をしに行っているんだと思われる。


「あー、俺はどうなるんだ?このままあいつが帰ってこなかったらこのままか?しょうも無い終わり方になっちまうなぁそうなれば。」


 どうにも俺には今この空間でできる事は待つ事以外に無いらしい。どうにかここから先ずは出られないかと周囲を見渡すが、やはり何も無い。

 出口になりそうなモノなど一切見当たらず、そして音も一切しない。


「こういう空間に人って居続けると、数時間で発狂するとか聞いた事あるな・・・まあ、俺には脱出する良いアイデアは思い付かんし、しょうがねえか。」


 俺はずっと立っているのもシンドイので胡坐をかいてその場に座った。それから5分程ぼーっとしていたが、どうにも落ち着かないので何かできないかと動き出してみる事にした。


「先ずはこうして「座る」事ができているんだから「地面」が存在するって言う事でいいのかね?じゃあ一撃入れてみますか。」


 俺は拳を自分の座っているであろう「地面」へと叩き付けようとした。自分のすぐ横へと捻り無くそのまま腕を振り下ろす様にしたのだが「スカッ」と空を切る。


「うえぇ!?おっとととと!?なんだこれ?俺は確実に座れているのに、その座っている部分を拳で打ち抜いてみようとしたら通り抜けた?」


 座ったままでいたのだが、その叩き付けようとした勢いがそのままスカッてしまい、その流れで体勢を崩して危うくその殴った腕が「落ちて行く」のに引きずられそうになる。力を入れ過ぎて危ない所だった。


「そのままソッチへ「落ちていたら」どうなってたんだ?まさか底無しに落下し続けていたとか?それはそれで超怖ろしいんだが・・・」


 しかし元の姿勢に戻ってからそーっとその叩こうとしていた「地面」の部分に手を添えてみたのだが、触れられるのだ。そこにはちゃんと抵抗がある。そのままスーッと手を滑らせてみるのだが、何処にも「穴」など無い。「地面」だった。

 摩訶不思議空間で無暗に暴れない方が賢明だと言う事を俺はこの時に理解した。だが、理解していても試す事は重要だ。

 何せこのまま黒神が戻って来なかったら俺はこのままここに閉じ込められてしまう事になるからだ。詰みである。

 それは受け入れられない。本当に俺の自力での脱出ができないのかどうかを試してみた後でなければ。


「だから今度はコレで「地面」を刺してみようかな。」


 魔法カバンから俺は刀を取り出して抜く。そしてスッとそのまま刃の先を「地面」へと向けてそのまま真っすぐに下ろしてみる。


「やっぱりすり抜けてくな。どう言う事なんだろうな?俺、この空間で歩いたし、走ったよ?黒神へと思いっきり踏み込んだよ?」


 どう言った原理なのか全く分からない。俺は学者でも研究者でも何でもないので当たり前だろう。いや、そう言った者であったとしても解明はできないと思われる。


 魔法カバンから他にも椅子を出して見てそっと隣りに置いてみるのだが、別段「落ちる」「すり抜ける」と言った事は起きない。ちゃんと俺の隣に椅子がしっかりと立っている。


「えぇー・・・?まあ、いいか。座って暫く待つか。本格的に帰ってこないと判断したらまた何か実験しよう。・・・寝るか。」


 俺は椅子に座ってこのまま不貞寝する事にした。もう今はこれ以上何をしたところでどうしようも無い、と俺はやっと諦める事にした。

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