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1327  破壊しに掛かる

 思いきり走りこんで勢いをつけて扉に袈裟斬りを、その後は刃を切り返して切り上げ、そしてまた刃を返しと、幾度も斬り掛かる。これで本当にこの扉が粉微塵にできているかは分からない。分からないがそれでもやる。

 一通り刀で斬ってみた後は刀を鞘に納めて今度は素手で扉をボコボコと殴っていく。こんな得体の知れない扉を破壊してやろうと言うのだ。徹底的にやってみるのがいい。

 俺はここにきて素直に入ってやる気は無いと、逆にこの扉を壊しにかかる。今まで散々ここまで振り回されてきたのだ。「はい、直ぐに入ります」と言った気持ちになれるはずが無い。

 かなりの怒りと恨みを込めて正体不明の扉をバッキバキに吹き飛ばすつもりで拳を撃ち込む。しかしどうにも手応えと言うモノが無い。

 しかしこの状態だと最初から今までずっと、手応えなんてそんなモノだったので、俺はそれを気にせずに思う存分扉へと拳を叩き込んだ。


「よっし!解除・・・しても何にも変化が無ぇ。駄目だコリャ。俺の力じゃ敵わないって?しゃーねえな。じゃあ鍵を開けりゃいいんだろ?全くさー。嫌になる。」


 そう、結論は出た。今の現状を動かすにはもうこの扉を開くしかない。いつまでもここに閉じ込められていても仕方が無い。腹を決める時だ。アレだけやったのにもかかわらず扉には一切傷一つ付けられていない。

 もうこうなるとどうしようもないので俺は扉を良く観察した。そして見つけたのが。


「小さい四角い窪みと、良く見る鍵穴ってか?・・・窪みのこの大きさに丁度いい大きさの物体、心当たりがあるんだよなあ。」


 そう、ロボのコアだろうアレだ。それを俺はまだ持っていた。恐らくだがもうコレはこの四角い窪みにそれを嵌め込むのだろう。

 これもまたこの扉を開く際に必要なアイテムだと言う事ではないだろうか?そうなるとあのロボは鍵の一つを守っていたと言う事になる。ロボ自らの核として使用すると言う形で。

 後は普通に鍵穴の方はと言えば、簡単に言ってあの銀色に変化した鍵を入れる穴だろう。


「とまあそれは後でやるとして。・・・取っ手が、無いんだよな。開くための。だとするとキーアイテムを差し込めば勝手に開くのかね?」


 ここで俺はギャグマンガや、もしくは人の思考の死角を突いたギミックの事を思い出す。

 取っ手が無かったら手を掛ける部分が無いじゃないか、と言った思考になるのは当たり前で。しかしコレには「扉を押し開く」と言った事が抜け落ちていたりするのだ。

 ちゃちな子供騙しだけど、大人も結構引っ掛かる罠である。それは固定観念とか言う大人になればなる程に凝り固まりやすい思考になっていく人の性といったモノが絡む。

 まあ年齢を重ねても思考の柔軟性を失わないと言った人もいらっしゃるだろうが。

 と、ここで人の脳の事を考えている時間は無い。いや、ある。あった。別にこの扉を開くのに時間を急いでいる訳じゃ無い。

 なので俺はもう少しだけこの扉は本当に鍵を差し込まないと開かないのかと言う点を考えた。捻くれ者である。

 もしかしたらこの扉は最初から開いていて、鍵を差し込むと鍵が掛かる仕様かも知れないのだ。

 こうも意地の悪い思考まで及び行くのは偏に自分が今まで経験してきた事からに因るものである。散々ここまで振り回されてきて只単に疑り深くなっているだけだと言うのは横に置いておく。


 ここまで考えるとだ。この扉は鍵を閉めた方が良いモノなのか?あるいは開けてしまっても良いモノかどうか?と言った所まで考えなければいかない案件となるだろう。

 だがそれを今、調べる事はできないのだ。そして俺はそんな事を知っちゃこった無い。閉めても開けてもどちらでも、この湖から抜け出せる事ができない今の俺の現状を打破しなければならないからだ。


 扉に手を掛け、押してみる。しかし手応えは感じない。そのまま正拳突きをブチかましても何ら変化は見られない。


「じゃあコレはいよいよ・・・これらを突っ込んでみるしかなくなるのか。まあしょうがねえや。」

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