1326 やれる事はやってみるけど、無理なものは無理
さて、いろいろと確かめて、できるだけの事はして自分を納得させる事をしようと思った。
先ずはあの扉に接近しないで済む方法だ。扉が壊れたらそれはもう通れないモノだと思って心底無視できる代物へと変わってくれるだろう。門が壊れたらソモソモこの湖周囲のループ結界も無くなってくれるかもしれない。
真正面から「ごめんくださーい」と馬鹿正直に突っ込む気は無い。なので俺は足元にあった手頃な大きさの石を手にする。
そして加速状態に移行して全力でその石を扉へ向けて投げつけた。でも結果は駄目だ。
「あちゃー・・・消えたな?何処に行っちゃった石?」
と思ったら湖に思いっきりドバーンと水柱がたった。これに俺は驚いたが、どうにもこうにもコレはアレだな、と直ぐに察した。
「俺の投げた石が落っこちてきたな。しかも投げた速度はそのままに、か。扉への攻撃はそうやってどこかに飛ばされるのか・・・」
さて次だ。扉の破壊はできないのならば、そこまで到達できない様にしようと考える。そして湖の水が割れて湖底が見えている部分へと水を垂らしてみた。すると。
「うわ、直ぐに移動した!?動き気持ち悪!」
まるでスライムであるかのようにその俺の垂らした水は移動して周囲の水へと吸い込まれていった。
こうなると水で埋めてしまうと言った手法は使えない。扉まで辿り着けないやー、と言って割れた水を元に戻し埋める事ができればと思ったが、そうはいかないと言う事だ。
「じゃあ土で埋めるのは?まあこうなると結果は大体読めるけど。」
俺は足元の土を一掴み、その露わになっている湖底へと投げてみる。すると。
「土は吸収されるのね。埋め立ても無理、と。他に扉に近づかなくて済む理由作りにできそうなアイデアなんかないかなぁ?」
湖周囲にある木を目に入れた俺はそれを一本切って来る。もちろんこれをポイッと先程の土と同じに湖底に放ってみる。すると今度は消えた。
そしてまた空からその木が降って来る。そして湖面へと落ちまたしても水柱を上げた。
「どうにもこうにも、俺が直接行かないといけないって事か・・・やってくれるなあ。」
結局は俺が行かねば事は収まらないと言う事だ。さて、どうしたモノか。
「行きたくない。心底、行きたくない。あ、俺があの扉を直接ぶっ壊すと言う方法はどうだろうか?」
完全に俺はあの扉を通る気も無ければ、そもそも開くつもりも無い。そう簡単に諦めたくない。
「でも、なあ?これって・・・どう考えても人が造った代物じゃ無いんだろうなあ。そうすると、今の俺で「力」を使っても到底破壊は無理なんだろうね、うん、まあ、試すつもりだけど。やるだけやるよね。」
俺は覚悟を決めて水が割れ、扉へと続く湖底を進む。しかしコレはマズかった。
水が俺の通ってきた後を埋めていくのだ。俺の居る部分と扉までの間はそのままなのに、俺を逃がさないとばかりに水は俺の背後を埋めて逃げ場を無くそうとしてくる。
「くっそー。ドンダケなんだよ。もういいや。やるならやるで徹底的に行こう。コレで通じなきゃ諦めもするってもんだ。」
魔法カバンから俺は刀を取り出す。そしてそこから加速状態に入った。




