1313 どっちも気持ち悪い
まあそうなるだろうと思っていた。そしてまだまだ言いたい事が王弟にはあるらしい。
「ほら、こう言うのってさ。誰にも言わないで秘めておくものじゃない?だけどさ、そう言うのって他人に話してみて意見を聞いてみたくなるじゃないか。どう?って。話したくなったりするだろう?君にはもう少し私の話を聞いて欲しいんだよね。さて、この計画にはまだもうちょっと付け加える部分があってさ。継承権第一位は王女でしょ?彼女に問題が起きれば女王にはしにくいじゃない?それとさ、侯爵令嬢のマリストラ嬢には継承権第二位の長男がいてさ、婚約してるんだよ。で、侯爵令嬢が問題になったらそっちも一緒に蹴落としやすくなるでしょ?ああ、王女は正室の子で、長男は側室、コレで分かるでしょ?」
「あー、分かりたくも無いけど、分かった。自分が椅子に将来座るのに、邪魔な奴らの名声を下げに下げて蹴落としやすくしておこうって事ね。嫌がらせにも程があるだろ。一々本当に回りくどいな。」
「いやいやー、だってさ、私が楽しくないと。こんな真似するのに大真面目とか、そっちの方が陰気が過ぎるでしょ?」
「どっちも大差ないくらいに気持ち悪いだろ・・・」
黙っていられない性質。王弟はどうやら話を聞かせてもどうって事無いと言える、俺の様な者を欲していたと言う事らしい。
話を聞かせてすっきりしたら用は無い。後は殺すだけ。王様の耳はロバの耳。
「ああ、それで?俺に派手な事をやらせるって?一体何をさせようって言うんだ?」
「そうそう!君には継承権第三位の次男をやってきて貰おうと思ってさ。王女の件の犯人が他の王族も狙う。そんな流れにしたいんだよね。王族に恨みを持った正体不明の男の襲撃。さて、この次男も側室の方の子でね。こいつがまた馬鹿で金遣いが荒くて我儘で自己中なんだ。あと権力を笠に着て暴れたい放題、まあ、ありていに言えば屑だね。よくもまあ権力をこの様に無駄に使えるモノだと思えるくらいにクソなんだよ。使い道が無い。こいつには。もうこいつがやらかした大体の証拠は手の中にあるからどうとでも処分は下せるんだけどね。国王が邪魔してきそうなんだ。いくら王族とは言え、処刑して構わない位に犯罪を重ねてるからさ。どうせなら裁判にもかけずに不名誉な死を遂げて貰いたくてね。ああ、将来的にこいつが一番しゃしゃり出てくる可能性が高いんだ。自分が王の椅子に座るって言って突然、王女に、第一王子に暗殺を仕掛けそうでね。そんな詰まらない事をされる前に御退場願いたいんだよ。」
よっぽどお喋りして他人にゲロってしまいたかったようで、ペラペラと言葉が止まらない王弟。
「あんたもそいつも、どちらも変わらず屑だよ。俺からして見たらな。で、断るって言ったら?そもそも俺はもうここに居るつもりも無いんだけどな。ここから出て行くって言ったじゃん?もう引き留めようとしないでくれないか?」
「ダメダメ。もう君は私の計画を知ってしまっただろ?ああ、不安だなあ。君が生きて誰かにこの事を話してしまったらどうしよう?さあ、君は大人しく捕まってこの首輪を付けるんだよぉ?」
そう言って王弟が懐から例の隷属の首輪を取り出してにんまりと笑顔でそう言ってきた。




