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1285  何処までタライ回しにされるんだろうか?

 でもそこで壁に刀が届く前に俺は気付く事ができた。


「スイッチ!・・・エレベータの開閉ボタンみたいな感じだな。これを押せば開く?壁を斬る前にやってみるか。」


 この空間では俺の「力」を使う事ができた。なので壁を無理矢理斬って通り道を作ろうとするのは最終手段になるだろう。

 もし不正にこの場所から出ようとすると発動する罠などがあるかもしれない。なので一旦は加速状態を解いてからそのボタンを押してみる事にした。


「コレがそもそも罠で、正規の手順じゃ無い可能性もあるけどな。でも、そこまで考えるとキリが無いんだよなぁ。ポチッとな?」


 俺がボタンを押した瞬間に音も無く目の前に壁が開き、光が入り込んでくる。でもやはりそれは。


「ああ、またこの中に飛び込めと?真っ白な壁にしか見えないんだが?でも、手を差し入れると中に入ってっちゃうんだよなぁ。転移、か。仕方がねえ。ホント、何処に今度は飛ばされるんだよ?」


 もうこの時点で俺はこの真っ白な壁に飛び込む事を決めた。なのでそのままその中へと入っていく。

 すると今度は視界が一瞬ホワイトアウトして別の場所に出た。そこは。


「また森かよ・・・まさかまたザルド大陸に戻された、とか言わないよな?」


 全く見覚えの無い森。まあ森など何処もかしこも似たようなモノで、素人にそんな違いは端から判る訳が無いのだが。

 植生や土壌などの変化で、もしかしたら森のプロなどは何処の森かなどを判別できたりするのかも知れないが。


「別に俺は森で生計を立ててる訳じゃ無いし、研究家でも無いから分かるはずねえ。どうするべかな?結局遭難じゃん?悲しくなってきたなぁ、俺。」


 もういっその事、このまま進みながら木を伐採して一直線にこの森を突っ切てやろうかな?などと危ない考えが脳内に過ぎる。

 そんな事をした所で人の居る集落などに辿り着く保証は無い。なのでこの考えを直ぐに捨てる。俺は今のこの場所が何処なのかを知りたいのだ。

 人を一人で良いから見つけたい。こんな森でその可能性は非常に低いが。

 ならばそうやって闇雲に進むよりも今の自分の立ち位置がどこらへんかを先ず確認するのが最初だ。


「また木登りか・・・辺りを見渡して小さな村でもいいから見つけられると良いんだが。」


 俺は自分の隣にあった木に登り始める。それは丁度周囲の木よりも一段程高い木で都合が良かった。より遠くまで見やすいだろう。


「まさか転移は転移でも、ここまで来て「異世界転移」とか言うオチは無いだろ?そんな事になったら悲しいどころじゃ済まねえな?」


 あのロボを見た後だ。この世界の代物とは考えにくいデザイン、機械だ。この世界感に全くマッチしない。もしかしたら、そんな恐怖が頭の中にちらつく。

 今更ここまで来てまた別世界から一からスタートとかやってられない。一度転生して、そこからまた別世界に転移とか、そんなラノベを読んだ覚えが無い。そんなパターンになっていた場合、それは非常に、非常に、面倒臭い、心の底から。


「でも、アレがもしかしたら古代文明の、なんてパターンだとありがたい、とも言えないんだけどな。」


 大昔の、この世界で繁栄した超文明を持った国か何かの残りとか。そう言ったあるあるパターンを思い出して少しだけ安心をする。

 とは言え、俺はそのせいでこの身を物理的にタライ回しされているのである。もの凄くその事にイラついてはいる。

 イラついてはいても自分ではどうしようも無いから諦めた様に振る舞うが、俺の内心はと言えば「どっちの神もそのツラに絶対に一発入れてやる」マンになっていた。

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