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1284  トンネルを潜るとそこは・・・

 ソレは黒い空間に溶けこんでいて目ではハッキリとその存在を掴めない。けれども実際に俺が触っているのでそこに存在する事は確かだ。


「モノリスみたい。けど、薄いな?・・・で、ここからロボは出てきたんだよな?なら、開くよな?で、どうやって開くんだ?そんでもってここから中に入れるとして、外に出られるのか?」


 見つけたまでは良いが、その後の事を次々に思いつく。これを見つけられたからと言って「さあ脱出」と、すんなりと行く訳じゃ無かった。


「こう言う場合はあのブラックボックスを近づけてみるのが良いのかね?」


 俺はポケットに入れておいたブラックボックスを取り出す。魔法カバンには入らなかったのだ何故か。

 なのでそのまま持っている。それをこの正体不明の訳の分からないモノへと近づける。すると。


「動いたな・・・でも音が全くしないし、光ったりも、中も見えないな。触ってるから「開いた」のが分かったけど。肉眼でしっかりと見て確認できないのってすげーストレスだな・・・」


 ここから脱出するにあたり、この未だ開いたとはいえ中が「真っ黒」で確認ができない場所に入るのは賭けだ。

 もしかしたら今よりも、もっと状況が悪化する可能性も無くは無いのだから。


「ナムサン!当たって砕けろ!このままここに居てもどうにもならんわ!」


 俺は思い切ってその中へと入る。すると一瞬だけ視界がブラックアウトすると何故かそこは倉庫のような場所だった。


「つうか、整備工場?小型のクレーンもあるし、なんかさっきのロボの予備パーツみたいなのも見える・・・で、出口は?」


 周りを見て観察しようと後ろを振り向いたら、そこには俺が入ってきたはずの「扉」などは見当たらない。恐らくだがあれは転移か何かだったのだろう。

 俺はここで出口が見つけられなかった場合、また閉じ込められている事になる。


「とは言え、明るいな。ちゃんと照明があって、しっかりと物が認識できるって素晴らしい。」


 呑気な事を言っている場合では無かった。この場所は大体ザっと見て25mプール、と言った面積だ。天井は高く7mくらいだろうか?

 そんな場所の中央で俺はボケっと突っ立っている。何処にもそれらしい外に出られそうな扉が視認でき無いから。


「また閉じ込められた?いやいや、多分だけど、またこのブラックボックスを近づければ良いんじゃないのか?いや、もうそのパターンは使い終わったし、また他の方法を見つけないといけないのか?」


 それでも俺はブラックボックスを持って周囲の壁を一周する。けれども反応が無い。手詰まりになったかと思った。

 でもここで気付く。あの空間から出られたのであれば、もしかしたら使えるように戻っているのでは?と。


「・・・ここでゴリ押し、って訳か。しゃーないな。やってみるかね。」


 俺は刀を抜いて集中し始めた。目標は目の前の壁。加速状態に入って俺は出口を作るために斬りかかる。

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